「弓を引いたり推したりする動きは、静止していなければならない…」
はぁ?(゜_゜)
実際、動いているのに静止していなくてはならんとな?
言葉を額面通りに受け取ると、ほんと哲学ですねぇ。
ナナ先生曰く、安定した(というか正しい?)動きをしている時、自分では手を動かしているという感覚すらないのだそうです。
まぁ、ものすごく速いスピードで弾く時なんかは、ちょっと力入れなきゃな~程度の力を感じるときを除けば、ある程度の技術レベルに達した人は、「どこそこを動かして~」という意識がなくなるそうです。
実際、弓を引いたり推したりする時、腕、二の腕、手首、指の関節など、様々な部署が連携して微妙な動きをしているわけですが、次にどこを動かして、その次は~なんて脳がいちいち指令出してたら、速い動きに間に合いませんよね。
初心者の動きがぎこちないのは、やはり、いちいち、それぞれの動きを気にしているからでしょう。
複数の動きが統合されて、「弓を引け」という一つの命令で、ちゃんと即、安定した正しく美しい動作に直結する、それが「静止」している動きなのでしょう。
そういえば、脳の指令の統合と言えば、三味線の師匠の回答が実に興味深いのです。
12から14のツボのスリ(滑音)を4回繰り返すところ(14から12に戻るときに滑音は付けない)について、私が「どこで力抜いてるんですか?」と聞いたら、「力なんてどこも抜いてないよ」という答えが返ってきた。
私と師匠の脳みその違いはこうだと思っている。
【私の脳みその指令】
1、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
2、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
3、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
4、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
5、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
6、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
7、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
8、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
全部で8つの指令が出ている…
【師匠の脳みその指令】
1、「左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動して、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る」を4回繰り返す。
という一つの命令に統合されていると思われる。
だから、私の場合、少なくとも「左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る」時に、あたかも「ここで力を抜かなければ!」という余分に意識するプロセスがあるわけだけど、師匠の場合は、そもそも、どこかで力抜いたっていう意識すらないのだろう…
実際には、左手人差し指が12のツボに戻る時に、力入れっぱなしだったら、指が指板から離れないため、要らないところに変な滑音がついてしまい、正しく弾けるわけがない…
まったく、私の頭はただでさえ、普通の人よりメモリが足りず、加えて手先が不器用なのに、人より多くの指令を出しているのだから、処理スピードが遅くて仕方がない…
10年くらいやってりゃ、そのうち、一つの命令に統合できるんでしょうかねぇ。