竜宮城の夢の1分が俗世の10年

DSC03285
「台上一分钟,台下十年功。」
舞台上の一分は、舞台下で十年の努力が必要となるという意味です。
演劇のレッスン室などによく掲げてある言葉で、日々の努力の積み重ねが大事ということなんですが…私の場合、やってる年月が少なすぎなので、この公式に当てはめると、舞台上で1分もちません(泣)

今日は、ボランティアで演奏の機会いただきましたが…うぅ…もっと勉強します…
一緒に弾いてくれたお友達に感謝。
そのうちお友達と一緒の写真、お友達がアップしてくれるかもしれません。
竜宮城の夢の1分が俗世の10年(^^;なんて…相当長生きしないといけないですね。

一の糸が切れた

初めて三味線の一の糸を切りました。こんな太い糸(絹糸)でも切れるんだねぇとビックリしました。

いつもは切れる前、ちょっと弦がギザギザしてきたなと思ったところで、師匠に教えてもらったように糸の上下を変えてみたり、さっさと糸を換えてしまうので、切れたのを見たことないんですよね…
今回は、まだ大丈夫だろうとズルして使い続け、「本荘追分」を何度も弾いて、押しバチがマズかったのか、切っちゃったんだよね。

ちなみに、中国三弦の弦は、今ではスチール弦なので、一の糸(三味線でいう三の糸、一番細い糸です。)以外はペンチで切ろうと思わないかぎり、切れないです。
切れないけど、音が鈍ってきたら、換えるようにはしてます。
一の糸(三味線でいう三の糸、俗に一番細い糸なので子弦と言います。バイオリンのE線みたいな感じです。)は、習い始めの三ヶ月くらいの間は一日に10回ぐらい切ったかな~。
というのも、弦を打つ角度が安定してない上に、延々と力一杯人差し指だけで打ち続けるという体育会系の基礎練ばかりやらされるからなんです。
私が人前で弾く機会を自分で作らなければ、多分、今でも、様々なリズム打ちの訓練と、スケールしか弾かせてもらえてないと思います。
ははは、普通の大人はもうやる気なくすでしょうね…
やる人少なすぎて、誰も大人に教えた経験なんてないから、音大付属中学受験目指してるような教え方しか知りませんからね(笑)
確かに基礎さえきちんとしていれば、曲なんて簡単だからね…
でも、大人には技術(特にスピード)の限界があるので、理想通り打てるまで、そればかりやってたら、そのうち老衰で死んじゃいます。

ところで、一日10本も弦を消耗したら、安くない…
実際には、上駒で切れることは滅多にないので、下駒で切れる場合は、自分で弦の輪を作って一本の糸を二回使います。
それでも、一日5本も弦を消費したら、もったいな~。
今では、そういう力任せの訓練を集中してやるのでなければ、子弦が一週間以内に切れることはないという感じ。
でも人前で弾かなくてはならない場合などは、前日に換えて弦が伸びて安定するまで弾いておきます。
もっとも、絹ほど伸びて音程の狂いが著しいことはないですが。

そういえば、私、二胡の弦を切ったこと一度もありません。
人が切った瞬間は、見たことあるけど。
一ヶ月半か二ヶ月に一回の頻度で換えちゃうから切りようがないんですね。
ズルして弦換えずに弾き続けてると、ナナ先生に「音色が悪いわね、いつ弦を交換したの?」とバレちゃいます。
一体、どこまで耳がいいのかしらね。

三味線も糸換えずに弾き続けてた時、やっぱり師匠に
「その糸死んでるよ」って言われました。
糸代、お稽古用の悪い糸でも、よく換える人にとっては、安くないよね。
先生方は経費なのかもしれないけど、私とかは時間だけは音大生並みに弾いてるけど、仕事じゃないから経費にもできないし、それで上手くなってんのかと問われれば?だし…。

「でも、もし糸が切れそうにもないぐらい頑丈だったら、今度は棹が削れてしまうから、そっちの方が高くつくね~」と師匠に言ったら、
「そらそーだ」と師匠も相槌。

余談ですが、昔使ってた安物の花梨棹の三味線は、素材が悪すぎなのか、私が怪力すぎるのか、棹の角を指で引っ掻いて欠けてしまいました。
ずっと030030のかましとか、ちりちりを練習してたら、そうなってしまったのよね。
師匠曰く、「そんなことは滅多に無いけど…」と暗に怪力を示唆されました;^_^A
我ながら、いい音なんて全然してないのに、無駄に怪力使ってどうするよ、と思います。

この際、ばらしちゃいますが、私は腕力はあまりないのですが、手首から先の力は結構あるのです。
子どもの頃、魚が焼けすぎで身が硬くなってしまって、上手にほぐせないなぁと思いつつ、えいっと箸で魚の身をつまんだら、箸の方が折れてしまいました…
親に散々叱られました。
女の子なのに、みっともないって…
そういえば、私の今の紅木棹は、女性が持つにしては重いらしいです。
棹が欠けるのはもう嫌だと思って、棹だけはいいものにして、皮と胴をケチりました。
ついでに言うとバチも師匠のと比べてみて、少し大きくて分厚くて重いので、師匠には
「男でもキツイんじゃねーか…」
と今度はストレートに言われました。
いや、だって、重いほうが、力入れなくても重さだけで弦が打てちゃうから楽かと思って(^^;
あまり軽いと、例えばスケルトンのバチなんて、持ってるのかどうか忘れそう…

もしかして、中国大三弦に比べたら、何でも軽く感じるんでしょうか。

二胡LESSON88

ほんと、もう、いまさら言うのもなんだけど、ポジション移動に余分な力入ってるって指摘されました。
その通りなんです。
自分でも力入ってるなぁって分かりますもん。
別に二胡に限ったことではなく、私が扱う楽器のすべてに言えることだったりします。
音程合ってればまだ許せるのに、余分な力入ってなおかつ音程ずれてて、いちいち直すんだから、何やってんだか。
ナナ先生には「音程気にし過ぎのあまり、力入ってるんじゃないの?」と言われましたが、
私としては、どうせ、力入ってるなら音程ぐらい合ってくれてもいいじゃんかよ~と自分の腕に文句言いたい。

多分、私は生れてからこれまで、脱力ってものを楽器を弾く時に経験したことがないんだと思います。
実は三弦なんかになると、左腕どころか、右手にも力が入り過ぎてくるので、半日練習したら肩がパンパンです。
多分、一番、力が入っているのが三弦、次が二胡かな、三味線は…基本的に変な指使いがないので、一番楽かも。
でも、やっぱり力入ってます。
どんなに、いろんな人の指導法や練習方法を読んで、訓練してみても、力抜けないのよ。

賽馬は相変わらずだし…
今回は、レッスンについて書くこともないので、脱線して雑談。

雑談のテーマは「もう、やめたい(^^;」
つーか、このセリフ、二胡習って一日目から、毎日、一回は心の中で言ってるな。
でも、先生に直接、言っちゃったことはない。
一度だけ我慢してもしても涙が止まらなくなって、半泣きしたことはあったな。
実にナナ先生に申し訳ないと思いつつも、泣いたらどうにかなるものでもないのに、子どもじゃあるまいし…
ナナ先生はなんていうか、私よりう~んと年下ですが、10代から生徒をもっているだけあって、心はすでに女将さんみたいな感じです。
自分もかつて泣いたことあるんだろうし、たまに子どもの生徒がこらえきれなくて泣くのをいっぱい見てきただろうから、なんかもう、どっしり構えている感じ、

じゃあ、三弦はやめたくなったことないのかっていうと、最初の1年はやっぱりやめたいと何度も言いました。
私は上手くならないと楽しいとは思えないタイプです。
その「上手」の基準もかなり高いというか素人がそこまで思っちゃいけないレベルなんで、挫折することが最初から分かっているわけで、じゃあ、本来、楽器なんて歳とってからやっちゃあいけないんですよね。

トシミネ先生に何度も嘆きながら、三弦やめる~やめる~って言ったんだよね。
今思うと、よく忍耐強く、「もうちょっと経ったら楽になる、面白くなる」ってとアヤしてくださったものだと思います。
…っていうか、ぶっちゃけ、トシミネ先生も私が手の大きい日本人だから教えたかっただけです(日本人なら絶対に三味線弾けるし(んなわけないけど、彼はそう思ってた)、将来ずっと弾いてもらいたい、そういうことです)

今は直接トシミネ先生に「やめたい」と嘆くようなことはしないけど、「もっと早くやめるべきだった」とつい周囲に言ってしまいます。
もう、今更、やめてもねぇ、つぎ込んだ時間とお金は帰ってこないし…
実際、三味線やギター弾ける人は、一日もかからずに私のレベルに達すると思うので、すごく複雑な気持ちです。
ただ、ギター弾きと私の違いは、技術は10倍、彼らの方が上手いに決まってるけど、中国語分からないから、伝統曲弾けないでしょ、ってことぐらいかな。
もちろん、譜面はあるから、彼らは譜面どおりにキッチリ弾けるでしょうけど、譜面どおりに弾いていいわけじゃないんだよね。
まず、音階が違うし(この派の曲のファ#は、十二平均律のファ#より高めとかいう類です)、あと、西洋的なリズムじゃない(四分の二拍子で譜面が書かれていても、西洋の四分の二拍子ではなく、本当は「八板」なんだよという類)、西洋音楽ではない別のルールがあるんだよ)ってところは、ちゃんと勉強しないと分かんないよねってことぐらいです。
中国人だって若い子は板式なんて、うちの大学みたいに、戯曲を唄わされる必須科目でもない限り、意識してないと思う。
だから、若い子は譜面どおりに弾くので味も素っ気もないけど、民間の年配の芸人さんが弾くと、技術自体は大したことないけど、味があるわけです。
トシミネ先生は私の前にも一人、学生時代に日本人を教えたことがあると言ってましたが、あんまり中国語出来なかったみたいで、もう、その生徒の名前が思い出せないって言ってます。
つまり、ず~っと見よう見まねで教えて弾いてただけで、お前みたいにべらべらいろんな愚痴言わなかったし、雑談もしたことないとのことです。
私もたま~に比喩や四字熟語分からないことありますが、そういう時は「ぽか~ん」とアホ面しているらしく、「意味、分かんないのかよ、かくかくしかじかって言えば分かるか?」と言い直してくださいます。
トシミネ先生は私よりチョットお若いのですが、いつもお父さんみたいだと思います(汗)。
学生時代から子ども相手に教えてきたせいか、心が親父さんぽくなるんでしょうか…

三味線はやめたいといったことはないですね。
だって、やめたいって言ったら、日本じゃやりたい人は多いし、上手い人はかなり多いから別にこの芸能を伝承しなきゃって先生も思ってないから、「あ、そう」って言われるだけのような気がする。
これ言ったらこれっきり最後だと思うから、怖くて言えないよね。
ただ、三味線の場合は、ほんと、心から欲しい、心から盗んでやりたいとい思う音っていうのに出会ってしまったので、とりあえずやめません。
ちなみに、師匠は私より年上ですが、ヨイショしてるわけではなくオジサンには見えないです。
もしかすると彼の場合は若い頃からご年配の人を教えてきたせいで、ナナ先生やトシミネ先生とは違った歳のとりかたをしてるのかも。
もうやめたいと言って泣いたって、きっと唖然と見てるだけで、絶対アヤしてくれないと思います(^^;