いろんな暗譜の仕方があると思いますが…
ある方のブログを拝見していたら、その方はフォトコピー方式で覚えてしまうとのことでした。
フォトコピー方式、つまり見たままを写真に焼き付けるかのごとく記憶する方法ですね。
ちなみにその方は、譜面に限らず、子どもの頃からずっとそういう風に勉強なんかもしてきて、世の中にはそういう風に物事を記憶していない人が結構多いことに、ある程度成長してから知ってびっくりされたのだそうです。
私は最初の大学生時代、周囲に司法試験受験生が多くて、そういう方法があることを知りましたが、私自身はどうしてもそんな風に視覚的には覚えられませんね。
指揮者の方で、家で譜読みしている時に、たまたまコヒーのしみかなんか付いてしまって、それすらも頭の中の楽譜に記憶されちゃってるらしいし…うっかり頭の中で一頁すっとばして譜面をめくって大変なことになったとかいう話を聞くとすごいな~と思います。
演奏家の方によくあるのが、頭では人に説明できるほどクリアに覚えてなくても、手は覚えているよっていうパターン。
「何か譜面とXX先生の実際の演奏が違うんですけど、私はどう弾いたらいいんでしょうか」と三味線の師匠に聴いた時とか、三弦のトシミネ先生に聴いた時とか、よくあるのが、本人、そのまま頭だけで考えて返答できないけど、実際に楽器持って弾くか、エアで演奏し始めると、ちゃんと再現されるんですよね。
手が自動化されているんですよね。
私の場合、実は譜面読むの苦手で、初見ボロボロなんです(^^;
理屈では、譜面の約束事、音符の長さは分かってるんですが、実際に弾くと違ってる…(頭で考えて手を動かすまで時間がかかり過ぎる)
私が譜面を見ている時は、往々にして音高の確認のためで、メロディの確認じゃなかったりします。
だから、暗譜は、実際の音源聴いて覚えてしまいます。
それはもう、私は頭悪いんで、何百回、何千回、繰り返し聴いて、自分が心の中で唄えるまで聴きます(本当です)」
自分の演奏時は、自分の心の中の再生機で再生しながら、それに手が合わせていることになります。
ちなみに、心の中では、相対音階に基づく階名でメロディは流れます。
三味線のように、譜面がツボ(音高ではなく、棹の押さえる場所)が書かれている譜面だと、私は単にどの糸を使用するのかということと、スクイ、押し撥などの記号、唄の出だしを確認しているだけで、メロディを確認するために譜面は見ておらず、やっぱり相対音階に基づく階名に従って弾いているだけです。
だって、どこのツボを押さえるんだなんていう楽曲と関連性のない情報なんていちいち覚えられないよ…
それと、チントンシャンとか、チリレレっていう口三味線だと、私の耳にはそうは聴こえないから、覚えても意味ない(笑)
そういえば、三味線の師匠が何か思い出す時とか、太鼓のパートを唄いながら弾く時って、ふ~ん、師匠の耳から入る音の情報と脳の言語処理は、こういう関係なんだな~って自分とは違うところあって面白いと思います。
さて、練習が足りなくて、手が自動化されていない状態だと、当然、頭の中は空っぽなので、「どうして、そんなに味気なく弾けるのかねぇ…(ため息)」と三弦や二胡の先生に言わせちゃうことになります。
ちなみに、三味線では言われません(それは唄の伴奏だから、別に素っ気なくてもいいからでしょうね)
トシミネ先生には「覚えてから弾くんじゃ、効率悪いから楽譜見ながら弾け」って叱られるンですが、楽譜見ながらだと気が散ります(笑)
「今は一曲が長くてもせいぜい5分だからいいけど、将来、大きな曲弾く時、困るのはお前なんだから、今からちゃんと譜面見て弾け!」って叱られました。
でも…
「せんせぇ…私にそんな大型の曲(三弦コンチェルトみたいなやつね)弾く機会なんて将来やってこないと思う…(;_;)」
とつい、リアルな泣きごとを言ったら
「うぅ…確かにそうかもしれないけど、分かんないだろ、そんなことは!」
と慰められました(^^;
トシミネ先生は、普段、私が自分より歳上ってことをコロッと忘れてて、つい自分の生徒の音大附属中高生、音大生相手のつもりで喋っちゃうんですよね。
だってね、三弦という楽器はオケと合わせにくいから(音が抜け過ぎる)、曲も少ないし、二胡コンチェルトみたいに商業ベースに乗らないから、上手い人でもなかなかそんな機会ないんだよ~
ちなみに、譜面が読めない人がどうやって音楽を記憶しているのかという仕組みについて、当然、音符の記憶ではないのですが、どういうメカニズムなのか、科学的な研究はまだあまりないんですってね。