私が三弦でしたいこと

ruan
写真は、中国の民族楽器「阮」(中国語読みでRUAN、日本語読みだとゲンです)によるコンサートを収録したDVDであります。
タイトルが三弦なのに、なにゆえ別の民族楽器の説明から入るかな。
でも、前提としてちょっと関係あるので…
阮は唐代にはすでに存在した古い楽器でして、現代のものですと四本の弦で、ピック使って弾きます。
最近の楽器の改良などを経て、大きさ(音域)によって大阮、中阮、小阮とあります。
まぁ、ギターなんか弾ける人には簡単な楽器かと…
フレットありますから、多少音感悪くても何とでもなります(笑)

これも三弦と同じくらいマイナーな民族楽器ですから、ちまたに流通しているCDやDVDの数は少ないです。
このDVDも珍しい類、中央音大の楽団の世界初演の作品ばかりを集めたものだそうです。
基本的にすごく西洋っぽい演奏でした。
最初の曲なんて、阮とオーケストラの共演で、西洋音楽(きらきら星変奏曲、エリーゼのために、ボレロ等、誰でも知ってる名曲ばかり)のメドレーだもんね。
さすが、音の粒が美しい現代的な演奏でした。

う~ん、阮は楽器の音色とか構造上、西洋音楽と融合させやすいんだよね。
それに比べて三弦って…音が特殊すぎで、オケの中でメロディ弾くと浮くし、かといって声楽以外の楽器の伴奏をさせると何かチョット変。

私は民族楽器で西洋音楽を聴く(又は弾く)のは嫌いじゃないですが、本当に弾きたいものは、伝統的な曲なのです。
中国の人の発想は、楽器や音楽を改良・発展させて、西洋に出来る限り近づこうとするけど、私にしてみたら、西洋もんは西洋の楽器がやればいいわけで、私から見た中国も外国なので中国らしさ、捨ててほしくないんですよね。

唄手さんに歌ってもらって、三弦伴奏するのも、まぁ、それはそれで面白いけど、
私が本当にしたい事は、具体的に言えば、二つか三つの民族楽器だけを使用した室内楽です。
昔は、琵琶、筝、三弦、二胡などの楽器で、芝居の前座又は唄の前奏として、ユニゾン合奏したわけですが…
でも、ユニゾンで弾くって、今の人にとってはきっと、ツマンナイんだよねぇ。

大合奏も人数多ければ多いほど、音量とインパクトはあって、演出として見る分には豪華だけど、西洋的感覚に慣れた人からしたら「何で同じ旋律を皆で弾くかな~」ってことなんでしょうね。
私も見る分には楽しいと思うけど、自分が弾く側だったら、あるいは目が見えなかったとしたら、別にあんまり感動しないです(三味線の師匠もたまにこのブログ見てらっしゃるだろうから、問題発言かな…好みの問題だから、しょうがないよね)。

私はメロディとメロディが交差するような合奏ができないか日々、夢を見ているのですが、今のところ、本人の勉強と技術不足でできません(笑)
お友達のミズキちゃんは、筝とチェロのデュオCDでお薦めの曲があって、すごく素敵だと言っていました。
↓こういう感じです。
http://v.youku.com/v_show/id_XNDkyOTU5NDQ=.html
でも、三弦とチェロは…ビミョ―だろう(^^;
しかしながら、私は三弦と二胡はいけると思っているのです。
とりあえず、ボランティア演奏で試しにやっちゃうつもりです(^^;
失敗だったら、ゴメン。

だって、例えば大鼓(唄い手さんが、太鼓と板を自分で打ちながら唄って、三弦などが伴奏する伝統芸能です)の前弾及び伴奏なんて、三弦、四胡、琵琶だしねぇ。
あれから、唄を取ってしまい編曲しなおしたら、現代人が聴いて楽しい音楽、できそうな気がする。
事実、そういう独奏曲はある…

ちなみに京韻大鼓という大鼓の一種はこんな感じ。
私の好きな駱玉笙先生

http://www.56.com/u72/v_Mzk4OTM3MTc.html

冗談抜きでうちの大学の「民族音楽概論」という講義をとると、これ唄わされます(^^;
でも、こういうのを唄わさせられる音楽科は他大学ではないんじゃないですか(笑)
もう、忘れちゃったぁ~

ちなみに、大学の民族器楽専攻でやる三弦は、三弦の規格をある程度統一してしまい、地方の伝統芸能を寄せ集めてきて、興業の前座で弾かれた小曲、または歌唱の前の前奏部分が独立して残っている器楽曲、伝統芸能を元にして作られた現代の独奏曲、少ないですが西洋オケとのコンチェルト、中国の筝や琵琶から移植した曲、外国から移植した曲(例えば、モーツアルトの「トルコ行進曲」、日本の筝の「さくらさくら」等)を演奏しているわけです。

三弦って筝と違って、ピアノみたいに十二平均律とかでもいい音がするわけじゃないし、その土地の文化にドロドロに染まった変わった音がするんだから、無理に外国に迎合するより、伝統に染まっちまった方がいいんでないかという気がするんです…
でも、以前、ネットの動画で見た三弦と新疆手鼓にアレンジされた鼓動(原曲は吉田兄弟さんの三味線曲)は悪くなかったです。
でも、あれは、伝統をぶち壊す今っぽさというよりも、ものすごく伝統を意識してるような気がするんですが…。

譜面のプリントミス

譜面のプリントミスって、意外と多いですよね。
二胡、三弦、三味線、いろいろ見つけてしまいます(^^;

私は譜面読むの苦手で、聴いて覚える方なので、何度も聴いた後、確認のために譜面見ると、あれ?と思うことがあります。
逆に、市販されているCDとかでも、演奏家がミスってる(数音すっ飛ばしている)というのもないこともないですが…こっちは、稀ですね。

でも、今日、発見したのは、中国三弦のむか~しの曲で、もとはと言えば、口伝だったもの。
だから、演奏家によって、ところどころ、違うのは当たり前だったりします。
そんなわけで、私も間違ってるんじゃないかと判断できず、でも、1年前の、先生の演奏録音を聴いたとき、譜面どおりに弾いてない…ということでお尋ねしたら、先生も即答できない…と悩んじゃいました。

結論は、曲全体の構造からみて、私が指摘したパターンの方が道理に合っているので、多分、そっちが正しいだろうと…
実際、先生だって無意識に、当時、譜面見てたのに、譜面どおりではなく、私が思ってたように弾いてたわけだしねぇ。
おそらく、先生も子どもの頃、そういう風に習ったから、無意識にそう弾き続けてきたんじゃないんですかねぇ。

翻訳の校正とかでもそうだけど、人って自分の見たいようにしか見えないんですよ。
譜面も、そう思ってるとそういう風に見えてしまう。
だから、何年も誰も気づかないまま、時が過ぎていることもある(^^;
で、私のような素人は、玄人の方と違って、見たいように見えるものがまだ育っていないので、先入観なしに譜面を見るから、気付くわけですな(笑)
譜面の校正は、高弟にさせるのではなく、初心者に一度弾かせた方がすぐに分かるんでないかい?(笑)

余音を引きずる

私は、現在、3つの楽器を同時に習っていることになるわけですが、これらの楽器に共通する特徴はフレットがないということです。
で、フレットがないゆえに可能な表現といえば、滑音なわけですが、私はこれが聴覚的に大好きなのに、運動能力的に超苦手です。
私の三弦の先生は、「重箱の隅をつつく」という表現が適切なくらい細かいことを指摘して妥協を許さないお方でして、それはホント、しつこいので、ぐったりすることもあるのですが、ある意味、ここまでしつこく悪いところを指摘してくれると、実は他の楽器やってるときも、他の先生は妥協してか(あるいは私が落ち込むのを避けるためにか)、あまり触れないようなことでも、あぁ、同じような悪いところがあると自分で分かって便利でもあります。

で、滑音にはおおざっぱに、二種類あります。
一つが前の音と後の音の間、押さえた指を指板から外さずに滑って、少し高い音(あるいは低い音)の余音を次の音に巻き込む方法です(実滑といいます)
二つ目が、前の音を弾いた後、次の音に移るとき、そのまま指板から指を外さず、余音をリズムに基づいてひっぱってきて、実際にはその音は弾かず、余音だけで出す音というものです(虚滑といいます)

虚滑が連続して続くと大変なことになります。
たとえば、レミ、レミ レミ と弾くとした場合、レはちゃんと弦を弾く、ミは弦を弾かずレの余音だけで出します。
でも、次のレは当然また弾き、ミは余音だけです。
それを早く繰り返すと、ミからレに行くときも、指が指板から離れず、すべて滑った音がつきまとうことになります。
これをトシミネ先生は、「ねばねば」と表現します(^^;
ぬかるみを歩くようだとも言います。泥がくっついて離れないってことですね…

二胡なんかも、指板がないから、いつも必然的に指が弦の上にのっかっているわけですが、
例えば、弓を返さない状態、一弓で、G調の第一ポジション、人差し指だけ使って、外弦ミソ ミソ ミソ…とやって、ミとソは滑って、ソからミに戻るとき滑音をなるべく出さずに弾けますでしょうか?
ゆっくりならともかく、速くなってくると、私はアヤシイです。

三味線はサワリがつくので、きっと余音があって当たり前の状態が多いですし、私の師匠は私に甘いので何かをおっしゃることはないのですが、きっと、めちゃくちゃなスリ方をしていると思います。
っていうか、私はそもそも、三味線には何種類のスリがあるのか知りません(^^;

変な余音を残さないようにするためには、押さえた指をとっさに指板から離して(二胡だとさらにやっかいなのは、弾く系の楽器と違って、右手の弓はずっと擦っている状態ですから、一瞬軽く、右手も力を抜いている瞬間があるはずと思います)、ポジションを異動する必要があります。
でも、きちんとした滑音をだすために、前の音を弾く時は、きちんとした圧力によって指が指板を押さえていないといけないので、その力がとっさにぬけましぇ~ん(;_;)

一体、どうやったら、脱力してポジション移動できるのさぁぁぁ!!!
誰かコツを教えてください。
と叫びたいですが、
聞いても「一年や二年で、悟れるもんじゃないんだよ、気長に練習することだね」という回答しか得られません。
そらそうだな、音大生だって少なくとも10年以上弾いているし、先生に至っては、20年も30年も弾いているわけだとは思うものの、
(しかも、その10年20年は趣味の人とは練習量が違うことも知ってます)
往々にして先生とか演奏家ちゅうものは、優秀な人ほど自分が簡単に出来ちゃったから人にあれこれ教えられないんですよね…
ナナ先生とかは、知らないうちに、いつの間にかできるようになった、としかおっしゃらない。
すごく不器用な人で、天賦の才能に恵まれず、イタイような努力だけで先生になった人、いないんでしょうかね…
↑普通は、本人辛くて途中でやめるし、長い年月、時間とお金のかけられるような環境は普通の人にはないから、いないんでしょうねぇ…