余音をコントロールする

おや、記事を書こうと思って初めて気づいたのですが、「よいん」と打っても「余音」って日本語で出てこないんですね。
日本の辞書だと「余音」は「余韻」に同じとあります。
いや~私は中国語的に見てしまうせいか、ずいぶん、違うと思うけど?

弦をはじく系の楽器は、猫が引っ掻いても音が出るもんだから、極めて簡単なイメージがありますが、私は弦を擦る系の楽器より難しく感じます。
なぜか?

弦を弾いてしまったら最後、弦を弾いた時の角度、速度がその後の音の行方を左右する…今更、修正できない

多分、弦を擦る系の楽器だと、初心者は弓を持つ手に力が入り過ぎるので、人によっては「ぎーこー ぎーこ」になるので、相当難しいと思われがちですが、力抜きゃ、案外誰でも音出せるんだけど…(もちろん、安定した音色を持続するのには、長年の訓練が必要なのは、どの楽器も同じですが)
でも、他人(特に素人の方)の眼にはすっごく、難しいことをしているように見えるので、下手でも許してもらえそう。

が…弾く系の楽器は、猫が引っ掻いても音が出るだけに、超簡単に見えて、トレモロとか連続して安定した音色で均一に弾くことの難しさは、他人に分かってもらい辛い。
下手くそがそれなりに下手くそに見えるだけならまだしも、「ど下手くそ」に見えてしまうような気がするのは私だけだろうか(^-^;

猫に二胡は弾けないだろうしなぁ。
そういえば、猫の寝息で、横笛が鳴ったという話を聞いたことがある(笑)

メロディをテキトーに弾くだけなら、案外、誰でもすぐに出来るのが、弾く系の楽器のいいところ。
でも、先生方のような余音を響かせるのに、一体、何年あれば足りるのだろうと思う今日この頃。
師匠を見ていると、ビブラートをかけなくてフツ―に弾いているだけでも、何でこんなに響くのか本当に恨めしい(^-^;
あ、また日本語の使い方間違ってるかも…

そういえば、ある筝の演奏家が、取材で写真を一枚撮らせてくださいということになり、
先生に一曲、演奏してくださいというのは、申し訳ないと思った取材者が


「先生、テキトーに弦を一本、弾いてみてください」

と言ったところ、

「そんなオソロシイことはできない…」

と言ったとか、言わないとか(笑)
一本の弦をぽ~んと弾くだけの難しさ、なんか分かりますよねぇ。

来年の目標

法律条文風に、来年の「してはならないこと」を書きだしてみました。

筝の練習は一日1時間以上してはならない。
二胡の練習は一日2時間以上してはならない。
ネットは一日30分以上見てはならない。

三弦と三味線に関してはこの限りでない。
(やりたいだけ、やれば?)

私って…一生、まっとうな人生をおくれそうにもないんだろうな。

指甲(つけ爪)


つけ爪と言っても、お洒落のためにする可愛いヤツではありません。
三弦を弾くための道具です。

もともと三弦は人差し指と親指で爪弾きます。
河南南陽地区の河南板頭曲(歌の開演前に観客に開演を知らせるために弾いた器楽曲、又は早く来たお客さんに退屈しのぎに聴いてもらう器楽曲)ですと、そこに中指も加わります。
最近では琵琶の奏法をとりいれて、五本の指を使う楽曲もあります。
指を三本以上使う奏法を輪指といいまして、五本全部使って掻き鳴らすのは五輪指、四本なら四輪指、三本なら三輪指、これらの組み合わせの輪指等です。

私はまだ五本の指全部使えません(^^;
が、つい先日、練習方法を教えてもらったので、まだ指が動くうちに練習しようと思います。

歳くってるからなぁ、たとえマスターできたとしても、使い物になるぐらい速くできるようになるんだろうか???
いちおう、大昔にピアノ弾いてたから、薬指や小指が独立して動かないということはないけど、どうなんだろうね。

さて、この爪ですが、セルロイドで出来てます(加工がしやすいから)。
それを医療用などに使われるテープで巻きます。
(何回か使って、テープの粘着力が低下してきたら、換えるっていう感じです)
昔は鼈甲なんかもよく使われたみたいです。
筝の爪などは、水牛とかも使われるみたいですが、三弦では聞いたことないですね。
日本の筝のような象牙ちゅうのも、聞いたことないなぁ。
京劇三弦の先生で、ステンレス製を使っているとおっしゃった人もいますが、私的には「え~!!ステンレス?」ですね。
いくら摩耗が少ないと言っても、音が硬くなりすぎやしませんか…???
日本だったら、ステンレス製の爪で、お琴とか弾こうとか、ステンレスの撥で三味線弾こうって発想は絶対にしないよね。
琵琶の爪などはセルロイドが主流みたいですね。

習い始めの頃、当然といえば当然ですが、なかなか思うように弦がはじけないので、この爪がボロボロになります(笑)
信じられないくらい弦に深く入り込んだりすると、かなり上の方まで弦によってこすれた痕跡がつきますし、角度がオカシイ場合は、斜めに摩耗していったり、ギザギザになったりということもあります。
私のこの爪は3個目ですが、最初のは摩耗がひどくて換えて、二個目は失くしてしまい、3個目なんです。
使い始めて何カ月もたっているのに、きちんと頭の方からすり減っていって、我ながら感心。
人間、いちおう進歩はするもんですね。
面白いことに、皆さん、最初に使った爪は捨てずにとってある人が多いんですよ。
記念なんでしょうかね。
ちなみに私の一個目の爪は、先生のおさがりで、もともと摩耗していて、私がさらにそれをボロボロにしてしまって、人には見せられないです。
何で自分で新しいの買わなかったのかって?
腹立つことに、ちまたの普通の楽器屋では、まず扱ってないんですよ!
超マイナー楽器だから。

爪…ちまたで売っているのは、昔ながらの超でかい爪(ここまで長いと使いづらい、今時これを使うのは民間芸人の爺様ぐらいじゃなかろうか…)
弦…ちまたで売っているのは絹製(三味線の弦と同じ感じ)、でも我々が使うのはスチール弦。スチール弦の中でも、最近の改良弦は、普通の楽器屋ではなかなか置いていない。

中国人は楽器や道具をどんどん変えていく…変えすぎも、どうかと思う時もある(^^;
しかし…何故、外国人の私が三弦の附属品探しに苦労して、爪や、改良弦のことを楽器屋さんに説明しなきゃならんのだ???