指甲(つけ爪)


つけ爪と言っても、お洒落のためにする可愛いヤツではありません。
三弦を弾くための道具です。

もともと三弦は人差し指と親指で爪弾きます。
河南南陽地区の河南板頭曲(歌の開演前に観客に開演を知らせるために弾いた器楽曲、又は早く来たお客さんに退屈しのぎに聴いてもらう器楽曲)ですと、そこに中指も加わります。
最近では琵琶の奏法をとりいれて、五本の指を使う楽曲もあります。
指を三本以上使う奏法を輪指といいまして、五本全部使って掻き鳴らすのは五輪指、四本なら四輪指、三本なら三輪指、これらの組み合わせの輪指等です。

私はまだ五本の指全部使えません(^^;
が、つい先日、練習方法を教えてもらったので、まだ指が動くうちに練習しようと思います。

歳くってるからなぁ、たとえマスターできたとしても、使い物になるぐらい速くできるようになるんだろうか???
いちおう、大昔にピアノ弾いてたから、薬指や小指が独立して動かないということはないけど、どうなんだろうね。

さて、この爪ですが、セルロイドで出来てます(加工がしやすいから)。
それを医療用などに使われるテープで巻きます。
(何回か使って、テープの粘着力が低下してきたら、換えるっていう感じです)
昔は鼈甲なんかもよく使われたみたいです。
筝の爪などは、水牛とかも使われるみたいですが、三弦では聞いたことないですね。
日本の筝のような象牙ちゅうのも、聞いたことないなぁ。
京劇三弦の先生で、ステンレス製を使っているとおっしゃった人もいますが、私的には「え~!!ステンレス?」ですね。
いくら摩耗が少ないと言っても、音が硬くなりすぎやしませんか…???
日本だったら、ステンレス製の爪で、お琴とか弾こうとか、ステンレスの撥で三味線弾こうって発想は絶対にしないよね。
琵琶の爪などはセルロイドが主流みたいですね。

習い始めの頃、当然といえば当然ですが、なかなか思うように弦がはじけないので、この爪がボロボロになります(笑)
信じられないくらい弦に深く入り込んだりすると、かなり上の方まで弦によってこすれた痕跡がつきますし、角度がオカシイ場合は、斜めに摩耗していったり、ギザギザになったりということもあります。
私のこの爪は3個目ですが、最初のは摩耗がひどくて換えて、二個目は失くしてしまい、3個目なんです。
使い始めて何カ月もたっているのに、きちんと頭の方からすり減っていって、我ながら感心。
人間、いちおう進歩はするもんですね。
面白いことに、皆さん、最初に使った爪は捨てずにとってある人が多いんですよ。
記念なんでしょうかね。
ちなみに私の一個目の爪は、先生のおさがりで、もともと摩耗していて、私がさらにそれをボロボロにしてしまって、人には見せられないです。
何で自分で新しいの買わなかったのかって?
腹立つことに、ちまたの普通の楽器屋では、まず扱ってないんですよ!
超マイナー楽器だから。

爪…ちまたで売っているのは、昔ながらの超でかい爪(ここまで長いと使いづらい、今時これを使うのは民間芸人の爺様ぐらいじゃなかろうか…)
弦…ちまたで売っているのは絹製(三味線の弦と同じ感じ)、でも我々が使うのはスチール弦。スチール弦の中でも、最近の改良弦は、普通の楽器屋ではなかなか置いていない。

中国人は楽器や道具をどんどん変えていく…変えすぎも、どうかと思う時もある(^^;
しかし…何故、外国人の私が三弦の附属品探しに苦労して、爪や、改良弦のことを楽器屋さんに説明しなきゃならんのだ???