人をたらしこむ演奏技術

演奏を聴いた時、ドキドキすることありますよね?
科学的には、その瞬間に脳から快感物質であるドーパミンが分泌されているのだそうです。
ちなみに、このドーパミンはおいしい食事や性行為など気持ちいい体験をしたときにも分泌されるものらしいので、音楽でそれに匹敵する「快楽」が得られるってなんかすごいですね。

そして、世の中には、ミスもなく譜面どおりに速く弾けているのに、全然、感動しない演奏というのも現に存在します。
自分が弾いている場合もそうなので、反省もこめて、何が足りないんだ?ということをテーマに書いてみようと思います。

音楽学者のLeonard Meyer氏は1956年の著書でこんなことを言っている。

「人は音楽を常に予測して聴いており、そこから少し外れることによって情動が生まれる」

情動とはすなわち、驚きや緊張、感動と言ってもいいだろう。

作曲家はこのことをよく知っていて、適度に予測を外しながら感情表現をコントロールしている。

—音楽と恋愛はなぜドキドキするのか【心を動かす音の心理学】~齋藤 寛 より引用。
http://www.yamaha.co.jp/ongakukiji/news.php?no=13733

よく、恋愛などでは、ある人の予想外の部分を見せられたりすると、コロッとまいってしまうことがあると言われていますよね。
人は意外な一面というやつに弱いんです。
だから、音楽なんかもそういうことがあるらしいんです。
作曲家は、よくある和声進行をしときながら、突然、なんかちょっと違う音を出してきて、聴衆をたらしこもうとしているわけですね(笑)

演奏家もそうだと思うんです。
淡々と音符を弾くだけじゃ、誰も恋に落ちてくれないので、これでもかこれでもかと、あらゆる手段(駆け引き?)をお使いになるようです。

分かりやすいのが、音の強弱。
準備段階で、ある程度、音量落としておいて、ここぞというときに、どおぉーんと音量を上げれば、誰しも心拍数が上がるので
「このドキドキ、まさか恋?」
と勘違いしてくれる人もいる…かもしれない。
{( ̄□ ̄; そ、そんなアホな~

あと、間の取り方とかも大事かも。
原則、譜面どおりなんだけど、
リズムが変わらないギリギリのところで、飛んだり跳ねたり、まったりともたれてみる。
ずっと同じ調子だと、単調で飽きてくるというか、慣れてしまって何も感じなくなるけど、
ころころ表情を変えることで、
「え、コイツに、こんな一面もあったんだ」と思わせればしめたもの。
( ̄∀ ̄牛) うっしっし…

それからやっぱり音色でしょうか。
普段、そっけないくせに、ここぞというときだけ、「ねぇ、ねぇ」と甘えた声(音)
を出せる人もいるんだよなぁ。
ツンデレは、人気ありますξ゚⊿゚)ξ

大人だと、速弾きというのには限界があるので、この音色の変化ってやつを追及するのは、いい考えかもしれないと最近思います。
これは、確かにビブラートのかけかたとかで音色が変わるので、やっぱり手が速く動かなきゃダメじゃんっていう部分がないとは言い切れませんが、左手を上から下へ下から上へ、16分、32分音符の連続という技巧に比べたら、何とかなりそうじゃないかな。
こう言っちゃなんだけど、作者本人が弾いている「二泉映月」を聴きましたが(昔の録音なので雑音いっぱい…)、技巧的には今の若い子の方が運動能力や知識がずっと優れているわけですが、ああいう素朴な感じとか、人生の色みたいなものは、若い子にゃ絶対に出せないと思うんですよね。

なんて、書いていると、
素晴らしい演奏者って、舞台の下でも、すごくモテるんじゃないか
と思います(笑)
お師匠様方、さぞや、おモテになるんだろーなー
いいなー .。.:*・゜゚・(´ー`).。*・゜゚・*:.。.

余談だけど、音楽科の女学生、数人が言うには…
「音楽やってる男性って、あちこちの女の子に優しくって、当てにならないから、付き合いたくない」
わはは…
でも、私の知っている男性の器楽の先生は同業者や教え子と結婚して、仲よさそうだけどなぁ。
じゃ、音楽やってる女性はどうなのよって思うけど、男性の口から、「当てにならないから、付き合いたくない」と聞いたことはないなぁ。
というより、そういう人をお嫁にもらったら、ピアノとか筝とか、大きな楽器がくっついてきちゃうから、置き場所に困るとか、いつも練習で大量の音を出すからどうしようとか、それに耐えうる家が借りられないかもしれず、大変だっていうのはあるかもしれない…

ちゃんとした内容を期待して読み始めた方、m(。-_-。)mス・スミマセン

じょんから旧節~三味線と三弦の脳内合奏

大三弦の通常のチューニングはGDGです。いわゆる棹の長さの比率から、三味線のツボをそのまま大三弦にあてはめると、そのままの指使いでも、「じょんから旧節」とかも弾けますが、低音なので、何か「?」な曲になります。
京劇三弦なんかだと、棹の長さが津軽と同じなので、弾きやすいかもです。
ただ、当たり前ですが音色が違うし、皮を叩かないので、そのままだと打楽器的要素がなく、全然、カッコよくないですね。
小鼓か手鼓かなにかと合奏しないとリズム感ないです。

先日、ぼ~っっと小山貢民謡集第二集の「じょんから旧節替手」を聴いていたら、あれっと思いました。
この替手って、結構低音だけで弾いてるよね…
ってことは、大三弦で弾いてもおかしくないんじゃない?

で、さっそく、模範演奏音源を半音上げてDADの調弦に合わせて、左耳にイヤホンして音源聴きながら、自分はGDGの大三弦抱えて、D弦と高音のG弦だけで、替手を弾き、右耳から自分の音を聴きました。
脳内で夢の共演(ちゃうちゃう…(〃⌒∇⌒)ゞえへへっ♪)
感想は…合わないこともないかもしれない(微妙な言い回しですね)

当たり前ですが、そもそも、楽器が追求している音色が違うのでビミョ~ではありますが、やりようによっては面白いかもしれないので、引き続き研究したいと思います。
唄の代わりに笛吹いてもいいかも(笑)

…ってお前、そんなことしてる場合か、三弦の譜読みしてないだろ~(゚_゚i)タラー・・・
三弦の先生に殺される…

何が弾きたい?ではなく、私の何を聴いてみたいですか?

三弦のレッスン中…
もう、この曲は、後はお前が練習重ねて完成させればいいから、次、何弾きたい?とトシミネ先生(仮名ですよ)に聞かれました。
「この系列の曲で、ゆっくりしたのが好きか、速いのがいいか、どっち?」

私の答えは…
「ぶっちゃけ、私が極端に速い曲を弾こうとしても、どんなに練習しても、もう子供みたいには上手くならないし、聴けたものではない。かといって、遅めの曲は現代の若い子は絶対にツマンナイって言うと思う。正直、聴衆受けが良くて、私でも良さを引き出せる曲は何でしょうね…」

あれ弾きたい、これ弾きたいって欲求が全くないわけではないけど、自分の気持ちより、自分にどの程度完成させることができるかどうかをまず考えちゃうんですよね。
先生としては、興味のある曲をやらせれば、意気込みが違うので上達につながるって思うンでしょうね。

でもね…自分がどんなに好きな曲でも、下手くそだったら、誰が聴いてくれるのよ。
聴いてくれる人がいて、聴いてくれる人が夢中になってくれて、聴いてくれた人に喜んでもらってなんぼでしょ?
自己満足だけじゃ嫌…じゃあ、トライできる曲は限られてくると思うんだけど。
プロを目指す若い人ならともかく、私がこんなことが言うのは変かもしれないけど…
私、ものすごく理想が高いので、自分が弾くことに関しては、いつまでも完全に「楽しく」はなれないと思います(^^;
でも、たま~に楽しいなぁって思う瞬間というのは、なくもないか(先生が一緒に弾いてくれる時とかね)。

トシミネ先生が「お前は、俺と一緒だと、割とよく弾けてるよね?何でだろ?」って言うので、
「先生と一緒だと、自分の音じゃなくて、先生の音が聴こえるから気分がいいし(自分の音にウンザリ)、自分の音程が若干狂った時、直しやすいからです」と言ったら、何か呆れられました。

だから、私は「趣味」で音楽をやってるとは言えないと思います。
でも、こういう人間は、一体どこをめざしてよいのかも分かんないので、たまに落ち込みます…
救いなのは、普通の人間はここで、こんなにイタイ自分に、もう耐えられないのでしょうが、私は鈍いせいか、そのうちまた、淡々と練習してます。

二胡のナナ先生も、次に何やりたいって聞くので「現代曲と定番の伝統曲、どっちがいいですかね?」と聞いてみました。
ナナ先生の答えは後者だったので、じゃあ、もう、こりゃ世界中で誰も知らないって人がいない名曲中の名曲「二泉映月」とかでもいいですかねと思い打診したら、あっさり、「いいよ~やってみよ」と言われました。
おそらく、これはゆっくりした曲なので、誰でもそれなりに弾けますが(多分、中級以上の人ならやったことあると思う)、実際のところ、技術的な問題より、表現の上手い人とそうでない人の差がはっきりつくような、オソロシイ曲だという気がします。

津軽三味線のほうですが、前回帰国時、お師匠様が「次はこれやってみたら?」って津軽じょんから節新節曲弾を提案してきました。
でも、曲弾って、お師匠様の模範演奏のようなスピード感と弾みがあれば、華があっていいのですが、そうでないとツマンナイ練習曲みたいに聴こえちゃいますよね(汗)
これは聴かせるものではなく、演奏者を見て楽しんでもらうものだという気もする…
私はと言えば、こんなんだから、見ても楽しいかどうか保証しかねる(^^;
人は見た目が8割って言うし、これは統計的にも裏付けがあるんですよね。

年齢…若くない(今後、干支を聞かれたら、その年の干支を答えますので宜しく)
ルックス…並み(だと思いたい。身長だけはやたらあって176.5センチ。若いころは嫌だったけど、今となっては、そのおかげで手が大きいのだから、よかったと思っているのが救い)

男性や若くて可愛い女の子たちの曲弾きはなんかこう、かっこいいんだけど、若くはない女性グループが、が~って弾いてるのって見たことないかも。
やる人がいないのか、いても人目につかないのか、私が単に見たことないだけなのか…