疾走できなくて失踪したい私

最近、レッスンに関する日記がないのは、レッスンに行ってないからです。
更新を気にかけてくださっている方が何人いるのかは分かりませんが、なんか、技術や知識の足しになる話とか、笑える話が書けなくて、ごめん~って感じです。
こういうの、スランプって言うんでしょうかね?
もともと劣等感が強く、悲観的な思考してるので、軽いウツ状態、軽いスランプは今までも何度もあるのですが、ここまで無気力になったのは初めてかも。

昔は、中国に着くなり、空港から先生にメール打って次のレッスンの約束をしたものでした。
スーツケース持ったまま、空港からレッスンに行ったこともあります。
休みで日本にいる間、一人で練習しているわけですから、早く見てもらいたい、休みで鈍ってしまった技能を元に戻したい、必死だったんです。
それが、中国に着いてから3週間も連絡してないなんて、どうかしちゃったんですよね。
ついでに言うと、冬休みから今までの期間、一日、二日、まったく弾かない日もあったりします。

おとつい、同じ三弦の先生に習っている子にばったり会って、「もう新学期始まってるのに、先生に連絡した?音沙汰ないなーって先生が言ってたよ」みたいなことを言われ、さすがにマズイと思い、ショートメッセージ打ちました。
宿題が先生の理想どおりにはきちんとこなせていないことを謝って、レッスンの約束をしたいと書きました。
宿題こなせてないのかバカ者、って感じですが、努力したって出来ないものは出来ないんですよね。

普通の人は、「好きこそものの上手なれ」で、好きなことは上手なものですし、上手にできないなら、早々に諦めるものです。
趣味の世界ですと「下手の横好き」っていうケースもあるかもしれませんが、それはそれで愛されキャラだったりするんじゃないですか?
どっちのパターンにも当てはまらない自分が何故、弾き続けるのか。
弾くのをやめたら、もう、やりたいことなんて何もないし、死ぬしかなくなっちゃって、それがコワかったから(笑)なんですけどね。
前に母に「私に弾くなって言うのは、死ねって言ってるのと同義語だよ」って言ったら凄くびっくりしてたな。
これには、私なりのもっともな理由があるのですが、もともと才能に恵まれた演奏家やレッスンプロの先生はもちろんのこと、音大生や趣味でやってる心身健康な人には理解しがたい理由なので書きません。
ただ楽しいから弾くというのとはちょっと違います。
プロやプロの卵の方がよくおっしゃる、楽しいだけじゃないというのとも全く異なります。
ま、これは当たり前ですね…そもそも、私にはそんな世界とは無縁ですから。

三弦の先生はお忙しいのか、呆れてるのか、怒ってるのかわからないけど、お返事ないです。
二胡の先生からは、すぐにお返事をいただきまして、「まぁ、そういうこともあるわね。次のレッスンで、次に何の曲やるか相談しようか」みたいなことを言われました。
ナナ先生は今、市外で演奏のお仕事中らしく、北京に戻ってきたらスケジュール確認して連絡しなおすからってことでした。

ここまでスランプなのに、不思議と三味線だけは毎日弾いてるんですよね。
なんでかなと考えてみると、多分、習った期間が短すぎなので、おそらく、ここまでは出来て当たり前の段階で、悩む余地すらなかったのでしょう。
そのおかげで、「弾くの止めたら死んじゃうかもしれない私」が、いちおう普通の生活がおくれてるわけです(笑)
でも、これも、壁にぶつかったので、乗り越えられなくなるのも時間の問題かもと思っています。

もともと弾く理由が、プロを目指している人と違うのはもちろんのこと、趣味でやってる人とも違うのだから、この先、どうしたらいいのか、何を目標にしたらいいのか、何を弾いたらいいのか、お手本にできる人はいるはずもなく、誰かに相談のしようもない。
この先、なんの成果も出ないことに、これ以上、お金と時間を費やしていいわけもなく…
かといって、他にやりたいことなんてもう何もない…
弾くの止めたら、消えてなくなりたい、疾走じゃない…失踪したい。
それで、思考グルグルというのが、今の私の状態なんだと思います。
いや…本当に失踪なんてしませんから(そもそも国外にいること自体、プチ失踪なのです)、ご心配無用です。

二胡LESSON…は年内は無くなった

週末の二胡レッスンは、先生がお忙しすぎて、月曜に持ちこされ、月曜が火曜に持ちこされ、火曜が水曜にもちこされ…結局、今年最後のレッスンは、無くなりました(^^;
この時期、オケのリハーサル等、急に増えたりするので先生すら自分の予定の予測つかなくなって、振り回されました…
私の先輩もクリスマスや新年の公演のリハで、午前中って言われて行ったら、リハ始まらなくて、午後にずれ込み、午後やったら、やったで、これじゃあ、あんまりヒドイってことで、夜中まで…となり、自分の時間の調整がつかないと言って怒り狂っていました。
オケのリハって自分に関係ないパートがどうこうやってる間でも、その注意を一緒に聞いてなければいけないので、自己完結できなくて辛いですわね。

学生オケの場合、私の先輩の専攻は当然、三弦なわけですが、三弦は通常、民族オケには関係ないので、阮や別の楽器を弾かされることが多いんです。
オケで弾くことあったとしたら、低音パートを一人だけで弾くくらいでしょう。
三弦協奏曲で自分が主役はれる場合でも三弦協奏曲なんてもともと数が少ないし、誰も聴きたくないので、まず、オケで三弦は弾けましぇん。
多くの学生は、オケの担当楽器と自分の専攻楽器が合っているので、オケのリハの場所でも、ちょこちょこと自分の楽器に触れていられるから、休憩時間に日課の指の練習みたいなのができるけど、三弦専攻の学生なんて、やりたくもない楽器弾かされ、一日中、自分の楽器に触れないなんて、発狂するよ~、そら気の毒ですよ。
先輩なんて、リハの時間があまりにもいい加減すぎて、自分の練習時間が持てないのでキレちゃって、仮病使ってリハをずる休みし、こっそり実家に帰り、期末試験や院試のために自分の練習してたとか。
これは筝の専攻者も同じみたいですね。
日本だと筝はオケの中でも数人で一緒に弾いたりして、出番いっぱいあるけど、中国の場合、普通は、一つか二つで足りちゃうものね…
やっぱり、二胡や琵琶などは、ソロでも歓迎され、オケでも主流なので、人生にスポット当たりまくりでいいですわねぇ…とマイナー楽器専攻者は思っているのでした。

二胡LESSON111

「春詩」の引子(曲の導入部分)を曲らしく仕上げようという作業をしました。
この引子は散板(中国の音楽用語で、ゆっくりした速度、不規則な自由なテンポ。伝統器楽、伝統劇音楽などの出だしや終わりによく使われる)なので、それこそ、ちまたの先生方のCD聴くと、皆さん、処理の仕方が違います(笑)
ナナ先生がいうには「民族音楽の引子って、いくら自由に弾けって書いてあっても、譜面の枠から外れていいわけないし、そこが下手くそだと、もう、曲全体も最後まで聴けたものじゃないのよね…」
た…確かに。
ここで、人を引き付けるだけの配慮と腕がなければ、誰も最後まで聴きたいとは思わないでしょう。
譜面上では、同じ32分音符が並んでいるだけの部分も、機械的に同じ長さで弾けばいいのかと言うとそうではなく、前後のバランスを見て変えなくてはならない(つまり、音の長さの対比が明確になるように調整する)。後に続く音が長い音符なら、その一つ前の音も、長めになるとか、そういう構造的な話をしてくださいました。

そういう、譜面に書いていないお約束みたいなものをある程度知った上で、先生方の音源聴くと、確かに皆さん、全体的にみたら、み~んな違う弾き方してるけど、原則は同じかも。例えるなら、皆さん、中国語で書かれた台本をお読みになっているので、文法は基本的に同じで、音声も同じだけど、音質と喋り方の癖は人それぞれ違うでしょう?ってことだと思います。
よく留学生が、自国でばっちり外国語を習ってきて成績も優秀だったのに、現地に来た途端、学生(特に若い子)が何言ってるのか分からない、喋れないと言いますが、当然ですヨ、だって、誰も教科書通りに喋る筈ないでしょ~
これと同じで、散板も、ある程度、規則を知ってて、経験つむしかないのかもしれないんだよなぁ…と思います。
京劇とかの譜面みると、最後が「散板」とかになってて、もう、何拍子なのかも分かんないメロディーが畳みかけるように続いたりしますが、分かる人には分かるわけで…
分からない人には分からないんですよ(^^;
何でって?
ある意味、音楽は「言葉」だからだと私は思うからです。
soundとして聞いている分には、どの国の人だろうが、な~んとなくノリは分かります。
でも、文法知らないと、何言ってるのか本当には分からない。
もっと言えば、文法知ってても、その国の習慣を知らなければ、言葉を額面通りに受け取るだけで、言葉の裏の意味が分からない。
これは、外国音楽にかかわらず、日本の昔の音楽なんかもそうだと思うんだよね。
特殊な家に生まれない限り、西洋音楽から外れた音楽を聴く機会は少ないわけで…
普通の家庭に育った人が、いきなり長唄とか、民謡とか聴いても通常は面白くもなんともないと思うんですが(^^;
異国の言葉を知らないので、soundとして聴くよりほかないワケだから…
そんなの、風の音が聞こえる、水流の音が聞こえるという自然音と全く同じですよね。
癒されるわぁ~でお終い(それはそれでいいけどね)。
コミュニケーションが成り立たないというか…。

誤解があるといけないので、ちょっと付け足しますね。
上記は私が、そう思っているということで、私の先生がどう思っているかは知りません。
私は民族音楽に新しいものを加えることに、反感を持っているわけでもありません。
民族楽器を手に取るなら、ちゃんと深いところまで習えよみたいに偉そうなことを人に押し付ける気も全くありません。
日本人らしい外国民族音楽の弾き方があってもいいと思います。
でも、私としては、それは別ジャンルだと思っています。
別ジャンルだけやる人がいてもいいし、その国(地域)の文化にこだわる人がいてもいいし、両方やってる(食うためにやらざるを得ない?)人もいますよね。
それは、人の好き好きと事情によるものでしょう。
私は今のところ、自分ができるかどうかにかかわらず、原型は知っておきたい人なんです。でも、私にどの楽器持たせても、変な音って言われてるんだよなぁ…(^^;
それって、私が日本人がどうこうという異文化問題の前に、単に音楽の資質の問題かもしれないけど…
先生って正直ね…

【余談】
先週はお休みしました。
サボったのではなく、私が週末に熱出してひっくり返り、月曜日にレッスンしてもらう予定が、今度はナナ先生のお友達が薬でアレルギー起こして(アレルギーってショック死おこすから、ホント怖いんだよね)、ひっくり返り、病院やらなんやらで、お互いに時間の調整が付きませんでした。

さて、師走ですが、そろそろ、「いつから冬休み?」「いつから、いつまで日本に帰るの?」という話になります。
まだ、エアチケット買っていませんが、遅くとも一月中旬から、二月中旬まで日本に帰ります。
多分、日本の先生もそうだと思うけど、この業界の人って、年末年始、弾くお仕事がいっぱい入ってくるので、忙しいんですよね。
「12月最後の週は公演の予定が詰まっているので、レッスンしてあげられない」と言われました。
まぁ、そうだろうな…と予想つく話なので、ふんふんと聞いていたら、「でもなぁ、あなた、もうすぐ帰っちゃうわけだし、今、手を付けている曲が完成している訳じゃないし、私としては、今学期、もうちょっと先まで行けると踏んでいたんだよね…ちょうど、あなた自身の心理状態もいいし、この時機逃さずに、もうワンステップ前に行って欲しいから、今週、来週は週に二回レッスンできないかなぁ」と…
おぉ~
せ…先生、熱心すぎて、涙でてきました(T_T)
もっとも、ここは中国、大多数の人がわりと行き当たりばったり的な予定の組み方で日常を過ごしているので(特にお若い方は、年配の人の予定を優先させないといけないので、なお、予定がたたない傾向有)、確実に後4回レッスンできるかどうか分からないけど、そういうつもりで年末、突っ走ろう、4回も無理だったら、残った分は、冬休みの宿題ということで…という予定になりました。