そうかい節?

最近、うちのインコの蒼海君は、言葉を教えて欲しいオーラが半端なく、歌を歌えとか、言葉を頭の上で繰り返せとせがむ。付き合いきれないので、楽器部屋に連れて行って、私の三味線の練習に付き合わせると、本当に真剣に聴いている(^_^;)

鳥なんて、些細な音でも怖がるものなのに、平気らしい。
確かに、私の三味線の音はしょぼい、だから怖くないんだろう。
音がしょぼいのにはたぶん、二つの理由がある。
一つは、音楽一家にでも育ってなければ、家で大きな音が出せなかった人も多いはず。
親兄弟にほんの些細な音でもうるさいと言われて育ってきた恐怖心、これ、結構、日本人には多いだろう(中国人を見習ったらいい…近所が迷惑してても、わりと上手くかわしている…かのピアニストランランも隣人に壁をドンとやられても、やり返すかのごとくピアノを叩いて、ピアノ線を切ったとか相当だったらしい)

二つ目は、自分の下手な音を、大きな音で増強して聞きたくないのである(^_^;)
練習なんだからと割り切って、でかい音を出すべきだが、音程の狂いとかまで増幅されるから、正直、頭痛くなる…
昔、二胡の先生に、毎日、ひどい生徒の音聞いててよく平気ですねと、言ったら、慣れだとおっしゃっていた…(^_^;)
彼らは仕事だし、相手の音を聞いてアドバイスしてなんぼだし、生徒が上手くなってくれたら嬉しいから、耐えられるんだろう。
もちろん、私も私の音を音楽鑑賞のつもりで聞くから、耐えきれないのであって、そこはもっと客観的に聞ければ、ド下手くそだろうが、我慢できるんじゃないかと思う。
人間ができていない自分に反省。

で、蒼海君は、やっと、自分の名前に変な抑揚をつけて「そぉ〜かい、そうかいっ!そぉぉぉかい!」と言うため、冗談抜きで、三味線に合わせて、そればっかり言っている。
多分、私の気をひくために頑張って練習部屋についてくるのだろうが…
そうかい、そうかいばかりでは芸がないので、今度は
「すご〜い、お上手!」と言わせようと、教えている(笑)
会話よりも、抑揚のついた台詞、唄が得意みたいなので、お囃子も教えてあげようと思う(^_^;)
私より、将来有望な蒼海君。
君がデビューしたら、是非、専属伴奏者をさせてくれと、心から願う飼い主でした。
本当にこういう風にケージの入り口で、見上げて聞いている…
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うちのインコの才能

うちで飼っているセキセイインコ。
ゴニョゴニョと喋るものの、人語には程遠い…
例えるなら、周波数の合っていないラジオ放送…
タモリさんがやるナンチャッテ外国語みたいなもの…

本日、なかなかインコがケージに戻らないので、インコを楽器部屋まで連れていってそのまま三味線弾いて、民謡唄ってました。
うるさくてそのうち逃げ出すだろうと思っていたら、気持ち悪いことに(^_^;)、私が唄う姿をジーッと見ている。
私が三味線弾いてると後ろを向いて、自分で何かゴニョゴニョ言っている。
私が三味線を弾くのをやめると、ゴニョゴニョもピタッと止まる(^_^;)

そこまで私の真似がしたいのなら、完璧にマスターすりゃ、芸をするインコとして人気者になれるのに、ゴニョゴニョじゃ分からんつーの。
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中国大陸で三味線の話ができるなんて最高でした

もう、二週間ほど前のことになりますが、日本三味線入門と題して、中国の中央音学学院の一室でお話をさせていただく機会がありました。
中央音大といえば、日本でいえば東京芸大みたいなところなので、この大学のホールで演奏した三味線奏者は少なくないでしょうが、講義室で通訳なしの中国語で、お話しできたのは、私みたいな素人では珍しいかもしれません(^_^;)
たまたま、私の中国三弦の先生がここの先生だったこと、私が一応、芸術系学問の博士課程の大学院生という都合上、このような奇跡が起こったわけです。
それと、あたしだって素人なりに、中国三弦と津軽三味線弾けますし、地唄三味線、義太夫三味線は入門体験レッスンしていただいたことありますから、三弦演奏の腕前はイマイチでも、中国人と日本人の奏者が何考えてるのか、理解しやすいため適任だったと思います。

結論から言えば、めっちゃ楽しかったわ〜
だって、聴いてくれた人が全員、先生の教え子、つまり皆さん、中国三弦が上手に弾ける少数の人たちなので、興味津々で聴いてくれるわけですよ。
私は演奏はあがるけど、講義はあんまりあがらないのね。
で、20年近く大学生と大学院生をしてきた私が経験上言えるのは、ゼミ形式ではないほとんどの授業や講義っていうのは、みんな単位のためにしぶしぶ聴いてるだけだから、目がワクワクしてないのがよく分かる(笑)
もっとも、凄い才能ある先生は講義に興味のない学生を自分の話に引っ張り込むのだろうけど、そういう先生は多くはないし、学術的才能と講義をする才能はまた別モノ。

でも、身内ばかりの中で、皆んなも興味のあることを話すって最高。
しかも、皆さん、ちょっと、教えてあげれば、簡単なフレーズをすぐ弾けちゃうの。
もちろん、ちゃんと津軽三味線になってるかどうかというレベルでは、もちろん、なってないわけだけど(それは私のような大多数の素人日本人だって同じ)、コツみたいなものを掴むのがとっても早い。
久しぶりに「せんせい、質問ですが…」とカワイイ音大付属中学生に言われて、なんか嬉しかったなぁ〜(^_^;)

日本では三味線という楽器は比較的世間に知られた楽器だし、素人でも簡単な曲がすぐ弾けるようになるのは、文化譜とかが音高ではなく指の位置を示したものだというのも普及に有利な要素なんだろうなぁと、皆さん、考え込んでおられました。

もっとも、三味線の右手は、五本の指を全て使う必要がないということ、撥を使って弾くので、微妙に的を外しても弦には当たってとりあえず音は出るということ、左手は基本的に人差し指と薬指を使うことで、規則的にポジション移動していくので中指や小指も使って複雑なポジション移動しなくてもいいということ、棹が(中国三弦より)短いということ、難しくない入門用の曲もあるということが、歳をとってから始めても、そこそこ弾けるようになる要因だと私は個人的に思ってます。

さて、一週間後、新大阪でお友達が教えている中国撥弦楽器の発表会に友情出演してきます。
弾く前にちょっと話してと言われているので、5分ほど、中国伝統音楽を弾く上で知ってると役に立つかもという話をしたいと思っています。
中国三弦は、大人から始めた素人が人様に聴かせられる名曲がほとんどないっていうのが苦しいですね(^_^;)
大好きな中国曲を弾くつもりですが、本来なら3分半ぐらいで弾くべき速い曲ですが、私はそんなに速く弾けないし、速く弾こうと焦れば、ロクでもない音色にしかならないので、4分半も使って、せめて、三弦本来の音色が出るように落ち着いて弾こうと思ってます。
でも、「おそっ、ヘッタクソめ」と私の友達でもなんでもない普通の聴衆は思うかもしれないので、もう、割り切るしかないですよね。

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写真は、私の中国三弦の先生がご友人から譲られた戦後間もない頃、上海の骨董屋で売られていた細三味線。
えーなんでヘビカワ〜(^◇^;)
多分、中国の職人さんに猫皮をはる技術がなかったので、ヘビカワで代用したのでしょう。
最初、「これ、沖縄のサンシンってやつ?」と先生に聞かれましたが、この棹の長さでそれはないと思うし、胴の形が三味線そのものだし。
これで、音大生さんが指で弥三郎節を弾いてくれましたが、中華風の弥三郎でした(^_^;)
撥で叩いたら、どんな音だったんだろう…
はり替えたばかりで皮破ったら申し訳ないから、さすがに撥で思いっきり皮を打てませんでした。
講義案を作成するにあたり、お稽古中に話を聞いてくださった津軽三味線小山会の家元先生、本当にありがとうございました。