亀も転がれば兎についていける

三弦を弾いているところをビデオ撮影されました。というのも、大学の対外事務室(留学生事務室も兼ねる)が何やら講義の参考資料(宣伝資料?)を作るとかで(データベースに外部からアクセスできるのか、内部資料なのかはよく知りません)、要するに講義を撮影させてと言われたので、OKしました。
あの、仁王様のようなトシミネ先生が、今日は口調が優しいの(笑)。
しかし、優しいのは口調だけで、一緒に弾いてくれた時なんて、「兎の猛ダッシュ」モードで走ってくれちゃって…
でもね…ついていけたんです(^^;
トシミネ先生が兎のように走るので、私は亀のように転がってついていきましたよ~
これが撮影されているというプレッシャーによるものなのか、久しぶりにトシミネ先生が曲の始めから終りまで、何度も一緒に弾いてくれたという、「わくわくどきどき」という楽しい気分がそうさせちゃったのか、よく分かんないんですけど、なんか弾けちゃいました…。

録画見せてもらってないけど、多分、すごい形相で、必死になってついていく私の姿が映っていると思います(汗)。
いつもどおり、叱られて、しごかれている画像は、生徒を増やそうとする資料には向かないでしょうけど(笑)、すごい形相でひーひーついていく私の姿も、「この学校で勉強したい」って思えるかどうか疑問(笑)

うちの大学は、留学生が少ないので(短期はともかく、学位取得できる正規の学生や聴講生は異常に少ないのです)、正直増やしたいらしいのです。
でも、少ないの当たり前よね。
語学の勉強なら、語言大、北京外大、師範大あたりに行くべきで、それらの大学は語学習得のノウハウを持ち合わせています。
社会科学とか人文科学やりたいなら、北京大とか、師範大へ行くよね。
音楽だと若い人で、プレヤ―としてやっていきたいのなら、中央音大、中国音大、上海音大あたりへ正規に入学するか、せめて進修生(学位は取れないけど、聴講できます)をしないと…他大学ではハクがつかないでしょうし。
舞台音楽制作や京劇伴奏系ならうちの大学は最強かもしれないですが…それ以外は、音大行った方が(ハク付けという意味)いいでしょうねぇ、多分。
美術系なら清華美術へ行かないとハクがねぇ…
伝統演劇(特に京劇)、舞台演出の場合は、うちの大学、この分野では最高学府って言われているけど、これ勉強しても、将来、本国に帰って仕事ないよね(笑)
ほとんどの外国人留学生は、もともと舞台演出や役者の経験がある人で、自国で確約された席をすでに持っていて、自国の演劇と京劇を結びつけようとか意図のある人です。
また、現職が政府の役人(日本で言うなら文化庁みたいなとこ)という人もいます。

私は器楽では今更十代の子と一緒に入試受けたりするのはキツイだろうと言われ、芸術理論系のことで博士課程へ行く事をすすめられました。
その合間に器楽の授業も受けさせてあげるみたいな、ちょっと変わった入学経緯なのです。
うちの大学は博士学位を出す資格がないので、北京大と共同養成するという変わったコースがあるのです。
でも、このコース、修士以上の学位をすでにもっていることと、中国語能力はかなり高いスコアを要求されるので、これも、留学生が少ない理由の一つなのでしょうね。
高い中国語能力なければ、授業にはついていけません。
ってか、講義によっては自分でPPT使って発表もしないといけない~~~
最後は一〇〇〇〇〇字以上の博士論文書かなくちゃいけない(もちろん中国語)。

めちゃくちゃ才能あって優秀な人は自国で大学教員や役者になっているでしょうし、普通の大学出て語学がある程度できる子は、芸術分野の訓練を受けてきていないことも多いし、というか、他の分野でいい仕事に就ける可能性がまだ残っている人が、わざわざ廃人になる選択するかいな…という矛盾(笑)
ちなみに、私は、もう、日本で普通に就職できる可能性がないので、むしろ、いつ死んでも思い残すことがないように、やりたいことをやるという廃人選択をしました。
無難なのは、若いうちに日本の大学に学籍を置いたまま、こっちで聴講したい科目だけ聴講することでしょうね。
廃人になる可能性は低くなります。

レッスン後、トシミネ先生と雑談。
正直、私のレッスンは、基礎練の期間をかなり短縮して突っ走って、飛び級のノリで不相応な曲を弾かせてしまったという思いが先生にはあります。
(まぁ、日本の趣味の人のお稽古はだいたいそうですよね)
かといって、子どものように無限の可能性があるわけでもないことは、先生も私も重々承知しているので、ある程度、はしょって先へ走ったのですね。
でも、上手くなれなければ私も弾いてきた意味がない。
目標を何処におけばいいのか、大人には難しい問題ですよね。
低すぎてもいけないし、高過ぎても、子どものような伸びは期待できない。
打ってスクうだけで、寿命が尽きるよ。
また、運動能力や、脳の神経系統の老化には、個人差ありますしね。

「やらないよりは、やったほうが上手くできるようにはなるんだから、ま、がんばりな」と先生も言うしかないンですけどね。

でも、最後に先生、
「今日の演奏スピードだけど、あれだけ、がちがちに力入ってるにもかかわらず、とりあえず俺についてこれるんだから、マシな方だと思うよ」だって。
あはは…マシだって~
亀も転がれば兎についていける~
でも、上り坂はやっぱり転がってついていくわけにはいかないので、明日からまた頑張って練習しなきゃ…はふ。

糸道

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糸道とは「常に三味線を弾く人 の左人さし指の爪の先に、弦との摩擦でできたくぼみ」ですが、自然についちゃう人もいれば、弾きやすいように自分で爪をそのようにカットしてしまう人もいるようです。

私ですか?
毎日の練習が終わるころには勝手についてしまいます。
で、他の楽器を弾くのにひっかかって不便なので、私はこれをよしとせず、三味線弾く前に爪の先に瞬間接着剤を少し伸ばしておいて、出来ちゃった糸道は後でやすりで削ってある程度、平らに戻してしまいます…
でも、多少は残ってしまいますね。
しかも、硬くなった指先の皮膚に食い込んだ糸の後は、消えませんね~
あまり皮膚が厚くなると、これもたま~にやすりで削ってしまいます(笑)

薬指は、以前はきちんと糸を押さえきれなかったのでボヤけた音しか出ず、仕方がないから爪で押さえてみたらと言われてしばらく爪を伸ばしてました。
でも、もともと深爪だったんで、伸ばすと割れるというか、上にめくれてきて、生爪剥がしという感じでやばいので、結局、切れるとこまで深く切ってしまいました。
わはは、指先はカチカチに硬いので、全然痛くないですけどね。
今は前よりも薬指の力があるので、ちょっとはマシに弦を押さえられますが、やっぱり薬指はおバカだよ。

楽器やらない人は、他人が弾いてるところだけ見て、優雅~と思うらしいけど、実際、その指先はゾウの脚みたく硬かったりして(笑)
しかも私の場合、人差し指の先っぽは斜めに平らになってしまい、先っぽの関節から歪んじゃったしなぁ…
鍛えてるんで、私のデコピンは、右手でも左手でも、普通の女子にやられるよりイタイと思います。
中国琵琶とかやってる子に五本の指で連続デコピンされたらイタイやろうなぁ…

一の糸が切れた

初めて三味線の一の糸を切りました。こんな太い糸(絹糸)でも切れるんだねぇとビックリしました。

いつもは切れる前、ちょっと弦がギザギザしてきたなと思ったところで、師匠に教えてもらったように糸の上下を変えてみたり、さっさと糸を換えてしまうので、切れたのを見たことないんですよね…
今回は、まだ大丈夫だろうとズルして使い続け、「本荘追分」を何度も弾いて、押しバチがマズかったのか、切っちゃったんだよね。

ちなみに、中国三弦の弦は、今ではスチール弦なので、一の糸(三味線でいう三の糸、一番細い糸です。)以外はペンチで切ろうと思わないかぎり、切れないです。
切れないけど、音が鈍ってきたら、換えるようにはしてます。
一の糸(三味線でいう三の糸、俗に一番細い糸なので子弦と言います。バイオリンのE線みたいな感じです。)は、習い始めの三ヶ月くらいの間は一日に10回ぐらい切ったかな~。
というのも、弦を打つ角度が安定してない上に、延々と力一杯人差し指だけで打ち続けるという体育会系の基礎練ばかりやらされるからなんです。
私が人前で弾く機会を自分で作らなければ、多分、今でも、様々なリズム打ちの訓練と、スケールしか弾かせてもらえてないと思います。
ははは、普通の大人はもうやる気なくすでしょうね…
やる人少なすぎて、誰も大人に教えた経験なんてないから、音大付属中学受験目指してるような教え方しか知りませんからね(笑)
確かに基礎さえきちんとしていれば、曲なんて簡単だからね…
でも、大人には技術(特にスピード)の限界があるので、理想通り打てるまで、そればかりやってたら、そのうち老衰で死んじゃいます。

ところで、一日10本も弦を消耗したら、安くない…
実際には、上駒で切れることは滅多にないので、下駒で切れる場合は、自分で弦の輪を作って一本の糸を二回使います。
それでも、一日5本も弦を消費したら、もったいな~。
今では、そういう力任せの訓練を集中してやるのでなければ、子弦が一週間以内に切れることはないという感じ。
でも人前で弾かなくてはならない場合などは、前日に換えて弦が伸びて安定するまで弾いておきます。
もっとも、絹ほど伸びて音程の狂いが著しいことはないですが。

そういえば、私、二胡の弦を切ったこと一度もありません。
人が切った瞬間は、見たことあるけど。
一ヶ月半か二ヶ月に一回の頻度で換えちゃうから切りようがないんですね。
ズルして弦換えずに弾き続けてると、ナナ先生に「音色が悪いわね、いつ弦を交換したの?」とバレちゃいます。
一体、どこまで耳がいいのかしらね。

三味線も糸換えずに弾き続けてた時、やっぱり師匠に
「その糸死んでるよ」って言われました。
糸代、お稽古用の悪い糸でも、よく換える人にとっては、安くないよね。
先生方は経費なのかもしれないけど、私とかは時間だけは音大生並みに弾いてるけど、仕事じゃないから経費にもできないし、それで上手くなってんのかと問われれば?だし…。

「でも、もし糸が切れそうにもないぐらい頑丈だったら、今度は棹が削れてしまうから、そっちの方が高くつくね~」と師匠に言ったら、
「そらそーだ」と師匠も相槌。

余談ですが、昔使ってた安物の花梨棹の三味線は、素材が悪すぎなのか、私が怪力すぎるのか、棹の角を指で引っ掻いて欠けてしまいました。
ずっと030030のかましとか、ちりちりを練習してたら、そうなってしまったのよね。
師匠曰く、「そんなことは滅多に無いけど…」と暗に怪力を示唆されました;^_^A
我ながら、いい音なんて全然してないのに、無駄に怪力使ってどうするよ、と思います。

この際、ばらしちゃいますが、私は腕力はあまりないのですが、手首から先の力は結構あるのです。
子どもの頃、魚が焼けすぎで身が硬くなってしまって、上手にほぐせないなぁと思いつつ、えいっと箸で魚の身をつまんだら、箸の方が折れてしまいました…
親に散々叱られました。
女の子なのに、みっともないって…
そういえば、私の今の紅木棹は、女性が持つにしては重いらしいです。
棹が欠けるのはもう嫌だと思って、棹だけはいいものにして、皮と胴をケチりました。
ついでに言うとバチも師匠のと比べてみて、少し大きくて分厚くて重いので、師匠には
「男でもキツイんじゃねーか…」
と今度はストレートに言われました。
いや、だって、重いほうが、力入れなくても重さだけで弦が打てちゃうから楽かと思って(^^;
あまり軽いと、例えばスケルトンのバチなんて、持ってるのかどうか忘れそう…

もしかして、中国大三弦に比べたら、何でも軽く感じるんでしょうか。