三味線をいかに異文化圏の楽器と合わせるか

2月4日は六本木のSTB139というライブレストランで、小山豊さんの1stアルバムのリリース記念ライブに行ってきました。
小山豊…津軽三味線小山会三代目、つまり私の所属している流派の次の家元先生になる人ですね。

オープニングは、合奏「津軽じょんから新節」
豊さんの教え子さん数名、小山会の小山慶一さん、小山清雄さんとの合奏でした。
小山流の人なら弾けるいつものやつです。

次は独奏で「津軽小原節」
いや、若い人は若い人の良さがあるのだけど、私、一昨日、青森民謡協会の大先生方の小原節を何回も聴いちゃった後なので、基本、嘘つけない性質でして、本音を…
演奏には、その人の性格や人生経験がにじみ出てくると俗に言われますが、豊さんの音はとっても、若い人らしいおしゃれな感じだと(私は)思っています。
若い人は、皆、手が回って技術的にとてもお上手ですが、豊先生、30年ちょいしか生きてないんだもん…大先生みたいな50年60年の甘いあるいは苦い経験みたいなものはにじみ出るはずもなく(^^;
こればっかりは、どんなに上手な人でも、年を取らないとどうにもならない要素。
私、長生きしますんで、50年後を楽しみにしています。

ここからが、豊さんの魅力全開ってところでしょうか。
民族楽器を使用しつつ、新しい曲をやる。
三味線を使ってるけど、他国の楽器と共演する。
これって、ほんと、難しいことですが、これを難なくやっているのがすごいと思っています。
民族楽器の音色やリズム感の良さを損なわずに、異文化圏の楽器と合わせるんだもの。
そりゃ、下手すりゃ、「なんじゃこりゃ」になりかねません。
最初からギター弾けやって話になってしまいます。
西洋音楽や現代曲に全く迎合してしまっては、何のために三味線使っているのか分からなくなるわけで…
そういう領域で、本当に巧妙に三味線の良さを引き出していると思います。

アルバム収録曲の演奏開始
Koyal( こやーる) / 作曲Nitin Sawhney というしっとりしたいい曲を演奏してくださいました。
Ty Burhoe (タブラ(インドの打楽器))、小湊昭尚 (尺八)、五月 (二胡、中胡(中国民族楽器))
あと、おなじみの「リベルタンゴ」ですが、若い子は皆この曲好きだよね…

次は加藤拓哉 さんが大きな和太鼓を独奏してくださいました。
いやぁ、お顔は覚えられませんが、あの背中はかっこよすぎて忘れられません。
観客には背中向けてたけど、正面はけっこう、すごい顔して叩いてるらしいですよ…

そして、次は、
「叩打呼魂(ちょうだここん)」 / 作曲 小山豊 
加藤拓哉(和太鼓)
これ、アルバムの一曲目ですが、私の大好きな曲です。
この曲はアマゾンで250円でMP3買えるみたいですね。
和太鼓の音、どうやって叩いているのかずっと疑問だったのですが、あーゆー風に打ってるんだと分かり、みょうに納得しちゃいました。
あーゆー風って、どーゆー風?
和太鼓をお祭りの和太鼓みたいに横から打つのではなく、ドラムみたいに数個配置して、上から打っているんですよね。

タブラ(インドの民族楽器)もそうですが、三味線って打楽器と相性いいのかも。
前に中国で、中国三弦と新疆ウィグルの小鼓という組み合わせで、中国人の音大生が吉田兄弟さんの「鼓動」を演奏するのを聴いたことあります。

二部は、Soothe(スーズ)という豊さんがやっているバンドの演奏。
和太鼓 ドラム ギター ベース エレキ三味線という構成(あってる?)になっていました。

私、二階の音響設備の真後ろの席におりまして(あえて、こういうマニアックな席が好き)、最初は三味線の音がイマイチだったんですね。
お友達あるいは関係者らしき方が、三味線の音にもう少し焦点当ててみたいなことを音響を調整している方に囁いて調整した後は、とてもバランスよく聴こえるようになりました。

何曲かやられた後、豊さんが「皆さん、踊ってもいいですよ」と冗談でおっしゃったのですが、確かに踊りたくなるリズムの曲ばかりです。
実際、音響さんも、その付近の人(おそらく、この辺にいた人は音楽やってる人?)、皆、上下左右に揺れて、リズム取ってましたからね(笑)

最後の曲は、やっぱりじょんからの曲弾きです。
小山慶一さん、小山清雄さんと一緒に演奏されました。
若くて才能ある人は、手があんなに回っていいよな~

アンコール一曲目はアルバム曲から。
「木漏れ日の唄」、作曲は小山豊

そして、本当に本当の最後の曲は
小山貢先生(小山流の家元先生でお父様です)と一緒に「津軽あいや節」
親子で弾けるってうらやましいな、と素人の私は思いますが、まぁ、子供のころは、いろいろ思うところあるのでしょうね…
ちなみに、ご本人いろいろなところでお話になっているので、書いちゃいますが、6歳の6月6日からお爺様に言われて三味線をやっているけど、高校ぐらいまでは嫌で嫌でしょうがなかったとか。
私の周囲の音大生も最初は嫌で嫌でしょうがなかったという人が多いです。
趣味でやるのと、使命を背負ってやるのとでは訳が違いますから、そういう人にはそういう人にしかわからない苦労というものがあるのだと思います。
私の周囲の音大生も、家族からのプレッシャーなどで心身を病む子もいますからね。
私なんて、「うるさいから、いつまでも弾くな」って親に怒られ、思うように弾けなかったもんだから、親に習わせてもらえて、弾けって強制されるのが羨ましくてしょうがないけどね。
ちなみに、私は、うちは貧乏で親に大学行く必要ないと言われてたんで、夜にこっそり起きて、布団の中でこっそり参考書読んで独学と自分の稼いだお金で夜学に行ったので、大学の講義をサボる人の気持ちもあまりよくわからない(笑)

これからも素敵な曲をどんどん書いて、どんどん演奏してください。
三味線の現代曲に興味ある方は一度聴いてみるのもいいかも。

【余談】
私はこのアルバムをご本人からではなく、私の三味線の先生から買いました。
もともと、私は私の先生のとあるCDが欲しかったので、その話をしてるときに、そういえば、豊さんがこういうの出したんだよっていう話になりました。
で、50を過ぎている先生は、細かい字が見づらくて、奥様に、これいくらだっけ?とお聞きになりました。
奥様もどこに値段書いてあるかよく見えない…
私は視力の方は、右目が悪いけど、左目はとってもよくて、必要のある時だけ右目にコンタクト入れますが、普段は裸眼でよく見えてます。
定価+税と書いてあったのですが、私も今の消費税何パーセントだったっけ、みたいに頭が混乱しちゃいました。
ついでに言うと、あんまりよく見えないなら、適当に安く売ってくれたりしないかな~とか期待したりしましたが(笑)、結局、その日、外国へ行くために空港にいらっしゃる豊さんに奥様が電話されて確認されました。
何が言いたいかって?
その、ほんわかしたやり取りを見ていた私は、豊さんって愛されてるんだなぁ~と思ったというわけであります。
だから、あんな優しい曲が書けるのね。
ほんと、羨ましい。

青森民謡協会の新年会

「青森民謡協会」の新年会に行ってきました。
三代目長谷川栄八郎先生、御年95歳だそうですが、水戸黄門バージョンで楽しくお唄いになって皆を笑わせてくださいました…
95歳ともなると、正直、手とか怪しくならないのかなぁと思っていたのですが、そりゃ、10代の子のようなハチャメチャな速弾きはしないけど、しっかりしていらっしゃるのね。
もちろん、長谷川先生の三味線が太鼓や唄とずれるなんていうことは全然ない…
経験ない若い子は、運動能力的に手は回るけど、唄の伴奏できないもんね…
私なんて、一生懸命、CDとかの音源聴いて、一生懸命、その音源に合わせて三味線弾いて練習しても、いざ、お稽古で先生の唄に合わせて弾こうと思うと、結局ずっこけるし…
うぅ…長谷川先生は、舞台を降りる時とかは、段差があるからさすがにお爺さんらしい足取りなのに(失礼…)、舞台の上では頭も手もしっかりしてて…私も、あんな風に年取りたいなぁと思いました。

お名前は伏せますが、ある踊りの方も、後で75歳だと知ってビックリ。
あのキレのある動きは、50代ぐらいにしか見えない。
化け物ですね。恐るべし…
私は「自分なんて、もうオバサンだから…」と嘆いていたのですが、こういうお化けのような人たちを見ると、急に帰って三味線弾きたくなっちゃいました。
(もちろん、帰宅したら9時過ぎてましたから、弾くのを我慢しましたが。

2007年に津軽三味線コンクール全国大会(日本民謡協会主催)で史上初の女性チャンピオンになられた松橋礼香先生…美人なのに、力強く弾くんですね…(お顔からは想像できなかった…三味線持つと人格変わるの(?))
でも、廊下ですれ違った時は、普通にとてもかわいらしい女性でした(って当たり前か…恐るべし(?))

五錦先生、本当に楽しそうに三味線、弾いてらっしゃいました。
ちょっと酔ってるのかな(?)
なんで、あんなに楽しそうなのかなぁ…
私、自分の三味線が下手すぎて、全然いい音がしないので、最近、練習は全然楽しくないのよね。
でも、お稽古が楽しいのは、(私の津軽三味線の)先生のいい音に酔っ払えるからです(笑)。
ほんと、私、今、絶不調…なのです。

澤田勝秋先生の唄、生で聴いちゃった~(テレビで長山洋子さんのじょんからの伴奏をしているところしか拝見したことがなかった…本物だ~と感動しちゃいました)

澤田先生はキーが高めなので、後からお唄いになる福士先生が
「私は高い声は出ないから、『男っぷり』で勝負したいと思います」とおっしゃると
「無理ですよ~」とか言われたりしてました。
なんというか、私のような下々の者からしてみたら、大先生方のショーを観ているわけですが、会場のそういうやり取りを聞いていると、「新年会」のノリなんだな~と思いました。

私はやっぱり、角田洋若先生の踊り、福士豊秋先生、小山貢先生、工藤武先生の津軽よされ節が一番、楽しかったなぁ…
これ、夏の青森民謡唄祭りのときにも観たけど、やっぱり好き。
私はもともと「舞曲」に魅かれる傾向があるのです。
だから、「じょんから」「よされ」「小原」などの民謡も、普通のバージョンよりも踊り用バージョンが大好き。
でも、踊り用はテンポが速いのと、踊りに合わせて弾くものだから、私には敷居が高いです。
今回のよされ節(踊り)は、先生方ですらテンポが速かったようで、「速いよ~」と小山貢先生が笑いながら疲れた右手をぶらぶらさせながら舞台を去る時、福士先生まで右手ぶらぶらさせちゃって、二人して右手ぶらぶらして歩く姿はなんだか、愛しかった(失礼…)。
(角田先生、どんだけ、速く舞ったのですか?恐るべし…舞台が狭いから、速くなっちゃうのかな?)

素人の私がこんなにすごい舞台を拝見できたのも、(私の津軽三味線の)先生のおかげです…
本当にありがとうございました。
実は、本日は私のXX回目の16歳の誕生日でした(笑)。
私の脳内では「よされ」がバースデープレゼントソングとして都合よく解釈されて鳴っていたのであります。

【余談】
私は二十年以上学生をしている都合上、私の周囲は「先生」ばかりです。
私はおバカなので万年学生なのに、同輩や後輩は先生になっていきます(笑)
だから、私が「先生」と単に言うだけでは、何を教えてくれる誰の事を指すのか他人には分かり難いです。
というわけで、私の二胡や三弦の先生は中国人なので、本名に近い仮名で書いて、三味線の先生は、日本人っぽく師匠と書いて区別してきましたが、本当はマズイのかなと思い始めました。
ネットなどを見ていると、師匠と弟子、先生と生徒、言葉を厳格に区別される方もいます。
私はお金を払って芸を教えてもらっている素人だから、後者の関係ですよね。
じゃあ、三味線の先生のことをブログ内では何て呼ぼう…うぅ難しい。
単純に「津軽三味線の先生」でいいのか…(確かに私はゼロから教えていただいて、津軽三味線に関しては他の先生に師事したことは一度もないのだから、他の誰ともかぶらないなぁ)
本人に伺ってみようか(- -?
そもそも、三味線に関する内容は書かなきゃいいんだけど、書きたいことを書いていると、避けられない場合もあるわけで…