三弦弾きにマルチプレーヤーが多いワケ

三弦を弾く人で、他の楽器が出来ない人って、まずいません。
何でか…まぁ、ありていに言えば、アンサンブルやオーケストラに入れてもらえない楽器なので、他の楽器を弾かざるを得ないという…現実的な問題があったりして。
かといって、オリジナルの独奏曲が少ないので、お客さんのニーズもない。
新作を創るにも、作曲の心得のある三弦弾きは少なく、作曲出身の人は三弦のことをよく知らないので、創ってくれない。
筝などは、簡単に音律を変えられるので、現代曲をどうにでもカッコよく弾けますが、三弦系はどの国でも民族性の強い楽器らしく、なかなか溶け込みにくいようです。
そして、音が皆で弾くと三弦だけ突き抜けて浮いちゃうらしいんですよね。
かといって、皆で三弦を弾く大合奏っていうのも、そもそも弾く人が少ないから、お目にかかれない。
私が動画で見たことあるのは、トシミネ先生の母校、中国音楽学院の小学生無料三弦教室の子どもたちの大合奏ぐらい。

トシミネ先生は大学時代、オケでは大阮を弾いていたらしいです。
その関係で、副科の学生には中阮や大阮も教えてます。
先輩方は圧倒的に、子どもの頃に琵琶をやっていた方が多いですね。
そして、大抵は今でも琵琶をお弾きになります(ニーズがあるからですね)。
同じように弾く系の楽器ということで、古筝を後で習い始める人もいます。
音程問題がないということと、姿勢などが楽なので幾つになっても始められるのがいいんですよね。
ちなみに、三弦の河南曲子板頭曲なんかですと、筝の楽譜がメインに流通しているし、三弦の名手は古筝の名手でもあったりします。
変わったところで、二胡やってたっていう先輩もいます。
何でか、とりあえず、すごく普及している民族楽器なので、子どもの頃にやる機会があったらしいです。
でも、大学受験に際しては、マイナーな楽器に転向することで、競争率がぐんと下がる、そういうことです。
だから、バイトとかで、三弦教えられないけど、初心者に二胡教えていたりします(^^;

私があれもこれも、やっちゃった理由の一つが、作曲とか編曲したいので、自分がその楽器についてある程度の知識が欲しかったっていうのがあります。
でも、人間、体力にも時間にも限界があるので、ほどほどにしないといけないですね。
しかしながら、大人からのスタートだと、一つの分野で高みに達する希望がないので、2つくらいなら同時にやってもいいんじゃない、どっちもそこそこでいいんじゃないかという気もします。
「質より量」とおっしゃった先輩もいます。
日本の大先輩は、きっと渋い顔されると思いますが、私は妙に納得しちゃいます。
子どもの頃から才能と環境に恵まれてきた人には、分かんないかも、この気持ち(笑)

でも、一つの楽器がある程度のレベルに達していないうちに、他の楽器に手を出すとマイナス面もあったりして。

遊びで筝を教えてもらったら、私、やたら、音の場所を間違えるんですよ。
何でかなぁと思ったら、三弦は自分の手前の太い弦が低音で、外側にいくにつれて高音ですよね。
筝って自分から外側へ離れていくにつれて、低音なんだよな…
日本でも地唄とか、三絃弾きは筝弾きでもある筈で、皆、何で間違えないのかなぁ…

それから譜面。
三味線の文化譜って、数字がツボの場所を表しているわけですが、中国民族楽器で普通に使う数字譜と、一瞬、錯覚しちゃうときがあるんですよね。
4と書いてあると、つい「ファ」って読みそうになる(^^;
いちばん、困るのが0って書いてある三味線の「開放弦」が、二胡や三弦は「休符」だってことなんだよなぁ(笑)