二胡LESSON107

ところで、私は、間違えたり、音程やリズムが狂うと止まってしまう悪い癖があります。
練習ならそれでもいいのでしょうが、通しで弾かなければならない場合、困りますよね。
音楽なんて一秒後には消えてなくなる音の粒の集まりですから、ある程度のミスは目をつぶって次にいかないと、ブツ切れでは、いつまでたっても形が見えてきません。
ある程度の音程の狂いは、その場、その場で直すべきなのです(一流の先生だって音外すことあるわけで、それを瞬時に修正なさって素人には気付かれないようにしてるんですものね)。
でも、できない…
ナナ先生にいわせると、私は止まった後、1,2秒後には、最初から弾きなおすとか、まったく音程が分からなくなってパニックに陥るというわけでもなく、ちゃんと正しい音程或いは正しい旋律をすんなり繋げて弾いているのですから、瞬時に直せないわけがないといいますが…
ナナ先生も、日本人のそういう真面目で細かいところについて、「もし、あなたがもう少し若い頃からやってたら、あるいは日本で二胡が発展したらスゴイことになるわね」とおっしゃいました。
何でもナナ先生の知っている先生が、日本人と一緒に仕事をすると細かいことに厳しいので、驚くことが多いけど、出来あがりはやっぱりいいのでスゴイと言っていたらしく、ふと、私や以前教えたことのある日本人を思い出したのだそうです。
ははは…私はすでに中年、あと20年経ったらもう老年ですから「もし」は絶対にないのが本当に悲しくてしょうがない。
でも、日本で二胡が発展したら…って言う話はもう、ほとんど実現してると思うけどな。
日本の都会だと、大人に教えるのが上手な先生が普通にいると思うし(大人になってからやってる人が多い)、私程度なら、ちょっと習った人なら、誰だって弾けるやん…

「いちいち止まってたら、舞台に上がった時、困るわよ」と言われると、
「こんな腕じゃ、舞台に立てねぇよ」と後ろ向きにつぶやく自分がいてちょっとウツかも…。
やっぱ、もう、今からピアノか筝に転向するかな(笑)
これなら、少なくとも、音程だけは気にする必要はない…
でも、私は右手と左手が違う旋律をひいてて、同時に10個の音が出せるというのは耳がついていかなくて無理…
あうぅ、やっぱり二胡とか三味線じゃないと弾けないよう。
(でも、これだと、やっぱりヒドイ音しか出せない…)
天賦の才能と環境に恵まれた人が死ぬほど羨ましい…

二胡LESSON106

「弓を引いたり推したりする動きは、静止していなければならない…」
はぁ?(゜_゜)
実際、動いているのに静止していなくてはならんとな?
言葉を額面通りに受け取ると、ほんと哲学ですねぇ。

ナナ先生曰く、安定した(というか正しい?)動きをしている時、自分では手を動かしているという感覚すらないのだそうです。
まぁ、ものすごく速いスピードで弾く時なんかは、ちょっと力入れなきゃな~程度の力を感じるときを除けば、ある程度の技術レベルに達した人は、「どこそこを動かして~」という意識がなくなるそうです。
実際、弓を引いたり推したりする時、腕、二の腕、手首、指の関節など、様々な部署が連携して微妙な動きをしているわけですが、次にどこを動かして、その次は~なんて脳がいちいち指令出してたら、速い動きに間に合いませんよね。
初心者の動きがぎこちないのは、やはり、いちいち、それぞれの動きを気にしているからでしょう。
複数の動きが統合されて、「弓を引け」という一つの命令で、ちゃんと即、安定した正しく美しい動作に直結する、それが「静止」している動きなのでしょう。

そういえば、脳の指令の統合と言えば、三味線の師匠の回答が実に興味深いのです。
12から14のツボのスリ(滑音)を4回繰り返すところ(14から12に戻るときに滑音は付けない)について、私が「どこで力抜いてるんですか?」と聞いたら、「力なんてどこも抜いてないよ」という答えが返ってきた。

私と師匠の脳みその違いはこうだと思っている。
【私の脳みその指令】
1、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
2、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
3、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
4、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
5、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
6、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
7、左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動する。
8、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る
全部で8つの指令が出ている…

【師匠の脳みその指令】
1、「左手人差し指を指板にしっかり着けた状態で、12から14のツボに移動して、左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る」を4回繰り返す。
という一つの命令に統合されていると思われる。

だから、私の場合、少なくとも「左手人差し指を指板から離して、12のツボに戻る」時に、あたかも「ここで力を抜かなければ!」という余分に意識するプロセスがあるわけだけど、師匠の場合は、そもそも、どこかで力抜いたっていう意識すらないのだろう…
実際には、左手人差し指が12のツボに戻る時に、力入れっぱなしだったら、指が指板から離れないため、要らないところに変な滑音がついてしまい、正しく弾けるわけがない…

まったく、私の頭はただでさえ、普通の人よりメモリが足りず、加えて手先が不器用なのに、人より多くの指令を出しているのだから、処理スピードが遅くて仕方がない…
10年くらいやってりゃ、そのうち、一つの命令に統合できるんでしょうかねぇ。

フラッシュバック

う~ん…月曜日に三弦のレッスン行くの怖い…かも。
ハイ、先週、中国三弦のレッスンに行って、先生に「ここまで、叫んで注意したのは初めて。喉がからからになっちゃったわ。どうして言われたことができないの!」
と叱られて、落ち込んだ帰り道、一時間以上は涙が止まりませんでした。

実は、私の場合、強烈なマイナス感情が起こると、ヒドイ時は、3歳頃から現在までの特定の嫌な記憶が走馬灯のようにぐるぐる思い出されて、傷ついた感情が再現されて止まらなくなるという、いわゆる「フラッシュバック」(かも?)が起こることがありまして…
「フラッシュバック」って災害や犯罪とかに遭った人が、その怖い感情が再現されるというやつ、その他にも発達障害の人が過去の嫌な記憶がさかのぼって蘇る、ってやつらしいので、似てると思ってそう書きましたが、医学的に私のがそう呼べるものかどうか…医療関係者に話したことないので、よく分かりません。

引き金はだいたい、人が怒っている時の声とか、お茶碗が割れたりする時の音なんです。
まぁ、子供の頃にどんくさいし、気がきかないから、よく叱られたし、父が自分自身の感情のコントロールが苦手でよく自己破壊的に切れて、その辺のものに当たり散らして物がたびたび破壊されたからなんでしょうねぇ(^^;
それで、10代、20代の頃は、ますます、自分はだめだめ人間なんだぁ~ってな具合になりがちだったんですが、さすがに歳をとってくると、このままいくとヤバいと分かっているので、思い浮かばないように努力するわけです。
子供の頃、がっことかでよく心理テストみたいなのを、全員が受けさせられたりするでしょう?
私の場合、すごく悪い結果がでたことがあるんです。
担任いわく「ここまで心理状態よくないという結果が出ているのに、不登校にならないのが不思議でしょうがない…」

他人にとって「大したことないことで、そこまでネガティブにならなくてもいいじゃん」と思うようなことが、私の脳内では、実際は引き金になった事柄だけではなく、いくつかの事柄がリフレインしているので、重大問題になっちゃうんだな(笑)。
本人も嵐が過ぎれば、大したことない事だって分かってるんですヨ、それは。
別に、それができなかったからといって即、人間失格じゃないし、逆にできたからといって、優秀な人になるわけでもない…

発作の最後は、斧とかハサミのようなもので、記憶の帯みたいなものを、ずどん、と自分で切るような想像をすると、うまく消えてくれることもあるのですが…
うまく、悪循環を断ち切れなかったらどうしよう…って今悩んでもしゃぁないわな。

そもそも、先生は私によかれと思って注意して下さるわけだけど、あまり忍耐強くない先生だと、さすがに私のどんくささに呆れるのか、或いは私の無表情が「こいつ、私の言ってること、ちゃんと聞いてるの?」と思わせるようで、子供の頃なんて、そのせいで、ヒドイ時は殴られちゃったのよね。
本人は本当に悪気ないのだけど、他人をいらっとさせるのだと思います。
いや…私がそういう時に無表情なのは、多分、そこですごく申し訳なく哀しくなると、さっき書いたみたいに、フラッシュバックしちゃうから、本当に短くて一時間は収拾つかなくなるだろうし、自己防衛してるからなのかも…と思います。
私としては、言ってることは聞いているし、努力もしてるけど、実際は頭で理解できていない(勘違いしている)か、運動能力的に本当に出来ないんだよう~ということなのです。

まぁ、逆に忍耐強すぎて、軽く注意はするけど、全然叱らない三味線の師匠みたいだと「先生、私のこと見捨ててるわけじゃないよね?」って不安になるという…
この前、ハッキリ聞いてみたら、そうじゃないようなので、安心した(^^;
私って、なんとも、まぁ、扱いにくい生徒だこと。

二胡のナナ先生とかだと付き合い長い方なので、注意は細かいけど、あまり言い過ぎると、心理的に私がネガティブになって、余計、悪い方向に走るので、手加減してくださっているのだと思う…
(今週末は忙しくって二胡のレッスン行きませんでした)

「先生」っていろんな生徒がくるわけでしょう?
だから、大変なお仕事だなと思います。
もちろん、先生というのは、医者が患者を断ることできないのとは違って、営利事業としてやっている先生だったら、断れるわけだけど、一生懸命な生徒さんを簡単に断れるものでもないし、本当に大変だと思う…