私の二胡と三弦は筝(琴)の音がする?!

タイトルのとおり、
何か、私の二胡と三弦は、筝(お琴)の音がするみたいなんですよ(苦笑)

二胡でも弦をはじくピチカート奏法というのがあります。
中国の楽曲の場合、まるで太鼓のようにポンポン弾む感じで弾かないといけないのに、ナナ先生が言うには、何か私のピチカートは日本のお琴っぽいんだそうです。
ポンポンじゃなくて、ベンベン?
ベンベンっていうと何か三味線みたいだなぁ。
ナナ先生も私以外にはもう一人しか日本人教えたことないし、中央音大の留学生の演奏しか聴いたことないから断定しちゃうのも何だけど…と言いながら、やっぱり子どもの頃から聴いている音楽って、何らかの影響を及ぼすのでしょうかねぇ…と笑ってました。

ナナ先生が言うには、学部時代、日本の琴に触れる機会があって、ちょこっと習ったけど、なんか、こう、弾むというより、音域が中国に比べて狭くて、平坦な感じがすると言ってました。
それって、まさに、日本語と中国語の差でもあるわけですが、日本語は、中国語よりも、音が低い位置から始まりがちで、抑揚がほとんど付きません(日本語的にはちゃんと高低はあるんだけど、中国語に比べてその幅がめちゃくちゃ狭い)。
日本人の中国語学習者の大半が、習い始めに苦労するのは、抑揚が上手くつかないせいで、全然通じないということでしょう。
筝だって、歌いながら弾いたわけですから、そういう影響があるのは無理もないでしょう。

「もし、自分の音に違和感がないなら、それは否定しないけど、中国っぽく行きたいのであれば、ちょっと工夫して変えてみたら?」と言われました。
ナナ先生が以前、中央音大で留学生の演奏会ってやつを聴いた時、「とってもよかったんだけど、やっぱり、何かちょっと中国人とは違うわよね(悪い意味じゃないわよ~)」とおっしゃったのもやっぱり気になります。

確かに、中国の演奏家が「さくら さくら」や「荒城の月」をお弾きになるときに受ける不思議な感じに似てるんでしょうかねぇ。
演奏家が中国人だって知らなくても、多分、この人、日本人じゃないと(国籍どうこうというより、身に染みついたリズムとか語感みたいなやつです。日本語話せないんだろうなぁ、みたいな感じ)分かることありますよね。

そういう意味から言えば、やっぱ、中国語が全く分からないよりは、ちょっとは分かって弾く方がいいと私は思うんです。
(自分が分かるから、優越感持って言っているわけじゃないです。もともと歌詞のあるような曲は弾きやすくなるような気がします。ついでに言えば、舞曲なんかも地方の伝統の踊りがどんなもんか知っている方が、知らないより、リズムがそれっぽくなると思います)

さて、もう一方の、私の中国三弦の音です。
部屋やレッスン室を開け放して弾いていると、どこからともなく人が入ってきて(?!)
「筝(お琴)弾いてるんだと思った」と言われたことが、三回(-_-)

これは…皆さん、綺麗な音だったよとは一応、言ってくれますが(半分、社交辞令…)、う~ん、褒められたものではないんでしょうねぇ。
私の十八番が筝の曲でもあるということもありますが、琵琶でも弾かれている曲なので、琵琶かと思ったって言われてもおかしくない筈なんですけど。
(琵琶専攻の子には、「その曲、三弦でも弾けるんだね。初めて知ったよ」と言われました)
私もたまに、先輩が琵琶弾いてるのか、三弦弾いているのか、ちょっと遠くからだと聞き間違うことあるんですが…その先輩が元は琵琶専攻だっていうのが関係あるのかなぁ???
私、お琴なんて、習ったことないんだけどなぁ。

中国三弦ひくなら、それらしい音、本来、引き出さないといけない筈なんですけどね~
もっと、音の粒が明確で、細かくて、強烈にハジケル感じってやつでしょうか。
私の永遠の憧れの人、世界一カッコイイ爺さんだと思う、大御所の蕭先生の音の三弦らしさ。
あの音、真似できん…

笑い話ですが、私の知っている柳琴(琵琶によく似た楽器です)制作の職人の先生が「私は、柳琴作らせたら一流だけど、たまに琵琶なんかも制作するよ」とおっしゃったんです。
確かにその先生の会社の商品ラインナップに琵琶もありますね。
で、続けてこうもおっしゃいました。
「でも、私が琵琶作るとさぁ、なんか、こう、柳琴っぽい音がするんだよね(爆)」
ははは~
この職人師匠は、柳琴の先生もしているので(そもそも弾けないのに、楽器だけはつくっているという職人さんも中国には多い)、やっぱちょっと影響あるんでしょうか。

じゃあ、私の三味線の音はどうなんでしょうね。
今のところ、お師匠さまに「筝みたい」と言われたことはないです。
でも、お師匠さまは、私に大甘なので、本当は思ってたら、どうしよう(^^;

琵琶は何故「琵琶」で、三弦は「三弦」と呼ぶのか

先日、二胡専攻の友人が言いました。
「この間、二胡って何本弦があるの?って聞かれちゃった…二本に決まってるじゃない、二本じゃなかったら「二」胡じゃないでしょうが!」

ははは、確かに。
四本なら四胡だしなぁ。
弦が一本の、独弦琴という楽器もあったなぁ。
日本のお琴(筝)なんかも、十三絃とか、十七絃とかいうふうに、弦の本数が楽器名として通用するしなぁ。

ん?
まてよ、三弦って、弦が三本だから当然、「三」弦なんだけど、弦が四本の三弦ってあるよ。
これほんと。
中央音大の王振先先生が、1964年に「四弦三弦」というのを制作している…調弦はEADG。
1976年にも調弦GCDGの四弦三弦を作って、自分で演奏したCDも録音してるしなぁ。

まぁ、音域広げたい、琵琶の演奏技法取り入れたいって気持ち分からなくもないけど、三弦は弦が三本でいいんじゃない???

じゃあ、琵琶は四本の弦だけど、四弦って呼ぶんかいなと思いきや、そんな習慣はない。

実は、昔、ほとんどの弾撥楽器は、「琵琶」と呼ばれていたらしい。
というのも、そもそも、何で「琵琶」という楽器は「琵琶」って言う名前なのかというと
昔々、「琵」(発音はPi)というのが、弦を右手で前方へじゃらん~と掻き鳴らす動作で、「琶」(発音はPa)がその反対で、後方へじゃら~んと掻き鳴らす動作を表しました。
だから、こうやって弾く楽器はすべて、琵琶と呼んでいたのだそうな。

現在の、「月琴」(一昔前の日本でも流行したらしいね。坂本龍馬の奥さんのおりょうさんも弾いていたらしい。中国では今も京劇伴奏等に使います。)、「阮」(正倉院の宝物として螺鈿琵琶が有名だけど、実は螺鈿阮というのもちゃんと日本に伝わっています。)等はすべて琵琶の仲間~

ん?じゃ、まさか、弦楽器であって、弾くという点で琵琶も三弦も同じだから、もしかして、三弦まで琵琶って呼ばれていたのか?
ええ?!と思いきや、三弦にはそういう説や噂は見当たらない…
三弦の前身といわれる楽器の名称が「弦鼗」。発音記号はxian tao 。
(秦の始皇帝の頃…紀元前214年以降?)
「鼗」← この漢字、文字化けするかなぁ…(鞉·鞀)とも書くらしく、意味は「でんでん太鼓」。
三弦は、弦の付いたでんでん太鼓ってことで、琵琶じゃなかったんだ(笑)

手はどこまで進化できるか

実は、薬指のことで悩んでいます。
皆さまは、人差し指から薬指まで、一直線上に置いて思いっきり拡げたら、何センチくらいまで拡がります?
3歳から何らかの楽器やってるっていう人は問題外です。
むちゃくちゃ拡がるにきまってるやん。

津軽三味線の場合、多分、6のツボ(人差し指)から9のツボ(薬指)っていうのが一番距離があるんですよね。
測ったら約8センチでした。

中国大三弦の場合、多分、第七ポジションのド(人差し指)レ(中指)ミ(薬指)を一度に押さえる場合が一番キツい。
人差し指から中指までが4.5センチ、中指から薬指も4.5センチ(人差し指から薬指までが9センチ)です。
もちろん、どうにも手が小さくて押さえられない人は、薬指を使う際に人差し指を離せばいいんですが、そうすると、よほど運動神経がよくない限り、快速なフレーズを弾くのは諦めないといけないでしょうね。

私の先生は、お前は手が大きいんだから、がんばって拡げろって言います。
でも、横に拡げるのは、もう無理かも。
年寄りなんだから、手はあまり変形しないかもね…
とは言うものの、大人になってからやった器楽なのに、私の左手の指は右手より若干長いです(関節が伸びた?)

指を思いっきり拡げて弦を押さえる時、多分、二通りの方法があると思うんです。
一つは斜め横に拡げるパターン(琵琶はそもそも、これ以外に方法がないと思います)
薬指の右端よりの部分に弦を当てて、とにかくクリアな音を出します。

もう一つは、斜め下に拡げるパターン
ただ、距離が半端なくある場合、手首を上に上げることになり、人差し指を巻き込む感じになってしまうので、それはそれでイタイです。
薬指の真ん中あたりで弦を押さえることになるかと思います。

うちの先生は前者で押さえている感じかも。
でも、後者の方法を教える先生もいますよね。
ついでにいうと、日本の先生が、大人に教える場合は、そもそも、こんな無理な指使いをさせません(^^;
我々が、そこは中指でしょと思う距離を、薬指の記号が書いてあったりします。

どっちが薬指できっちり弦を押さえることができて、かつ他の指に負担がかからないんでしょうね…
いずれにしても、大人が無理しすぎると、指の腱に負担がかかって、痛めることになるので、注意が必要ですよね。
テキトーに押さえるだけなら、十分届くのですが、速く弾いて(例えば、ドレミレドレミレ、ドミレミドミレミ等)、且つクリアな音を保ち、音程が狂わないっちゅうのは、かなり、厳しい。
手を傷めたら元も子もないので、手加減してますが、どうにかなるものなのか、
もう、歳だから、諦めた方がいいのか、

実は習い始めのころ、右手を親指の付け根を痛めました。
そもそも、親指を外に弾くという筋肉の使い方を普通の大人は知りません(笑)
人の手は、握る方向へは簡単に力を入れられますが、逆は訓練が必要です(手首使わずにですよ)。
これも人差し指と親指の間の角度があまり広く拡がらない人にとっては、弦にあたる角度を上手くコントロールできないので、キツイです。
私はそれなりに模索して、自分の手の形に合うように妥協して弾くようになってからは、手は痛めてませんけどね。

こういうとき、6歳の6月6日から、楽器始めたという環境に恵まれてきたきた人を激しく妬みます(笑)
でも、そういう人はそういう人なりの悩みがあるので(周囲の期待とか、家業継がなきゃとか)、まぁ、妬んでも仕方ないですかね。

先生は、そのうち、何とかなるって思ってますけど、彼は私よりずいぶん年下で、この道だけで生きてきた人なので、年寄りの身体の構造なんて分かるまい…
(私の言動があれなので、先生も周囲も私の方が年下だと思っているようですが…)