ホテルで弾く

ホテルで楽器弾いちゃうのって、いけないだろうと思いつつも…
月曜にならないと大学のレッスン室は借りられないし、
この反日ムードの中、公園で弾くのも何だと思いながら、
つい、ホテルの中で三味線、弾いちゃいました。

もちろん、最初は音をすごく落としていたのですが、
だんだん、一生懸命になってくるので、自然といつの間にか、いつもと同じようになってきたりして…

ドンドン!
「ホテルの従業員ですが~」
ドアをノックする音が!

やば~と思って慌てて三味線を布団の下に隠して、しらばっくれて、出て行ったら
「新聞です~、後、シャンプーとか何か足りないものありますかぁ?」
と呑気な笑顔がそこに…

ははは…多分、聴こえてたよね?私の音。
まぁ、別のお客から文句が出てないのであれば、面倒くさいことは言わないってことなんだろうか?

よかった~
というわけで、
引き続き、「津軽タント節」だぁ~

ところで、演奏旅行する方たちってどうしているのだろう?
そういう大物な方たちの場合は、リハとかちゃんと会場でして、ホテルに帰ってきたら、やっぱり楽器をさわるってことはしないんだよね、多分。
私はとにかく楽器を始めて十年も経っているわけではないので、一日、楽器に触れないと恐怖なんですよ。
1日触らなかったら一週間退化するような気がする。
どうしても触れられない時は、手だけ動かすとか、目をつぶってイメージだけで本番のように弾いてるつもりというのを必ずやることにしています。
傍から見たら、滑稽でしょうね。

新しい三味線


ずっと人口皮のいい加減な三味線で練習していたのだけど、
だんだん、その響きが嫌になってきて(なんつーか、余韻がいまいちな音だったし、何よりも花梨の棹が柔らかすぎて減りが早い…)
犬皮の三味線を日本滞在中に買いました。

紅木だけあって、ずっしり感があります(^^;
皮はいずれ破れることを考慮し、あまりよくないものでいいということにして、張り方も手加減してもらいました(北京は乾燥しているので、目いっぱい張ったらすぐダメになりそうで怖かったし…)
でも、棹だけは予算の範囲内で密度が高くて硬い物を…と思いました。

知る人ぞ知る…
私は楽器に名前をつけて可愛がっておりますが、基本的にその楽器を手にした時期の先生のお名前の漢字一字をもらうことにしています。
というわけで、この子の名前は満琉(ミチル)くんです。

妹達の苦悩

今回、シンガポールで私は妹の前で泣いてしまったのだけれでも、妹も私の前で泣きました。
当然だけれども、音楽をやっている子たちは、子どものころからやっているわけで、親の期待も大きい…
それに応えられなかったらどうしよう、というプレッシャーは計り知れない…

ちなみに、文化系大学院の博士課程で、将来の見通しが立たなくて休学する子は多いけど、音楽系の彼女らの場合、高校生くらいでそういう問題に直面するらしいのだ。
ヤバいと思ったら、休学しなさいと高校生が中学生にアドバイスしていました。
そして、秋から中三の妹チエちゃん(三弦専攻の姉弟子のことです)は、私の学歴が高いことを知ると、即座に
「勉強の方法論を教えて」とたずねてきました。
私はよく、どうしたら中国語上手くなるかと聞かれますが、はっきり言って、特別効率のいい方法なんてないと思います。
あえて言うなら、「どうしようもなく、そのことが好きで、寝ても覚めてもやっている」か「どうしようもなく、それが出来なければ生きていけないような環境に自分が置かれているか」という二つのどちらかに当てはまる場合にだけ、信じられない程、何かが出来るようになることだけは確かです。
そのどちらにも当てはまらない場合、そもそも、それが自分が生きていくために必要なことではないのだから、無理してやる必要もないような気がします。

妹の場合、三弦は問題ないでしょうが、おそらくその他の学科が問題なのでしょうね。
語学できないなら、好きな音楽のことでも書いてある原書でも読んでみるといいのですが、そういう回り道には興味なく、手っ取り早い方法論を教えてくれと言われました(笑)
まぁ、あえて言うなら、記憶と言うのは、一日後と3日後に忘れる度合いが大きいみたいですので、覚えたいことがあれば、一日後に再チェック、3日後に再チェックすることかなと言っておきました。

ついでに言えば、これって楽器の練習と一緒なんだよね。
一日、練習サボると、自分的に手が動かないなという認識があって、2日練習サボると先生に練習してないことがバレます。
そして3日練習しないと、聴衆に明らかにバレます(笑)
今回、シンガポール滞在期間中、数日、楽器に触れませんでしたので、明らかに指がなまってしまい、戻すのに苦労しました。
私はレイトスターターだからということもありますが、妹たちのように、子どものころから10年精進してきた子でも、1,2日練習できないと不安を覚えるようです。

毎日、こんなにやってても、将来どうにもならない、というのは実に不憫なのですが、本人好きでやってんだから、しゃあない、という…
で、妹の中には、好きでやってない子もいる…というのは本当に不憫…