一の糸をなめていた

一昨昨日…三味線の一の糸の音が気になり始め、ひたすらバンバン叩き続けました。

病み上がりで頭がぼ~っとしてました。
よくよく考えてみると、鼻が詰まっている関係と耳も多少腫れていたみたいで、
だから、どんなに叩いてみても、はっきりした音が聴こえないわけだ(笑)

一の糸だけを連続でドンドンドン…ととりつかれたように長い間叩きづづけていたらしく(あんまり記憶にない…)
いつの間にか腕がひどい筋肉痛になっていまして、その日の夜から翌日の終日、腕を挙げられませんでした(^^;

右腕が使えない障害者の人の気持ちがよくわかりました。
仕方がないので、翌日は三味線に全く触れませんでした。
三弦だけは練習したかったので、左手で右手を持って、胴の上に右手をよっこらしょとのせてあげて、指先だけの練習をしました。
手首を傾けると、腕の付け根も痛かったんですよ~
そんなになるまで気付かないっていうのは、どうかしてたんでしょうね。
一体、どんな力の入れ方してたのかってのも問題ですし…

シンガポールで買った筋肉痛によく効く薬(タイガーバームみたいなもの)を塗ってひたすらマッサージしたら、治りましたけどね。
病気の時は、長時間、弾いちゃいけませんね…反省。

楽器の普及と海外進出

「第一回中日韓国際琵琶コンクール」というポスターを学食の前で見ました。

え?琵琶って言ったって、この三国間の琵琶の間には差があるので、どうやって競争するのさ、と思った私はさっそく公式ウェブサイトhttp://cjk-folk.orgを見ました。
なんのこっちゃない、中国琵琶の国際コンクールってことですね。

そうだよなぁ…外国人が日本琵琶を持って、節付けてまともに唄えるとは思えん(^-^;
その点、中国琵琶はフレットがいっぱいあって、器楽メインだから、言葉の壁がないものね。
(もっとも、伝統的な曲を本当にきちんと弾こうと思ったら、中国民族楽器特有の楽理を知ってた方が味わいは出るでしょうが…)

2013年03月24日~28日に韓国のソウルで決勝が行われるらしいです。
しかしながら、こういう活動が出来るってことは、日本人や韓国人でかなり弾ける人が存在するということですよね?
まぁ、楽器の普及、交流活動やビジネスという側面もあるんだろうなぁ。

筝なら、日中韓でコンクールしても、なんか共通の技術がある(というか、どれかが出来る人は応用がきく)ような気がしますが、中国琵琶ってどうなんだろ。
もっとも外国人は親が演奏家でもない限り、幼少から始めるわけにもいかず、海外組ということで、本場の音大生や演奏家とは別の土俵で評価を受けるわけだけど、中国琵琶って傍から見ていると、指動かすの大変だよ~

あ~
だったら三弦も東京とかでコンクールしないかなぁ。
自分が出られるかどうかは別として、たくさんの人の演奏、いっぱい聴けるわけでしょ、いいなぁ…

ちなみに、三弦を弾いていると中国人に言うと「あぁ、日本人は三味線弾けるからね、似たようなもんなんでしょう?」と言われます…
確かに似たようなものだけど、トシミネ先生に三味線持たせても、右手がネックですぐには弾けないし(特にスクイがすくいようがない)、お師匠様に三弦持たせても(持ってもらったことなんてないけど)、多分、左手の小指と右手の指全部が30分後に使い物になるとは思えない…
それぞれ別の技術だしなぁ…

でも、三味線って確か、海外でもコンクールやってるんだよね?違ったっけ?
すごいなぁ。

中国の三弦の先生方は真面目に、日本国内での三味線の普及(一言で三味線と言っても日本文化の中の三味線の種類は多いわけだけど)と海外での津軽三味線の流行の理由が知りたいらしい。

思うに、日本文化と三味線に関しては、中国文化と胡琴と同じで、唄の伴奏に最適だったってことだよ。

「三味線という楽器は音が断続的であるために声楽の伴奏として利用するときに、声や歌の文句をあまり邪魔しなくて、伴奏の役目に大変ふさわしい楽器であること。しかしこれと全く反対の事実が、よその民族の場合には見られます。たとえば、中国、インド、アラビアそのほかでは、声楽の伴奏には好んで弓奏楽器、擦弦楽器が用いられます。これは同じ弦楽器のうちでも音が持続するということで、しかも声と似た音色やエクスプレッションを持っているということのために、好んで声楽の伴奏に使われるわけです。」小泉文夫「日本の音」平凡社ライブラリー71、232―233頁より引用

日本人は京胡を伴奏に唄おうとすると唄いにくいって思うだろうけど(っていうか、あんな持続する高音に、日本語がのせられない)、中国人は京胡で普通に唄ってるからな~

津軽三味線が外国人に受け入れられやすいのは、旋律を覚えやすいからじゃないかなぁ。
それと、三味線はメロディ楽器であると同時に、リズム楽器でもあるわけで、音楽専門教育を受けてこなかった人にとっても、調子よく楽しそうに響くのではなかろうか。
三弦が普及しないのは、一流の先生方が人前でお弾きになる美しい曲は、素人の大人には10年練習しても技術的にダマシダマシでも無理なんじゃないかってことだからじゃないのか…
かといって簡単な曲は、美しく聴こえない…猫だって弾ける単純でツマンナイ音としか聴こえない(泣)
大人が必死に努力したら、美しい曲が弾けるかもしれないことを(あるいはやっぱりダメかもしれないことを)、わが身で試さざるを得ない私。

ううむ、技術的には、さほど難しくないのに、美しく聴こえて簡単に覚えられる調子のいい曲ってないものか?
そうしないと、私は日本で単なる趣味としてですら、弾き続けることは困難。
遊んでくれる人(合奏の相手をしてくれる人)や聴いてくれる人がいなけりゃ、一体どうするんだい…
世の中には、山にこもって自分が黙々と弾いていればいいという人もいるが、私は人と合奏したい人なので、自己完結できない。

だから、自分で書くしかないわけで…
あるいは、難しくない素敵な伝統曲はいっぱいあるわけだから、そのまま弾いても現代人にはツマンナイかもしれないけど、そういう著作権という概念のないものを現代風にちょっといじって弾けば美しく聴こえるのかもしれない。
今のところ勉強不足で書けないわけだけど、将来書けたら書けたで、きっと
「こんなもん、三弦音楽じゃね~民族音楽じゃね~」とか言われるのかもしれないな(^-^;
日本人が日本人のために中国民族楽器を使って曲書いたら、絶対、本場の人にとってはおかしいだろ、そりゃ、とは思うけど、文化的背景が違うんだから変容は仕方ないと思ってくれ…

大晦日だろうが練習したいんです!

中国でも31日から1月3日頃までは休みですが、基本的に元旦よりも春節(旧正月)の方を重視するので、あんまり祝日だ~という感じがしません。
思えばこの10年、お正月をまともに過ごした記憶がありません…
今回も、もっとうまく立ち回っていたら、今頃、日本に帰れたかもしれないんですが、上手く調整できず、帰国は結局10日前後になりそうです。
あぁ、家族に申し訳ない…

さて、大学の方はといえば、まだ今学期が終了しておらず、1月初旬に試験があるので、基本的にレッスン室は朝8時半から夜8時半までだったら借りられるそうです。
そうです…大晦日だろうが、正月だろうが、私は練習したいんです。

お前、バカちゃうかと思われるかもしれませんが…
「弾く」ということは、「仕事」や「義務」ではなく、「生活習慣」なんだから、しょ~がないだろ、というのが持論です。
まぁ、でも、日本にいたら普通の人からは、私が「弾く」ことを職業としていない限り大目には見てくれないけど、ここだと誰も文句言わないから楽だわ~

でも、学内でバカは私だけじゃなくて、私の向かいの部屋に住んでいるフィンランド人のハオティエン君(京劇演技専攻の大学院生)も、「明日、レッスン室使えるのかなぁ」って、さっき私に聞いてきたし…
今、大学に残っている大半の子は、明日もきっと半日はレッスン室借りると思うよ。

ハオティエン君は笑って

「もしレッスン室借りられなかったら、部屋で練習しちゃうもんね~」

と言っていました(^―^;

「お~やれやれっ、大声で歌おうが踊ろうが、刀や槍を振り回してドスンドスンいおうが、私は気にしないからね!」

と言ったら、

「ボクも游鯉がじゃんじゃか三弦弾いても、気にしないからね!あの音気にいってるんだ!」

と言われちゃいました。芸術大学バンザイ!
Thanks ☆☆** v( ̄ー ̄)v**☆☆ Thanks

さて、今年もあと残り数時間になりましたが、よいお年をお迎えください。

私は風邪ひいてるんで、夜8時半まで弾きまくって、9時に寝ちゃうつもりです…
弾いている時はアドレナリンが出ているせいか咳も出ないけど、止めるとゲホゲホくるわ~
今年は初夢みませんでしたが、来年はいい夢みたいなぁ。
この際だから、師匠のCDでもかけっぱなしにして寝ちゃったら、師匠や兄弟子先生方と合奏している夢でもみられないかなぁ~~~

皆様もよい初夢をみて、その夢が正夢となることを心よりお祈り申し上げます。