楽器の普及と海外進出

「第一回中日韓国際琵琶コンクール」というポスターを学食の前で見ました。

え?琵琶って言ったって、この三国間の琵琶の間には差があるので、どうやって競争するのさ、と思った私はさっそく公式ウェブサイトhttp://cjk-folk.orgを見ました。
なんのこっちゃない、中国琵琶の国際コンクールってことですね。

そうだよなぁ…外国人が日本琵琶を持って、節付けてまともに唄えるとは思えん(^-^;
その点、中国琵琶はフレットがいっぱいあって、器楽メインだから、言葉の壁がないものね。
(もっとも、伝統的な曲を本当にきちんと弾こうと思ったら、中国民族楽器特有の楽理を知ってた方が味わいは出るでしょうが…)

2013年03月24日~28日に韓国のソウルで決勝が行われるらしいです。
しかしながら、こういう活動が出来るってことは、日本人や韓国人でかなり弾ける人が存在するということですよね?
まぁ、楽器の普及、交流活動やビジネスという側面もあるんだろうなぁ。

筝なら、日中韓でコンクールしても、なんか共通の技術がある(というか、どれかが出来る人は応用がきく)ような気がしますが、中国琵琶ってどうなんだろ。
もっとも外国人は親が演奏家でもない限り、幼少から始めるわけにもいかず、海外組ということで、本場の音大生や演奏家とは別の土俵で評価を受けるわけだけど、中国琵琶って傍から見ていると、指動かすの大変だよ~

あ~
だったら三弦も東京とかでコンクールしないかなぁ。
自分が出られるかどうかは別として、たくさんの人の演奏、いっぱい聴けるわけでしょ、いいなぁ…

ちなみに、三弦を弾いていると中国人に言うと「あぁ、日本人は三味線弾けるからね、似たようなもんなんでしょう?」と言われます…
確かに似たようなものだけど、トシミネ先生に三味線持たせても、右手がネックですぐには弾けないし(特にスクイがすくいようがない)、お師匠様に三弦持たせても(持ってもらったことなんてないけど)、多分、左手の小指と右手の指全部が30分後に使い物になるとは思えない…
それぞれ別の技術だしなぁ…

でも、三味線って確か、海外でもコンクールやってるんだよね?違ったっけ?
すごいなぁ。

中国の三弦の先生方は真面目に、日本国内での三味線の普及(一言で三味線と言っても日本文化の中の三味線の種類は多いわけだけど)と海外での津軽三味線の流行の理由が知りたいらしい。

思うに、日本文化と三味線に関しては、中国文化と胡琴と同じで、唄の伴奏に最適だったってことだよ。

「三味線という楽器は音が断続的であるために声楽の伴奏として利用するときに、声や歌の文句をあまり邪魔しなくて、伴奏の役目に大変ふさわしい楽器であること。しかしこれと全く反対の事実が、よその民族の場合には見られます。たとえば、中国、インド、アラビアそのほかでは、声楽の伴奏には好んで弓奏楽器、擦弦楽器が用いられます。これは同じ弦楽器のうちでも音が持続するということで、しかも声と似た音色やエクスプレッションを持っているということのために、好んで声楽の伴奏に使われるわけです。」小泉文夫「日本の音」平凡社ライブラリー71、232―233頁より引用

日本人は京胡を伴奏に唄おうとすると唄いにくいって思うだろうけど(っていうか、あんな持続する高音に、日本語がのせられない)、中国人は京胡で普通に唄ってるからな~

津軽三味線が外国人に受け入れられやすいのは、旋律を覚えやすいからじゃないかなぁ。
それと、三味線はメロディ楽器であると同時に、リズム楽器でもあるわけで、音楽専門教育を受けてこなかった人にとっても、調子よく楽しそうに響くのではなかろうか。
三弦が普及しないのは、一流の先生方が人前でお弾きになる美しい曲は、素人の大人には10年練習しても技術的にダマシダマシでも無理なんじゃないかってことだからじゃないのか…
かといって簡単な曲は、美しく聴こえない…猫だって弾ける単純でツマンナイ音としか聴こえない(泣)
大人が必死に努力したら、美しい曲が弾けるかもしれないことを(あるいはやっぱりダメかもしれないことを)、わが身で試さざるを得ない私。

ううむ、技術的には、さほど難しくないのに、美しく聴こえて簡単に覚えられる調子のいい曲ってないものか?
そうしないと、私は日本で単なる趣味としてですら、弾き続けることは困難。
遊んでくれる人(合奏の相手をしてくれる人)や聴いてくれる人がいなけりゃ、一体どうするんだい…
世の中には、山にこもって自分が黙々と弾いていればいいという人もいるが、私は人と合奏したい人なので、自己完結できない。

だから、自分で書くしかないわけで…
あるいは、難しくない素敵な伝統曲はいっぱいあるわけだから、そのまま弾いても現代人にはツマンナイかもしれないけど、そういう著作権という概念のないものを現代風にちょっといじって弾けば美しく聴こえるのかもしれない。
今のところ勉強不足で書けないわけだけど、将来書けたら書けたで、きっと
「こんなもん、三弦音楽じゃね~民族音楽じゃね~」とか言われるのかもしれないな(^-^;
日本人が日本人のために中国民族楽器を使って曲書いたら、絶対、本場の人にとってはおかしいだろ、そりゃ、とは思うけど、文化的背景が違うんだから変容は仕方ないと思ってくれ…

2 thoughts on “楽器の普及と海外進出

  1. 游鯉さん こんばんわ!
    光舜堂の西野さんが日本人にフィットする低音二胡を開発して、まさにこれから多くの人に試奏してもらおうとしています。
    その二胡は、普通の二胡(調弦DA)より5度低く(調弦GD)、それでいて高音(3オクターブ)も出て、音色も二胡と同じものだそうです。
    西野さん曰く、現在の中胡は音色がどうも二胡と違うし、高音が出ないとのことです。
    私も二胡を弾いていてもっと低音が出たら良いのにと思うことがありましたので、日本人には現在の二胡は音程が高いのかもしれません。
    音楽は声歌からきていますので、言語の影響は非常に大きく、どんな楽器もそれぞれの国でその国に合った形に改良されていくのだと思います。
    あと10年もすると日本の二胡も日本人に合ったものに変わるかもしれませんね。
    また、日本で活躍している中国人の演奏家自身も普段日本語を話していることで、日本化していくような気がします。

  2. エリーのパパさん、あけましておめでとうございます~

    光舜堂の低音二胡の話、面白そうですね~
    決まってお盆に毎年行っていたのですが、昨年は行けませんでした。
    光舜堂はレンタルとかしてたと思うので、これも最初にお試し~でしばらく借りられるなら、弾いてみたいかも。

    私的には、もう、二胡って日本の中に溶け込んじゃっているような気もします。
    テレビとかの効果音にもよく使われてるでしょう?
    確かに日本で活躍されていたり、日本にずっとお住まいになっている演奏家の方等で日本語ばりばりの人なら、日本の古曲なんかも、二胡で上手いこと表現してくれそうですよね。
    中国の曲を弾くのに全く中国っぽさが抜け落ちてしまうのも如何なものですが、二胡自体は中国特有の楽器ではなく、歴史自体浅いわけで…ある意味、日本の二胡が100年後、どんな風に変わっているのかも楽しみかなと思います(私、生きてないけど)。

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