琵琶は何故「琵琶」で、三弦は「三弦」と呼ぶのか

先日、二胡専攻の友人が言いました。
「この間、二胡って何本弦があるの?って聞かれちゃった…二本に決まってるじゃない、二本じゃなかったら「二」胡じゃないでしょうが!」

ははは、確かに。
四本なら四胡だしなぁ。
弦が一本の、独弦琴という楽器もあったなぁ。
日本のお琴(筝)なんかも、十三絃とか、十七絃とかいうふうに、弦の本数が楽器名として通用するしなぁ。

ん?
まてよ、三弦って、弦が三本だから当然、「三」弦なんだけど、弦が四本の三弦ってあるよ。
これほんと。
中央音大の王振先先生が、1964年に「四弦三弦」というのを制作している…調弦はEADG。
1976年にも調弦GCDGの四弦三弦を作って、自分で演奏したCDも録音してるしなぁ。

まぁ、音域広げたい、琵琶の演奏技法取り入れたいって気持ち分からなくもないけど、三弦は弦が三本でいいんじゃない???

じゃあ、琵琶は四本の弦だけど、四弦って呼ぶんかいなと思いきや、そんな習慣はない。

実は、昔、ほとんどの弾撥楽器は、「琵琶」と呼ばれていたらしい。
というのも、そもそも、何で「琵琶」という楽器は「琵琶」って言う名前なのかというと
昔々、「琵」(発音はPi)というのが、弦を右手で前方へじゃらん~と掻き鳴らす動作で、「琶」(発音はPa)がその反対で、後方へじゃら~んと掻き鳴らす動作を表しました。
だから、こうやって弾く楽器はすべて、琵琶と呼んでいたのだそうな。

現在の、「月琴」(一昔前の日本でも流行したらしいね。坂本龍馬の奥さんのおりょうさんも弾いていたらしい。中国では今も京劇伴奏等に使います。)、「阮」(正倉院の宝物として螺鈿琵琶が有名だけど、実は螺鈿阮というのもちゃんと日本に伝わっています。)等はすべて琵琶の仲間~

ん?じゃ、まさか、弦楽器であって、弾くという点で琵琶も三弦も同じだから、もしかして、三弦まで琵琶って呼ばれていたのか?
ええ?!と思いきや、三弦にはそういう説や噂は見当たらない…
三弦の前身といわれる楽器の名称が「弦鼗」。発音記号はxian tao 。
(秦の始皇帝の頃…紀元前214年以降?)
「鼗」← この漢字、文字化けするかなぁ…(鞉·鞀)とも書くらしく、意味は「でんでん太鼓」。
三弦は、弦の付いたでんでん太鼓ってことで、琵琶じゃなかったんだ(笑)

手はどこまで進化できるか

実は、薬指のことで悩んでいます。
皆さまは、人差し指から薬指まで、一直線上に置いて思いっきり拡げたら、何センチくらいまで拡がります?
3歳から何らかの楽器やってるっていう人は問題外です。
むちゃくちゃ拡がるにきまってるやん。

津軽三味線の場合、多分、6のツボ(人差し指)から9のツボ(薬指)っていうのが一番距離があるんですよね。
測ったら約8センチでした。

中国大三弦の場合、多分、第七ポジションのド(人差し指)レ(中指)ミ(薬指)を一度に押さえる場合が一番キツい。
人差し指から中指までが4.5センチ、中指から薬指も4.5センチ(人差し指から薬指までが9センチ)です。
もちろん、どうにも手が小さくて押さえられない人は、薬指を使う際に人差し指を離せばいいんですが、そうすると、よほど運動神経がよくない限り、快速なフレーズを弾くのは諦めないといけないでしょうね。

私の先生は、お前は手が大きいんだから、がんばって拡げろって言います。
でも、横に拡げるのは、もう無理かも。
年寄りなんだから、手はあまり変形しないかもね…
とは言うものの、大人になってからやった器楽なのに、私の左手の指は右手より若干長いです(関節が伸びた?)

指を思いっきり拡げて弦を押さえる時、多分、二通りの方法があると思うんです。
一つは斜め横に拡げるパターン(琵琶はそもそも、これ以外に方法がないと思います)
薬指の右端よりの部分に弦を当てて、とにかくクリアな音を出します。

もう一つは、斜め下に拡げるパターン
ただ、距離が半端なくある場合、手首を上に上げることになり、人差し指を巻き込む感じになってしまうので、それはそれでイタイです。
薬指の真ん中あたりで弦を押さえることになるかと思います。

うちの先生は前者で押さえている感じかも。
でも、後者の方法を教える先生もいますよね。
ついでにいうと、日本の先生が、大人に教える場合は、そもそも、こんな無理な指使いをさせません(^^;
我々が、そこは中指でしょと思う距離を、薬指の記号が書いてあったりします。

どっちが薬指できっちり弦を押さえることができて、かつ他の指に負担がかからないんでしょうね…
いずれにしても、大人が無理しすぎると、指の腱に負担がかかって、痛めることになるので、注意が必要ですよね。
テキトーに押さえるだけなら、十分届くのですが、速く弾いて(例えば、ドレミレドレミレ、ドミレミドミレミ等)、且つクリアな音を保ち、音程が狂わないっちゅうのは、かなり、厳しい。
手を傷めたら元も子もないので、手加減してますが、どうにかなるものなのか、
もう、歳だから、諦めた方がいいのか、

実は習い始めのころ、右手を親指の付け根を痛めました。
そもそも、親指を外に弾くという筋肉の使い方を普通の大人は知りません(笑)
人の手は、握る方向へは簡単に力を入れられますが、逆は訓練が必要です(手首使わずにですよ)。
これも人差し指と親指の間の角度があまり広く拡がらない人にとっては、弦にあたる角度を上手くコントロールできないので、キツイです。
私はそれなりに模索して、自分の手の形に合うように妥協して弾くようになってからは、手は痛めてませんけどね。

こういうとき、6歳の6月6日から、楽器始めたという環境に恵まれてきたきた人を激しく妬みます(笑)
でも、そういう人はそういう人なりの悩みがあるので(周囲の期待とか、家業継がなきゃとか)、まぁ、妬んでも仕方ないですかね。

先生は、そのうち、何とかなるって思ってますけど、彼は私よりずいぶん年下で、この道だけで生きてきた人なので、年寄りの身体の構造なんて分かるまい…
(私の言動があれなので、先生も周囲も私の方が年下だと思っているようですが…)

チャイナ服の三味線を弾く女


何だか絵画的なタイトル…(笑)
陳逸飛(著名な中国の洋画家。1946年4月14日-2005年4月10日)の作品っぽくない?
例えば、「琵琶女」とか「潯陽遺韻」みたいな音楽題材系列の一つには見えないですかね?無理?

さて、日中関係が微妙になってからというもの、私はだいたい午前中、割と人がいない時間帯に三味線を練習することにしています。

しかしながら、先日、忙しくて朝寝坊して午前中、ろくすっぽ練習できなかったので、午後に練習しました。
そしたら、隣でソルフェージュの予習をしていた女の子がドアをノックするんですよね。
なんだろうと思って出ていくと
「それ、何ていう楽器?」と興味津津。

別に日本人だとバレたら、どうこうということもなさそうだし、嘘つくわけにもいかないので「日本の三弦」と言ったら
「きゃ~初めて見るぅ」と目がキラキラ。

一通り説明してあげたら満足して、「ばいばい」と隣の部屋に帰って行きました。

そして、数分後、今度はお友達を連れてきて
「ね、ね、これが日本の三弦なんだよ」とかなり嬉しそう。
さらに彼女は「ね、ね、言ったとおりでしょ?この人、中国語上手なんだよ~」とお友達に私の中国語を自慢(?)してくれました。

そして、「三味線持ってもらって、私と一緒に写真撮らせてください」というので、撮っていただきました。
何だか演奏家の先生の気持ちがちょっと分かりました(^^;

実は私、民族衣装が好きで、当然チャイナ服も好き。
なので、普段着に着ているため、チャイナ風の上着を着た女が三味線持って、女子大生と写真に収まっているッて何か、ちょっとおかしいですよね。
ちなみに、日本だと普段着の和服ってのもよく着ています(笑)
それで二胡弾いてるんだから、訳分かんないかも。
でも、呉服屋さんのイベントで振袖姿で二胡弾いたって話を人から聞いたことあるなぁ。
あ、そうそう、海外の公演とかで振袖で二胡弾くっていう日本人の先生もいるよね(写真どこかでみたような気が…)。
多分、もう、二胡は日本の文化とうまく融合しはじめているんだろうな。

さらに、彼女たちは、ピアノの上に散らかしていた「津軽じょんから(新節)曲弾」の譜面を珍しそうに眺めて、
「これも、写真に撮ってもいい?」と聞くので、いいよと返事しました。

余談ですが、三味線の譜面を珍しがって、写真に撮ってもいいかと聞く学生多いです。
自分が弾くためとかじゃなくて、本当に単に珍しいから、自分の携帯コレクションにしたいっていうだけなんで、遠目にパシャならOKしちゃってます。
お師匠様、スミマセンね…

偉い指揮者の先生とかで、自分のスコアを人に見せたりするの嫌だって言う人もいるらしいですね。
多分、書き込みや勉強の仕方を見られるのが嫌なんでしょうね(企業秘密?)
私の譜面は、三味線文化譜の下に簡譜(数字譜)が赤字で書きこんであります。
だって、そうしないと、音の高さが分からないので不安だから。
しかも絶対音で書かずに相対音で書くため、お師匠様と兄弟子先生は、私の変な書き込みを不思議がっています。
たまに、中国語でメモったり、日本語で関係ないことも書いてあるんだよね(そのときに受けた電話のメモとか…)