非即効性語学の勉強方法

さて、私は日頃、自分の半分くらいしか生きていないような若い子と一緒に大学で机を並べていたりしますが、たまに勉強方法を教えてくれと言われることがあります。
私がすでに別の分野で大学(院)を卒業している前歴があるのと、普通に中国語で日常会話をしていること(=語学が得意)と思われていることが原因と思われます。

でも、私、謙遜ではなく、実はおバカなんです。
↑そう言うと、人によっては「自分のことバカって言えるほど、自分に自信があるんですね」とか言う人もいるし、困ってしまうのだけど、正確に言うと、出来ることと出来ないことの差が激しすぎるんです(^^;

日本の私大は三科目ぐらい得意なものがあれば入学出来ちゃう。
私なんて、世界史と国語は満点に近かったけど、英語は足きりスレスレでした。
だって、私、普通高校出てないから、高校英語って習ったことないんだよね。
自分で予備校の参考書買ってきて、「ほう、世の中の学生さんは、こんな勉強するんだね」と思いながら電車の中で必死で読みました。
数学や物理なんていうのも、中学で基礎しか習ったことない。
計算に至っては、ものすごく遅いので(だから今でも会計や数字に関するお仕事に向いてません)、一歩間違えば、障害と言われたかもしれない子ども時代でした。
子どもの頃からいい成績だったものっていうのは、単に「好き」なだけで、勉強した記憶がない。
美術とかに至っては、いつもいい成績だったけど、あれって、勉強してできるようになるというのとは違うと思うし…
世界史とかは小説読んでいるようなつもりでいいんだし、国語は読書感想文や日記書いてるつもりにしかすぎませんが…

「どうしたら、游鯉みたいに、自由自在に外国語喋れるようになるわけ?」
いや、私の話している言葉も、ずいぶん幼稚で、自由自在というわけでもないですよ、
だって外国語だもの。
音楽科の学生さんたちも、普通高校から芸術関係の大学へ進学した子は割と英語とかの成績いいみたいだけど、そうじゃない子、音大附属とかから来た子というのは、音楽以外の科目に対してコンプレックスを持っている子もいたりするみたいです。

何故って、それはすごく単純。
私は欧米文化に興味なんてあまりないけど、中国文化には興味あった、ただそれだけ。
知りたいから、読む、聞く、先生につきまとう~(ストーカー行為はいけません(笑))
秘訣は、ただそれだけです。

私の先生になったことがある人は皆、きっと一度はうんざりしたことがあるに違いないんです…
というのも、私の付きまとい方は、尋常じゃない(もちろん、その時は一生懸命すぎて、我を忘れてるんです…ごめんなさい)
特に勉強方法が分からない初期の頃に至っては、「もしかして私に特別な感情でもあったりする?」と誤解されかねないぐらい頻繁に、大量のメール等を書いたりもします。

そこで、中国語ができないと、中国人とコミュニケーションがとれないので、不便が生じますね。
中国人の先生(ここでいう私の先生というのは、語学専門の先生ではなく、何かしらの専門分野のエキスパートで、往々にして英語やその他の外国語会話が達者ではない人が多かった)に必死に自分の言いたいことを伝えようと、メールするわ、電話するわ、実際に会って話すわ、そして、メールなり、電話する前には、絶対に何日間も今度会ったら、あれを聞こう、これを教えてもらおうというという内容を、道を歩きながらとか心の中ですでにその先生に向けて話しかけているのです。
よく知人に「さっき、どこそこで会ったのに、無視したでしょ~」と人に指摘される原因でもあります。
だって、そういう時は、車に轢かれないように気をつけてはいるけど、他のことは目に入ってないもんね。

つまり、私の場合、大抵の場合、目の前に存在していないけど、心の中に住んでいる先生に実際に話しかけるように物事を考えているらしく、
思考自体がすでに中国語なのです。
これを質問しなきゃとか準備するために、まず日本語書いて、翻訳して、なんてことを机上ですることは絶対にない。
書きとめるとしても、中国語ですね。
だって相手は中国人なのよ、日本語で話しかけてどーするの。
机に向かって勉強する時間だけが勉強時間ではないのです。

それって、楽器弾いてる子なら、わかってくれそうなものだけどな。
実際、たくさん弾いて練習もするけど、あなた方も、楽器が触れない時、エアで手だけ動かしたり、頭の中で演奏してるだろうが…

「法律なんて勉強してたんだーすごいーだって六法全書暗記しないといけないんでしょ」と音楽科の学生は言うけど、そんなもん覚えている法学科の学生なんているかよ!
もっとも司法試験なんかを受け続けてきた人とかになると、毎日、条文を引いていれば、問題解決に関係のありそうな条文がだいたい何条あたりにあって、大体の内容を覚えているものだけど、一字一句暗記してるわけないだろう~
だいたい、試験は法律条文見たっていいんだよ!
君らだって、暗譜してるだろ?
あれって、覚えようと思って覚えている人は多分稀で、死ぬほど練習し続けているから、自然に覚えちゃっている、もっと言えば、緊張で頭が真っ白になったとしても、手だけは先へ動いてるんじゃないの?
理屈は同じ。

私は語学なんて、英語は全然ダメだし、中国語も読んで、書いて、話せるけど、試験では文法のスコアがよくない。
夫に言わせれば、文法なんて勉強すれば一番点数の取りやすいものらしいけど、私は勉強の仕方が分からない。
私の大学時代の第一外国語の中国語の成績なんて普通でしたし、初めて受けたHSK(英語のTOEFLみたいなもん)なんて成績圏外でした(つまり成績出せないほど、低いレベルだった)。
今でも文法のスコアはよくないけど、日本人が通常苦手とされるリスニングとかになると、やたらスコアが高かったりするのです。
それは、日頃、常に先へ先へ、相手が言いそうなことを、すでに心の中で何パターンも予測し、長年住んでいるので語調や非言語コミュニケーションから、聞いた時に実際は一字一句聴き取れていなくても、多分、こういうことが言いたいんだろうね、ということが、相手が半分くらい喋ったところで、ほぼ感覚として分かっていることもあるというだけ。
後は相手が喋り終わるまでの間、相手が本当にそういうことを言いたいのか検証し、知らなかった言葉をその場で学んでいるのだと思います。

その証拠に、私も日本へ帰国して間がないうちは、ポロっと無意識に中国が飛び出してきてしまいますが、中国語が全く分からない筈の夫は、私が何言いたいのか分かってたりします(^^;
私の行動パターンを知っている人にとっては、非言語コミュニケーションからすでに、私が何言いたいのか知ってて、だから私がワケ分からん外国語喋ってても、通じるのではないでしょうか。

また、ある程度のレベルがある人であれば、相手が訳の分からない四字熟語などの高度で知的な比喩を用いてきた場合、もちろん聴きとれませんが、ぽかんとしてみせれば相手は幼児を相手にするような表現で言いなおしてくれますので、そこで覚えるということを繰り返していけば、語彙が増えていく事になります。
私はどうやら、たまに「XXXXってなーに?」「なんで、そう言うの?」と聴き取れなかった熟語や意味不明の表現などを無邪気に聞いて、「うん、うん」と頷くらしいので「あんたは子どもか…」と言われます。
だって、見た目はオバちゃんでも、頭は本当に子どもなんだから、しょうがないよ(笑)

余談ですが、中国語に限らず、日本語でも、私はよく「XXXXってなーに?」と人に聞くらしいです。
だって、日頃よく使う言葉でも、難しかったり、奥深くて別の意味があったりするじゃない?
で、夫は答えに困ってか、教えるのが面倒くさいからか、「辞書、自分で引いてごらん」と言います。
我が家では二人とも国語辞典引く回数多いかも。
で、くだらない遊びが二人の間でよく始まります。
例えば、ある言葉「検定」が気になるとすると、とりあえず、どういう意味だっけ~と辞書を引き「人または物を検査し、これが一定の基準に合致しているかどうかを確定または認定する行為」と確認します。
で、お遊び開始~

「ケンテイって言っても、人に物を差し上げたりすることじゃないよ(献呈だっちゅーに)」
「ケンテイって言っても、賢い皇帝のことじゃないよ(賢帝だっちゅーに)」
「ケンテイって言っても、賢い弟さんでもないんだなー(賢弟だっちゅーに)」

と、続く限り続けます。
答えがなくなり次第あるいは、一文字違いのバカバカしい別の言葉が出始めたら終了です。
だから、私はダジャレや親父ギャグと言われているもの、本気で楽しくて可笑しいので好きです(^^;
外国語でも似たようなこと考えたりします。
心がオジサンですみません。

結局、できないことって、その人にとって本来必要ないことなんじゃないかな、多分。
それが出来ないと、私、もう明日から生きる意味なくなっちゃう~、死んじゃう~みたいな事情があったから、私は中国語がある程度できるだけなんです。
私、別に中国語を一字一句、分解して構造知りたいなんて思っている訳ではなく(そういう本も読んだけど、ツマンナカッタ)、私はこういうことしたい、知りたいんだけどという夢や願望が先に存在していて、それを実現するために必要な知識なり環境が、中国語できないと手に入らないだけだという…

ちなみに私が以前、法学部に在籍していたのは、夜間の学部が法学と経済しかなくて、経済は数字見ないといけないので必然的に無理だった(だって私は障害者並みに計算ができす、高校で普通の人が習うはずの数学を習ったことがなく、グラフ等がきちんと読めない。マジで特定の分野の仕事には向いてないでしょう)ので法学へ行かざるを得なかっただけです。

で、母校はたまたま中国文化に詳しい研究者が大勢いたところだったので、これ幸いと中国法なんていうものを研究するに至っただけです。
だって法律は、文化背景によってずいぶん違いますよ。
面白いじゃないですか。

だから、語学なんて、やりたくないなら、やらなくてもいいじゃん~
(↑それじゃ、大学卒業できないんだよ!と怒られました。中国の大学では英語検定の何級だかに受からないと卒業資格ないんだって)

でも、自分の楽器を通じて、海外で活躍したい、外国人に教えたいとかいう夢や希望があるなら、話は早い。
だったら、日頃からもし外国人に筝を教える、二胡教えるなら、どう言えばいいのかってことを歩きながらシュミレーションすりゃいいのだよ。
そしたら、想像するのは楽しいし、実際、そういうことに興味のある外国人は多いのだから、実践する機会もあるというもの。
ある程度、語学が使えるようになってきたら、自然に「試験のための語学」のスコアもギリギリセーフのレベルまであがる筈だと思います。
もちろん、そういう勉強の仕方は、試験をクリアするための勉強方法とは違うから、決していい成績は修められないし時間もかかるけど、自分にとっては生涯の財産なのではないかと思うのです。

そして、私はたまに「真面目」とか「努力家だね」なんて言われますが、そんなことありません。
だって、申し訳ないけど、他人から努力しているように見えることというのは、「単に好きで遊んでいる」だけですから。
こういっては何だけど、音楽科にいる生徒さんもそうじゃないの?
親や環境にやらされてきた側面は否定できないだろうけど、最終的に自分も好きじゃなかったら、続けられないでしょう?
同じだと思うぞ。

で、そういうことを喋った後、即効性のある試験勉強方法を得られなかった学生さんは、がっくり帰っていくのであります。
私は予備校教師やお受験家庭教師には向かないタイプです。
即効で社会に役立つことを自分ができたり、教えたりすることが出来ないんだもの。
いわゆる高校で進学校に通ってた人とかが普通にもってる、受験のノウハウは、分からないンです~