三弦国際シンポジウム(演奏会篇2)


シンポジウムのトリを飾る2日目の夜の演奏会の主役は、当然、モンゴル族三弦の演奏家さんたちです。
漢字をそのまま書いても、モンゴル語発音の当て字だし、ますますどういう曲か分からなくなると思ったので、以下、片仮名にした方が分かりやすそうなところはできるだけ片仮名にしてみました。

1、三弦合奏
 (1)君主チンギスハン
 (2)歓喜のオルドス

2、三弦弾唱(弾き歌い)
 オルドス民謡

3、三弦独奏
 烏那欽

4、三弦三重奏
 オルドスの雲

5、三弦独奏
 (1)モンゴル国の民謡
 (2)三弦コンチェルト第三楽章

6、三弦四重奏
 阿斯爾

“阿斯爾”(中国語の当て字です。だいたいの発音は、asier)とは、モンゴル語の”阿斯如温得爾”(中国語の当て字です)の口語省略形です。
意味は、「極めて高いこと」。
元代の「皇室白馬群之歌」が元になっているモンゴル族の古典曲です。

7、内モンゴル東部民間説書(弾き語り)
 八音

四胡という擦弦楽器(二胡みたいなものだけど、弦は四本)と三弦の伴奏で、面白おかしく語ってくれましたので、会場から歓声があがりました。
なんでも、演奏してくださったおじさま方は、大工さん出身なので、楽器は自作だとか…
すごいよね。私も三味線ぐらい、自分で作れないとね。

8、呼麦弾唱
 祭祀頌

9、三弦独奏
 森徳爾姑娘

10、長調と三弦
 四季

「長調」はモンゴルの民謡の形式で、旋律が長く、音階の変化が少なく、高らかで抑揚のあるリズムが特徴らしい。
無形文化財だそうです。

11、三弦小合奏
 二人台組曲

12、三弦陶布秀弾唱
薩布爾登
 

【感想】
歌がいっぱいで、楽しかった~
モンゴル三弦は、指でかきならすというのではなく、棒を使用します。
人差し指と中指の間に棒を挟み、これをピックにします。
まぁ、三味線の撥が薬指と小指の間に挟むのとちょっと似てますかね。

漢民族大三弦は、私が思うに、とにかく伴奏楽器ではなく独奏楽器なんだということを強調して西洋音楽に追いつけ(?)みたいな感じで、大学教育に取り込まれた感があるので、基本的に音大や音楽科の三弦専攻で弾くような曲には、歌が全くないんですよね。
弾き語り演出の前座で弾いた器楽曲とか、最近作られた現代曲か、琵琶や筝から移植された純粋器楽曲ばかり。
本来のルーツの民間伝承芸能の弾き語りができる学生なんて、音楽科にはいないです(笑)

もともとは、伴奏楽器じゃない、三弦って?
「伴奏楽器」と口にすると、結構、ムッとする人多いけど、伴奏楽器は独奏楽器より劣るっていうイメージなのかしらん?

それから、結構、大人数のユニゾン演奏が多かったかも。
14人とかで合奏するの。
何だか、津軽三味線のXX流の大合奏を思い出しちゃった。

よく二胡と合奏したいと中国人に言うと、音楽専門教育を受けた人ほど「どっちも、旋律楽器で個性的だから、合わないんじゃないか」と言うけれど、それは西洋音楽の合奏に慣れているからそう思うだけなんだよね。
モンゴルの人は、擦弦楽器と三弦の伴奏で普通に歌ってるよ~
いいじゃん、日本人が二胡と三味線で歌ったってさ、と思うのでありました。
(そういえば、二胡と三味線の合奏は聴いたことあるけど、さらに唄っているのは聴いたことないなぁ)