二胡LESSON114,115,116

あはは、レッスンをサボっていたわけではありません。
書くのを忘れていたわけでもありません。
何と言うか、メンタルな話なので、書けないというだけです。
いや〜書いてもいいけど、自分で自分のイメージ悪くするのもバカですし、何よりも読む人が気分を害するかもしれないし、或いは、鬱な気分の伝染ということもあり得るので控えます。

一回通しで私が春詩を弾いて、後の30分以上は話してました。
あ、別に遊んでたとか、その場で練習したんじゃないですよ。
これだけ見ると、人によっては、「お前の練習不足で、先生も教えようがなかったんだろ」とか「先生は何も教えてくれないのに、レッスン料払ってるの、バカじゃない?」って思う人もいるかもですけど、そうじゃなくて、私の演奏に「音楽らしさ」がこれっぽっちもないのは、もう技術の問題ではなくて、メンタルの問題が大きいということです。

私、弾いてる時は、どんなに単純で簡単な曲や暗譜している曲だったとしても、ずーっと音程とリズムがあってるかどうかばかり気にして弾いてますからね。
それで、きちんと弾けているならまだしも、ほとんど弾けてませんから、たった5分の間に何十回も心の中でダメ出しすることになります。
でも、音楽は時間芸術ですから、途中でマズイと思っても、本番(一応、先生の前で通す時は本番です)は止まるわけにはいきません。
だから、弾いてる本人は、楽しいわけないわな。
苦痛で苦痛でしょうがない。理想と現実が違いすぎるから。
それが全部顔に出る、手に出る、オーラとなって渦巻いている…。
私の基準はかなり高すぎるのです…。
しょうがないですよね、年取り過ぎてから、音楽やってるんだもん。
手と頭は子供のように働かないくせに、音楽をどれだけか聞いてきたという経験値だけはやたら高いんですよ。

だから正直に言えば、自分に対してだけでなく、人に対しても厳しいと思います。
自分ができないので、他人のことをとやかく言えないから書かないだけです。
特にお金払ってるプロのライブは、自分がその人のファンでない場合、今、自分は奏者の粗探ししてるなと思うことがあります…
ああは弾きたくないとか、あ、音外したなぁ、あ、うまいこと誤魔化しやがったなとか…。
嫌な性格ですね。

【余談】
連休中で、先生もいろいろお忙しい様子。
今日は昼の12時という変な時間の約束でした。
約束の10分前に行ったら、先生、まだ昼ご飯中だった(^^;;
この後も予定がいろいろ入っているので、ゴメン、先に食べさせてねって(笑)
個人レッスンでお宅に伺う場合って、先生のお家のつくりや性格にもよるけど、生活空間と区切りがないお部屋でレッスンすることあるのよね。
ちなみに三弦の先生のお家もよく晩御飯のおかずの匂いします…。
先生が食べ終わるまで、一人でウォーミングアップして、じゃれてくる丸子(ワンコちゃん)に音階を聞いていただきました(^-^)

弦舞藝幻

gaoyizhen
中央音大の高藝真さんの修士卒業音楽会に行ってきました。
この方は子供の頃は琵琶を弾いてただけあって、手先がとても器用なんですよね。
名前から見て、きっと親は芸術関係の仕事してるんだろうなぁ。
終わってから、私と先輩は「よかった〜」と繰り返しつぶやいちゃいました。
本当に無駄な動きがなくて美しいフォーム、だから音も美しいのですね。
ついでに本人も美しいし…でも中国人学生って、普段はスッピンでシンプルな服装でメガネとかかけて講義に出てたりするから、美人だと気づかないケースもあったりして。(おさげに三つ編みメガネの学級院長が、ドレスアップしたら凄かったっていう少女漫画の王道みたいな女子が中国の音大にはたまにいる気が…)

一、竹溪辞 作曲:孫小松
三弦、二胡、琵琶の三重奏です。
一段、二段は、茶館とかのBGMみたいで、邪魔にならないいい雰囲気の曲です。
三段目はちょっとアレグロで、琵琶と三弦の滑音が聞きどころ。

二、風雨鉄馬 作曲:白鳳岩
これは、三弦やってる人なら、知らない人はいない名曲。「三弦聖手」と呼ばれた芸人の白鳳岩の作曲で20世紀の作品です。白先生は琵琶や四胡もできる人で(昔の芸人さんは往々にして二、三の楽器ができますが…)、三弦の伝統的なポジション移動を見直し、奏法とかに現代的要素をどんどん取り入れ、三弦の独奏作品を残しました。

三、舞幻 作曲:徐暁林
作曲者がチベット族の舞曲を素材に作曲しただけあって、テンポのいい曲です。

四、草原(第一楽章)作曲:顧冠仁
五、三弦与楽隊協奏曲 (第一楽章) 作曲:楊勇

四は三弦協奏曲として、2006年にシンガポールの楽団のために作曲されたものです。
数日前、彼女の先生から演奏曲目聞いた時に、「じゃあ、オケをバックに弾くの?」って聞いたら、「そんなわけないでしょ、オケを雇ったらいくらかかると思ってんのよ、ピアノ伴奏だけよ〜」って言われちゃいました。シビアですね。

【余談】
実は、中国三弦という楽器は非常にマイナーな楽器なので、子供の頃からこれ一筋っていう人はあまりいません(笑)
様々な理由で別の楽器から三弦専攻に転向する人と、様々な理由で三弦から別の楽器に転向する人も多いからです…。
子供の頃からこれ一筋だったら、もっと上手くなれるのかというとそうでもないんですよ。
というのも、この楽器、もとは津軽三味線なんかと同じで、唄の伴奏楽器だったのですが、独奏楽器として別ジャンルが確立しているので、昔の芸人さんの弾き方では、とてもじゃないけど、弾きこなせないんです。
琵琶の奏法とかも取り入れたり、両手五本の指全部使いますし…。
だから、家族に芸人がいたとして、芸人の爺さんから基礎習ったとかじゃ、役に立たないんです。
弾き方が全く違うから。
かといって、民族楽器独奏というジャンルの三弦をきちんと教えられる人の数は極めて少ないので、多くの人は、最初、数年適当に習って、途中で壁にぶち当たって、自分の弾き方を変えざるを得なくなります。
逆にこれやってる人が、唄の伴奏できるかっていうと、全くできませんよ。
譜面的には簡単だから技術的に手は回るだろうけど、唄の拍の取り方が西洋音楽とは違うので、唄い手にしてみたら、「このボケ、どういう間の取り方するねん」と切れることでしょう(笑)

三弦って技術的にちゃんと弾くには、他の楽器同様、何年もかかるし、その割りに仕事がないので、実に割に合わない楽器なんですよね。
ところで、三弦の先生は、三弦が一番難しいと言い、琵琶の先生は琵琶が一番難しいといい、二胡の先生は二胡が一番難しいって言いますね(笑)
だから、ちゃんと弾こうと思えば、どれもそれなりに難しいのは確か。

でも、二胡とかだと、技術的にちゃんと弾けない人でも、素人相手なら聞かせられるというところがありますからね。
だから、趣味で弾く人が多いのも、わかります。
さほど、技術的に高いものが要求されなくても、素人受けするテンポのいい曲や感じのいい曲があって、そういう曲は、ちゃんと弾けてなくても、素人目にはバレないというか、テンポがよかったり雰囲気がよかったりするので、ごまかせるというか、別に皆が楽しければ、多少、技術的に下手でも誰も苦にならないという意味です。
三弦ってそういう、受けのいい名曲ないもん…
今日のお客さんの大半は関係者だと思うけど、隣のオジサン寝てるし…

私も三弦が好きで好きでたまらなくて、子供の頃から習った人間ではありませんが、関わった以上、「ド素人で不器用な人でも、この程度の曲なら、この程度の時間で弾けるようになるんだよ」「ど素人でも、だいたい、ここまでならできる」ということを実証するために、練習し続けているようなわけです。
こんな私でも弾ける、耳あたりのいい曲って何かないのかなぁ。

…さて業界の愚痴はこのへんで終わり(^^;;

私の大の仲良し

仲良しの満琉(ミチル)ちゃんのこと書きます。
満琉ちゃんは、日本生まれですが、外国ぐらしが長いので変わってるとよく言われます。
日本語の喋り方がおかしい…
毎日一緒にいる私の影響が大きいのかもしれない…ゴメンヨ。
見た目はそこそこ可愛い。
チャームポイントは、とぉーっても長い首、キラキラ美しい〜
先日、成り行きで、満琉ちゃんが音大の先生の前で日本語で唄ったら、「いい声してるね」って褒められた。
あれれ?日本語ド下手くそだけど、そんなこと外国人には関係ないらしく、声が明るくていいって、言われてた。
日本社会じゃ、みんなと同じじゃないから馴染めなくて、浮いちゃう子だったのにねぇ。
先生が、同じく同年代の日本人の娘さんがいるXXさんを引き合いに
「XXさんのところの子は、こういう声じゃなかったけどね」としみじみ言うので
「だって、XXさんとこのお嬢さんは、もっと身体細いし、小さいですからね。」と私。
そして、日本の女の子にも色々いるってことで、最後に
「XXさんのお嬢さんは猫ですけど、満琉ちゃんは犬ですし」と付け加えておきました。

…分かる人はすぐ気づいたと思いますが、満琉ちゃんは、私の津軽三味線のことです。
乾燥の超キツイ北京にずっといても、破れないでがんばってもらわないと困るという私のリクエストに応えて、ゆるゆるの高くない皮が貼られています。
日本人は日本でこういう三味線は持たないかと…
でも、全て安もんというわけではなく、棹だけは上等でズシっと重い(硬い)んです…
何故なら、私は花梨の棹を数カ月もしないうちにかなり擦りへらしてしまうような怪力女だから、硬い木でないと、棹をいちいち修理に出せるかいってことです。
普通のか弱い女子には構えたり、持ち歩くのに不便かも。
職人さんの言葉で言うと「この木は素性がいい」そうで。

日本人の三味線弾きに「?」な顔されるたび、「職人さんの名誉のために言うと、私の無理なお願いを色々考慮して作ってもらったので、こういう音なんですよ(^^;;」とはっきり説明してきましたが、曲や演奏技術ではなく、「音そのもの」って何をもって良しとするかは、本当に国や地域、文化、人それぞれなんだなぁと思います。
ついでに言うと、作ってもらった当初よりもっと皮はゆるくなってるだろうし、楽器って何よりも奏者の癖が染み付くんですよね。
ほんと、私、ほぼ毎日、弾いてますから…(そのわりに下手ですまん)
私の三味線の先生は、お立場上、否定的なことや主観的な好き嫌いは、あまりハッキリおっしゃいませんが「日本の三味線ぽくない音だよね」と私の弾き方も含めて客観的事実を淡々と…(^^;;
私のような人は、どういう音を目指したらいいんでしょうね(汗)