二胡LESSON81

えっと、私とナナ先生の都合が合わず、前のレッスンから1ヵ月半も経ってしまいました。
二胡やめちゃったんじゃないのか、と思っておられる読者の方もいると思います。
やめてないです~

【快弓】
さて、快弓ですが、アマチュアだとどのくらい速く均一に出来るようになればOKなんでしょうね。
私の年齢や運動能力の如何にかかわらず、一応、ナナ先生は専門の学生を育てるのと同じように教えてくれたりします。
私が中学生だったら、将来、使い物になっただろうに(泣)。

私の快弓は相変わらず、脱力できていないというか、まだコントロールしてやろうって感じから抜け出せないそうです。
もちろん、弓を全くコントロールしない状態では、ただ速いだけのデタラメ、不均一なわけですが、最低限の力だけで余分な力が抜ければ、非常に滑らかな、見た目も美しい「慣性」だけで動いているような快弓になります。

-練習方法―
前提条件:必ず、メトロノームを使う。
適当に安定して弾ける速度から開始。
快速弓の十六分音符「タタタタ タタタタ」を一組とすると、それを数組続ける。
安定して(均一に)出来るようになったら、すぐに速度を上げるのではなく、長弓に戻る。
長弓をしばらく続けて、先ほどのスピードで快弓をする。
安定して出来るようであれば、速度を上げてみる。
ここで、安定してできないようなら、速度を落とす。
快弓をした後は、また長弓に戻る。

要するに、快弓ばかりをずっと練習したって、あまり効果は期待できないってことらしいです。
それを曲の中で活かせるようになるには、弓使いを変えても、またすぐ元に戻って安定して速く弾けなくては意味がない。

そして、実は思っているほど、自分のリズムっていうのは、合っているようで、合ってないことに気付かないといけないんですよね。
ちなみに、私も自分が弾いている時は、あまりにも一生懸命すぎて、途中でブレても気付きません。
でも、人の乱れはよく分かるものです。

ちなみに、人気曲の「賽馬」ですが、アマチュアのいろんな人の演奏を聴くと、ブレている人も多いなぁと思います。
今は便利な機械やソフトも多いので、それらを利用して、スピードを落として聴くと、一流と言われている先生の演奏は本当に滑らか。
もちろん、表情付けの必要性から、途中でスピードが変わったりはするけど、均一に弾くべき一組の十六分音符がブレることはまずない。
素人の演奏だと、いくら速く弾けていて、その場のノリで、全然問題なく皆で楽しめる演奏であったとしても、実際は、ブレまくり…
(それは、それで楽しむのが目的なので、全然OKなんですけどね)

いや、もちろん、お金もらうプロの演奏レベルを皆が目指す必要なんて全然ないわけだけど、出来るだけ「賽馬」を上手く弾きたいのなら、最初は超ノロいスピードで、すべて分弓で弾くことがおススメなのだそうです。
(連弓だと、あっと言う間にテキトーに弾いてしまえるので、実は一つ一つの音がきちんと響いていない)

【撥弦】
73小節目から88小節目のピチカート奏法。
私は音が小さい。
棹の方向めがけて、思いっきり弾きなさいと言われています。
そして、指がちょこっと弦をかすって通過するだけなので、ますは指が弦にきちんと触れたところで一回止めて、そして思いっきり弾くというように動作を二段階に分けて練習することをすすめられました。
それができるようになったら、二回に分けた動作を、一回で一気にやると前よりうまくできるかも、です。

はい、ワタクシの「賽馬」ですが、相変わらず、運動場をポテポテ歩いています。
ちなみに、速く弾こうと思えば弾けなくもないですが(といっても、演奏家が舞台で弾く2割減くらいのスピードでしょう…)、本当に惨めな音しかしないので、先を急がずボチボチ訓練していこうと思ってます。

【余談1】

私の新しい二胡の那由多くんですが、ナナ先生いわく、上手く育っているようです。
ナナ先生には、同時期に同じ工房の同じ先生が制作された二胡を持っている生徒さんがいるのですが、その子はどうも奏法にかなり癖があるらしく、二胡に変な癖がついてきたので、あなたはそういう風にならないように、ちゃんと弾きなさいということです。
楽器には奏者の癖って良くも悪くも付きますよね…
ちゃんと振動させてあげれば、よく唄うようになるし、あまり弾いてあげないと、いくらよい職人さんが制作した楽器でもいつまでたっても鳴らない…
本当は、もっと弾いてあげないといけないんだけど、なにせ、私には三弦の瑞峰くんと、津軽三味線の満琉もいるので、子だくさんは大変だぁ。

【余談2】

バスを降りてから「わ、二胡持ってない」と気付き、青ざめました。
何のことはない、背中に背負っているのを忘れていただけ…
二胡と一体化して、重さを感じてない!?
演奏中に一体化してくれよ~
まるで、自分の身体の一部のように、私の胸の内を音にしてくれ~~~

兄弟子先生は昔、マジで電車に商売道具(三味線)を置いたまま降りてしまわれたそうです。
しかも、翌日、仕事が入っているのに…だ。
英語の勉強をしていて、集中のしすぎらしいです。

でも、これ、分からなくもない。
私も電車で寝過ごしたことなど一度もないけど、本を読んでいたり勉強していたりして、乗り越したことは多々あります。
集中して論文書いていた時などは、私はパソコンに文字入力しながら歌うために(何でそうなるかはしらないけど、テンション上がるからなのかな?)、傍からは遊んでいるようにしか見えないらしいけど、実はどっぷりと自分の世界に入り込んでいるので、電話が鳴っても本当に知らない。
後で「何ででないんだよ」と叱られるが、聴こえないものはしょうがない…
楽器の練習中も、気付く時もあるけど、気付かない時もある(^^;ごめんなさい。

三弦国際シンポジウム(学術報告篇)

ところで、私は初めて音楽系の学術討論会に参加しましたが、法学(邦楽じゃないよ)の研究会と違いますね。

まず、思ったことが、研究者であるよりも演奏家に偏っているタイプの先生は、やはり、喋るのがお得意ではない。
弾かせるとあんなに楽器が饒舌に喋るのに、自分の口ではあまり表現できない人もいるんですね…意外だなぁ。
ここらへんが、演劇、演出を専門としている先生とはずいぶん違う(演劇演出系の方の中には、若いころ、自分自身が役者として舞台に立っていたとかいうタイプは喋る喋る…)

そして、ある程度、講演(公演も含む)が得意な大学教授兼演奏家(どっちを前に書くべきだろう)の先生でも、音楽という言葉にしづらいものを対象としている以上、やっぱり伝えにくいことがあるのでしょうね。

談先生が、突然、「言うより、やった方が早いわ」とすっくと立ち上がり、檀の下に降りてきて学生から三弦を受け取り、三弦抱えながら喋り始めました。
「こうすると、北方系の雰囲気は出るでしょう?」
「こうするのと、こうするのでは、スリの効果が違うから、感情表現も違ってくるでしょう?」
などと、あれこれ、弾いてくださいました。

ううむ、一つ一つは、簡単な、あるいはちょっと複雑な単なる演奏技法にすぎないのに、談先生が弾くと、ただの「技」ではなく「表現」になってる。
さすが、先生…(って当たり前ですね、何年も弾いて、これで生計立てているんだから…)

最近、ふと、思うのだけど、やはり、初心者はどうしても「技」の習得に気を取られていて、ややもすると何のためにその技を身につけようとしているのか忘れちゃっているような気がする。

目的と手段がごっちゃになっているですよね。

その技法が出来るようになるのは当然だけど、何のために身につけているのやら。
何かを「表現」できず、誰も感動してくれなかったら、意味ないじゃん~
もっとも、XXが速くできるということ自体が「おお~すげ~」となる見せ場もありかもしれないけど、そんなん…若いうちしかできないし、ある程度運動神経ある人なら、誰がやっても同じでしょ(笑)

わはは、年寄りの言い訳かもしれないけど…
その前に、十六分音符のトレモロを180の速度で、3分弾き続けてみろって>自分

三弦国際シンポジウム(演奏会篇2)


シンポジウムのトリを飾る2日目の夜の演奏会の主役は、当然、モンゴル族三弦の演奏家さんたちです。
漢字をそのまま書いても、モンゴル語発音の当て字だし、ますますどういう曲か分からなくなると思ったので、以下、片仮名にした方が分かりやすそうなところはできるだけ片仮名にしてみました。

1、三弦合奏
 (1)君主チンギスハン
 (2)歓喜のオルドス

2、三弦弾唱(弾き歌い)
 オルドス民謡

3、三弦独奏
 烏那欽

4、三弦三重奏
 オルドスの雲

5、三弦独奏
 (1)モンゴル国の民謡
 (2)三弦コンチェルト第三楽章

6、三弦四重奏
 阿斯爾

“阿斯爾”(中国語の当て字です。だいたいの発音は、asier)とは、モンゴル語の”阿斯如温得爾”(中国語の当て字です)の口語省略形です。
意味は、「極めて高いこと」。
元代の「皇室白馬群之歌」が元になっているモンゴル族の古典曲です。

7、内モンゴル東部民間説書(弾き語り)
 八音

四胡という擦弦楽器(二胡みたいなものだけど、弦は四本)と三弦の伴奏で、面白おかしく語ってくれましたので、会場から歓声があがりました。
なんでも、演奏してくださったおじさま方は、大工さん出身なので、楽器は自作だとか…
すごいよね。私も三味線ぐらい、自分で作れないとね。

8、呼麦弾唱
 祭祀頌

9、三弦独奏
 森徳爾姑娘

10、長調と三弦
 四季

「長調」はモンゴルの民謡の形式で、旋律が長く、音階の変化が少なく、高らかで抑揚のあるリズムが特徴らしい。
無形文化財だそうです。

11、三弦小合奏
 二人台組曲

12、三弦陶布秀弾唱
薩布爾登
 

【感想】
歌がいっぱいで、楽しかった~
モンゴル三弦は、指でかきならすというのではなく、棒を使用します。
人差し指と中指の間に棒を挟み、これをピックにします。
まぁ、三味線の撥が薬指と小指の間に挟むのとちょっと似てますかね。

漢民族大三弦は、私が思うに、とにかく伴奏楽器ではなく独奏楽器なんだということを強調して西洋音楽に追いつけ(?)みたいな感じで、大学教育に取り込まれた感があるので、基本的に音大や音楽科の三弦専攻で弾くような曲には、歌が全くないんですよね。
弾き語り演出の前座で弾いた器楽曲とか、最近作られた現代曲か、琵琶や筝から移植された純粋器楽曲ばかり。
本来のルーツの民間伝承芸能の弾き語りができる学生なんて、音楽科にはいないです(笑)

もともとは、伴奏楽器じゃない、三弦って?
「伴奏楽器」と口にすると、結構、ムッとする人多いけど、伴奏楽器は独奏楽器より劣るっていうイメージなのかしらん?

それから、結構、大人数のユニゾン演奏が多かったかも。
14人とかで合奏するの。
何だか、津軽三味線のXX流の大合奏を思い出しちゃった。

よく二胡と合奏したいと中国人に言うと、音楽専門教育を受けた人ほど「どっちも、旋律楽器で個性的だから、合わないんじゃないか」と言うけれど、それは西洋音楽の合奏に慣れているからそう思うだけなんだよね。
モンゴルの人は、擦弦楽器と三弦の伴奏で普通に歌ってるよ~
いいじゃん、日本人が二胡と三味線で歌ったってさ、と思うのでありました。
(そういえば、二胡と三味線の合奏は聴いたことあるけど、さらに唄っているのは聴いたことないなぁ)