猫の手も借りたい先生

本日は三弦の授業(レッスン)の日。
しかしながら、最近、トシミネ先生は大学の雑用に追われて忙しく、結構、時間を頻繁に調整しております。
そのため、いつもどおりに行ったら、前の子がまだ終わっていない。
そんでもって、自分の番になった時間には、後ろの子がやって来てしまい、その子は中阮のレッスンなので、隣の部屋を借りて、トシミネ先生、右の部屋に行ったり左の部屋に行ったりしながら同時にレッスンしてしまった(笑)
で、私の次は、三弦専攻の大学一年生が二人同時に出現(ちょうど同じ曲をやっているらしく、二人まとめてやろうということらしい…)
私は彼らがやっている曲「万年歓」という曲が大好きなので、自分のレッスンが終わっても人のレッスン見てから帰るつもりで、ず~っと部屋に残っていました。
私のレッスン時にはすでにお昼の12時になっていまして(私はこんなことになるだろうと予測していて10時半に軽くお煎餅を食べて、本来11時に始まる自分のレッスンに備えていて正解でした)、トシミネ先生お腹すいてヘロヘロ。
本当は、レッスン室って飲食禁止なんだけど、ヘロヘロの先生を、餓死させてしまってはレッスンしてもらえなくなるので(笑)、学生さんがお弁当買いに行って、こっそり持って帰って来ました。
で、先生が隣の部屋で食べている間、我々3人の三弦専攻者の井戸端会議が始まったわけです…
私以外は、18歳の男の子と女の子ね(若っ!)
「長時間弾いてると、この辺りが痛くなるのは普通かな?」とか、「爪のここがすり減るのって、やっぱ弾き方が悪いのかな」とか、しばらく同業者のお悩み告白?座談会になりました。

「お姉ちゃん、手が大きいよね~」とトモ君(仮名)が言うので、
「いや、君だって大きいじゃん」と手を見せあいっこ。
三弦専攻者の手は往々にしてでかい(汗)
ちなみに、ここで「お姉ちゃん」と呼ぶ言葉の原文は「師姐」。
先輩とでも訳せばいいのかな、同じ師の下で学ぶ上の人をそう呼びます(私の方が学習年数は短いけど学年は上なので)。私が男性なら師兄になります。
「いや、お姉ちゃんは指が長いと思う」
「そうかなぁ」と無邪気に、手と手を合わせっこしてしまいました。
「三弦やってる場合じゃないよ、ピアノがいいよ、ピアノやれば?」と言われてしまいました。

後で気づいたけど、18にもなれば、男の子っていうより、一応、男だったんですよね…あはは…手触っちゃったよ、ゴメン。
でも、内輪では、口で言っても分からないことは、結構、相手の手を触るから、小学生の頃フォークダンスを踊る時のようには、意識してなかった(笑)
だって、我々、トシミネ先生の手の大きさ、形、柔軟性とか、手がいつもすごく温かいとか知ってるしねぇ…。
トシミネ先生だって、自分の先生の右手の親指の長さ、大きさがどうこう、ってよく覚えてるよ。
こっちも、見てもあんまり分かんないときは、我慢できずに触っちゃうしなぁ…(これって世間では痴女?)

そして我々が、練習せずに雑談し、話がだんだん三弦から脱線し始めたとき…そういう時に限って、仁王トシミネ先生、予告なく、突如、帰って来るんだよね。
「游鯉!おバカと一緒に遊んでないで、自分の練習せんか~」と叱られてしまった。
「あはは~センセイ、おバカはひどいよぉ」と大学一年生たち。

大学一年生と一緒にいて良かったこと。
大学一年生があまりにもおバカなので、つられていっぱい笑った。
若い子は、本当に、鉛筆転がっただけでも可笑しいんだね(笑)。

自分のレッスンがボロボロで「もう、三弦やめたい」と思ってたんだけど、彼らのレッスンを見ていたら、結構、彼らですら同じことを言われてるのね(笑)。
技術的な注意点も私と似たりよったり(もちろん、程度に差はある…)。
私が子どもの頃からやってないからとか、運動神経もしくは頭悪すぎで、トシミネ先生にぼろくそ言われてるのかと思ってたけど、そうでもなかったらしい。
トシミネ先生は誰にでもわけ隔てなく、間違った音出した時は「あぁぁぁぁ?今のはなんなんだ?」って嫌らしく聴き返してくるのね(笑)。

「もうすぐ、試験だろ?オレが焦ってどうする、お前らが焦れよ!」と先生。
トモ君「だって、こういう昔の曲は旋律感がなくって暗譜出来ないよ。何か方法ないの?」
トシミネ先生「覚えようとして覚えるんじゃなくて、何回も弾けば自然に覚えるんだよ!お前ら練習が足りないだけ!」
みっちゃん「(ボソっと)間違えたって、トシミネ先生以外の先生は、この曲自体、知らないだろうから、大丈夫だよ」
游鯉「(我慢できずに)あははははは…」
トシミネ「・・・・・」

ところで、若い子がよく言うセリフ、昔の曲には「旋律感がない」。
んー、音楽心理学かなにかの実験で、西洋楽器しかやったことない音大生に、邦楽聴かせると、区切りというか塊が分からなくて、暗譜しにくいという実験結果があるみたいね。
中国民族楽器でも同じだと思う。
彼らだって、お家が特殊でない限り、洋楽の方に親しみすぎちゃってるわけだから、間が上手くとれない。
私は理屈で覚えられないから、模範演奏をひたすら聴いて覚えます。
五線譜なら明らかに休符が入るところ、こういう曲の譜面には休符指定も何もないけど、ちゃんと「間」を入れないと叱られる…四分の二拍子って書いてあるけど、実際はそうではなくて、変なところにアクセントが付く。
天哪(OH!MY GOD!)
だから、たくさん聴いて、たくさん弾くより仕方ないんだよね。

お知らせ…週末は、大学の情報処理センター設備の移転のため、LANが全館ダウンするので、アクセスできません。うちの大学はど僻地にあるため、近所に無線通信できるようなスタバとかお洒落なレストランもありません。更新がないとか、レスがないとか心配しないでね(^^)

ある音楽家の本番前・中・後の過ごし方

中央音大教授、二胡演奏家の趙寒陽先生の本を読み返していました。ずっと前に読んだけど、もう忘れちゃったし、本番前の心理コントロールっていう章が非常に気になったのでそこだけ再読。

まず、最初にガツンと一言。
日頃から、本番でやる曲目はしっかり練習しておけ、技術的に難しい部分は本番前までに完全にできるようにしておけ、本番で運よくできることなんて期待するんじゃないよ!
(游鯉のつぶやき:そらそうだ(^。^))

前日までにやるべきこと。
楽器の調整、伴奏、服装の準備。
(游鯉のつぶやき:ドライブデートの準備みたいですね…車の点検、BGM、服装?)

前日午前。
可能なら会場の下見にいって本番の感覚をつかむとよい。
でも、この時に、演奏方法、弓及び指づかい、楽曲の処理方法について疑問があっても、不用意に変えるべからず。本番終わってから検討しようね。
(游鯉のつぶやき:確かに変えない方がいいかも( ..)φ)

午後。
下見の感触をもとに一、二時間練習。
最高に良い状態で練習は終えること。
嫌になるほど練習してはいけない。
理由は演奏の新鮮な感覚を保つため。
(游鯉のつぶやき:確かに、どんなに好きな俳優さんの顔でも、朝から晩までずっと見てたら、慣れてしまって、カッコよくないかも…)

夜。
軽く楽しい活動をしてもよい。
(游鯉のつぶやき:どんな?)

当日午前。
たくさん練習する必要なし。
基本的な訓練が終わったら、一、二回通して演奏すればよし、この時に途中で止まらないこと。
この時に技術上の難しい部分を何回も練習するのは避けるべし。
理由は、たまたま間違いを犯し、その間違いが刷り込まれてしまうと、夜の本番に影響するから。
(游鯉のつぶやき:激しく同意!)

昼は昼寝して鋭気を養っておくといい。
もし、身心が落ち着かないようであれば、「緊張するな、きっと成功する」「ちゃんと把握してるから、大丈夫」「リラックス」「落ち着け」とか暗示、黙想するといいよ。
(游鯉のつぶやき:し…しかし、これがなかなか効かないんですよ)

午後。
練習する必要なし。
軽い運動をしてもいい。
本番中、胃腸の調子が悪くならないように、晩御飯の量は加減しましょう。
本番前に大小便は済ませておこうね♪
(游鯉のつぶやき:寒陽先生、まるでお父さんみたいにアドバイスしてくれますね(*^_^*))

夜の本番前。
会場に行ったら舞台で、チョコっと弾いてみて、音響に関して把握しておく。
本番準備が終わったら静かなところで座って指を動かしておく。
もし心臓バクバクだったら、深呼吸。
両手を握って、全身に力をいれて数秒後に脱力してみることを数回繰り返してみてください。こうすると緊張が少しは取れますよ。
(游鯉のつぶやき:これはよく本で紹介されている筋肉弛緩という方法ですね)

一つ前の演奏中、舞台脇へ行く。
ここで最後の心身調整のため深呼吸。
舞台へ出て行く時は、大胆に、でも、適切な歩幅で自信を持って歩くべし。
その場に着いたら、聴衆を一望してから座ること。
席の後ろの方の一片を見ればよく、一点を凝視しないこと。
演奏者の視線は聴衆の気を引く効果があるので、間違っても、左右をキョロキョロしない!
理由は、キョロキョロすると、聴衆の注意力が散漫になるからね。
(游鯉のつぶやき:私はかつて演奏中に視線が宙に浮いて左右に揺れたため、トシミネ先生に散々叱られました)

次に伴奏者と小さな音で音合わせ。
往々にして、伴奏者の音より自分の音がチョット低いような気がするものですが、これは錯覚なので注意が必要。
あまり、もたもたとチューニングしているとだんだん焦っちゃうのでほどほどにね。
準備が完了したら、静かに5、10秒後に初めの音を弾きましょう。
自分にとっては心の準備であり、聴衆にとってはこれから始まるよって合図になります。
(游鯉のつぶやき:私はよく急に弾き始めて、トシミネ先生に聴衆を脅してどうする!と叱られました)。

弾いている時の思考と手の距離について。
あんまり先の小節のことを心配してもいけないし、もう過ぎてしまった小節のことを後悔してもいけない。
(游鯉のつぶやき:フラれた時と同じかも。失敗しても、気持ちは、次行こ~♪のノリが大切なんですね)

ロングトーンとか、間奏の時はチョット休憩できるよ。深呼吸したり、肩の力抜いたり、つば飲んだり、頭あげて聴衆の様子を見たりできるね。
(游鯉のつぶやき:ロングトーンで休憩できるかも…って、これは二胡が擦弦楽器だからでしょっ!弾撥楽器だと手が忙しくて、こんな時につば飲み込めないと思いますが…管楽器だと、ますます、それどころじゃないですよね?)

ラストの動作は曲調によって変えるべし。
速くて情熱的な曲なら、ラストの動作はちょっと速めで元気よく。
遅くて静かな曲なら、最後の音を出してから5秒すぎるまでは、その曲の雰囲気を壊さないように、ゆっくり終わる。
(游鯉のつぶやき:あ~やっと弾き終えたって、安心して、最後の音の余韻が残っているうちに、立ちあがっちゃう人とかいますよね。残念です。)

演奏終了後。
すごく興奮していて、力の行き場がなく、大声で叫びたい、或いはぐるぐる走り回りたい、そういう衝動にかられた場合、どうぞ、叫びたきゃ、叫べ、走りたきゃ、走れ!
余ったエネルギーは疲れるまで出しきりましょう。そうすることで、急激な疲労による不調を軽減できるでしょう。
(游鯉のつぶやき:本当か?しかし、確かに私は前回、これを我慢したせいか、翌日も心臓の動悸が元に戻らず、眠れず、大変な思いをしたので、試してみようと思います。しかし、どこで叫んだらいいんでしょうか?頭おかしい人だと思われますよね?)

趙寒陽「通向二胡演奏家之路」人民音楽出版社、2002年 70頁から73頁参照。
すいません、内容を一字一句翻訳したわけではなく、私の理解によりまとめているだけで、寒陽先生の口調は、私の想像上のものですから、イメージぶっ壊れたとクレームしないでね。

二胡LESSON98

本日もナナ先生はオケのリハで大忙し。
私がご自宅へ伺った時、ナナ先生はまだ帰宅しておらず、玄関先でチョット待ちました。
そんなわけで、お留守番時間の長かった4匹のワンちゃん達はご機嫌斜め。
このままゲージに入れっぱなしだと、おそらくレッスン中にぎゃ~ぎゃ~騒いで収拾がつかなくなる確率100%。
「申し訳ないけど、騒いでレッスンに集中できない方が効率悪いから、先に10分ぐらい離して、それから始めていいかな?」とナナ先生のご提案。
で、お部屋の中に離してもらったわんこ達、もう大喜びで私にじゃれてきました。
あ~ワンコの感触、ふわふわ~で気持ちいい。
連れて帰りたい。
多分、ナナ先生も「誰か連れて帰ってくれ、4匹は大変」って思ってるんだけどね(^^;

何といいますが、今回はあまり書くことがありません。
というのも、進歩がないから。
私の演奏にドラマがないのはいつものことです。
ナナ先生には「ここまで来て思うんだけど、いつもいつも、曲を勉強しては弾けるようになるのに、もう一歩先へ行けないのは何故だろうね」と言われました。
「賽馬」はスピードが遅すぎるとおっしゃったので、ナナ先生のリズムに合わせて、どんどんスピード上げて弾いてみたら、「その気になれば、速くたって弾けるのに、なんで自分でわざわざ、自分を縛りつけて前に行かないのかな~」とも言われました。

「これは、練習量とか技術とかそういう問題ではなく、たぶん、心の問題よね?」ってなことを言われました。

その通りだと思います。
これ以上書くと、自分の心の闇を吐き出すことになって、精神状態が非常に悪くなるのと、読んでいる人にも迷惑なので、やめときます。
じゃ、ブログ書くなよって感じですが、いちおう何回目のレッスンなのかの記録ですから(笑)。