音楽の見え方、聞こえ方、感じ方

皆さんはどういういきさつでその先生に習ったのでしょうか?
演奏などを聴いて、最初からこの先生の音だ~と思ってご自宅に乗り込んでいったとか、たまたま出会っちゃっただけとか、いろいろあると思います。
自分と見方、聞こえ方、感じ方が似ている先生だと、なんか自分のことを本当に分かってくれそうな気がして嬉しいですよね。
(実際には気がするだけで、他人のことなんて誰も本当には分かりませんけど…)

私は大人になるまで、人と自分は同じように見えて、同じように聞こえて、同じ世界を体感しているものだとばかり思っていました。
だって、普通に目が見えて、耳が聞こえて、身体の痛みを感じられるのだから。
食事や服装などに「好み」というものはあるだろけど、いわゆる天才とか、神童と呼ばれた人を別にすれば、脳の情報処理システムにさほど違いはないだろうと思っていたんです。
でも、本当は違うんですよね。
それを知って非常に驚きました。
どういうことかというと、人は主として視覚、聴覚、触覚、言語などに頼って外界の情報をインプットするわけですが、人によってどの感覚が優位なのか違います。

ところで、ピアノの先生とかが書いた本やウェブを読んでみると、結構、生徒の優位感覚に着目して、指導されていらっしゃるようですね。
考えてみたら、ひとそれぞれ、インプットしやすい方法というのが違うのだから、何年も教えている先生なら、経験的に分かるのでしょうね。
大ざっぱに
視覚優位
聴覚優位
言語感覚優位
触覚優位
という分類ができるようです。

視覚認知が強い子は、初見はお手の物でしょうね…
でも先生の話は右から左へ流れていく傾向あり?
視覚優位の子はピアノ等の楽器の場合、模範演奏は、聞いているというより、指の位置を見て覚えているといいます(笑)。
説明してもちんぷんかんぷんなのに、模範演奏してあげると、すぐに鼻歌歌ったり、演奏できてしまうタイプは聴覚が優位なのでしょう。
言語感覚が優位な子であれば、様々な視点から説明してあげて、生徒に自分で考える時間をあげたり、楽曲に関する予備知識を入れてあげたり、曲にストーリー性を持たせるとやる気が増すのだそうです。
触覚が優位な子というのは、とにかく身体の使い方が上手いので、数さえこなせば自然に身につくみたいですね。でも、間違えて覚えてしまうとなかなか直せないので、最初から正しい音と指づかいで弾けるようレッスンしてあげないとダメらしいです。

楽器の先生は、皆、耳がとてもいいことは当たり前なのですが、その次に(あるいは聴覚と同等程度に)何が優位かによって、タイプが分かれるような気もします。
中にはバランスの良い先生もいるかもしれませんが、先生でも得手不得手はありますよね。
この認知の優位性も、どれも平均程度ある人もいれば、どれかが極端に悪い人っていうのも存在するわけですね。
何といいますか、別に身体障害があるわけでもないのに、上手に五感を利用できない、知的障害があるわけでもないのに、物事を上手く理解できない人っていうのもいまして、ひどいと、簡単な読み書き計算ができない(時間がかかる)とか、人の顔が覚えられないという事態を招きます。

ところで、人間は、例えば、腕がないとすると、足を使っていろんなことができるようになります。
それと同じで、目の見えない人の聴力や触覚は、とんでもなく発達します。
同様に、脳のどこかに働きが悪い部分があっても、脳の違う部分を使うことで、あたかも大勢多数の人と同じ結果を導けることもあります。

実は、私は昔から、新しいことを覚えるのにかなり飲みこみが悪く、そうとうなおバカに違いない、絶対に頭のどこかに問題があるか、努力の仕方に問題があるのだろうなと、うすうす思いながら、生きてきました。
あまり気になるので、大人になってから詳しい知能検査を受けてみたら、案の定、総合的な知能は人並みにありますが、特定の分野の結果が著しく悪く、各分野の能力に差がありました。
まぁ、テスト内容はプライバシーの問題もあるし、これから受けようとする人の妨げになるので詳しく書けませんが…

これが原因で日常生活にかなり支障をきたしたり、劣等感にさいなまれ、精神疾患をわずらったりして障害者と位置付けられる人もいます。
そこまではいかないけど、情報のインプット能力が劣っている人というのが私です。
私は言われたことを頭の中でイメージする能力、推論が極端に劣っています。
でも、記憶力が人並みにあるため、ちゃんと聞いていた場合は、言われたことはそのまま覚えているので、ちゃんと聞いているくせに、何で人と同じように期待された言動ができないんだ?となるわけです(とほほ…)
カウンセラーさんには、先天的な(脳の基盤的な)知能が劣っているのに、それを後天的な学習や経験で補っているので、子供の頃は辛かったんじゃないですか?と言われました。

私は子供の頃から初見がとにかくダメでした。
そして聴音させると、譜面に落とすのに時間かかりすぎ…
また、私は、読譜にすごく時間がかかります。
視覚認知がかなり弱いのだと思います。
だから、先に模範演奏を何度か聴いた後で、楽譜を見る方が効率があがります。
私がやたら楽譜に色を付けたがるのも、途中で何処を弾いているのか、本当に分からなくなるからなのです。
よく、どこ見て弾いとるんじゃい、楽譜見てるのかと叱られましたが、別にどこも見てないです…
自分の音、あるいは先生の音、もしくは先生の話を一生懸命に聴いていると眼や手なんて使えないよ~
他ごとを考えていると思われちゃいますね。

もっと徹底的におバカだったら、聴覚が音楽家並みに発達して嬉しい限りですが、そこまでに至らないのが、中途半端で余計に苦しい凡人の辛いところです(笑)

振り返ってみると、先生と呼ばれる人は、もともと先天的な能力も高く、後天的な努力もなさっている優秀な人が多いので、私のバカさ加減をおそらく体感しようがなく、そんでもって私は子供時代、よく叱られたのかなと思います。
自分の特性をよく知り、他人の特性をなるべく短期間で理解できるようになるとコミュニケーションも上手くいくようになるのかもしれないですね。