ぽっくり希望

いろいろ思うところあって、「介護職員初任者研修」なるものを某学校で受講して、修了証をいただきました。
修了試験は…難しくなかったです。
ミスったのは三問で、うち一問はうっかりひっかかっただけでした。
私、なにせ、20歳からず~っと大学生(あるいは大学院生)をしてるんで、本を読むのは苦痛じゃないし、長いこと学生をしていると、例えば語学試験などの、ひっかけ問題の言い回しなんかに気を付ける習慣がついているのですよね(^^;
ある仲間が、レポート出すたびに、出題者の思う壺のようにひっかかって間違うので、どこでひっかかったのか教えてあげるたびに、「この人素直でいい人なんだなぁ、きっといい介護職になるんだろうなぁ」と思いました。
たまたま、私が申し込んだクラスは、夏の時期、人数が少なくて、一緒に勉強した仲間は5人…50代の未経験の男性、女性、ついこの間から有料老人ホームで働き始めた人、現役の看護学生さんもいらっしゃいました。
先生も、同じ先生がず~っと担当するのではなく、たまに変わるので(都の指導として、同じ先生だと、その先生のご経歴等から視点が偏るかもしれないので、違う先生が担当しないといけないようです)、看護士出身の先生、特養などの施設の経験が長い先生、ホームヘルパーの経験が長い先生、いろいろいらっしゃって、雑談等、大変興味深かったです。

一番の収穫は、理想と現実の差が、本当に激しいわ~ということがよく分かったということです。
ついでにいうと介護保険は市区町村による差が激しいわ~ということも分かりました。
大昔、某市某区役所の保険年金課というところに勤めておりまして、国民健康保険や乳児・障害・老人医療なんかの窓口業務をしていたので、地方によって全然、レベルが違うことは重々承知していたのですが、介護保険ってその延長だったんだよな~
もっと早くに知ってたら、もっと税収などが多くてお金持ちの区に住んだのになぁ。
国は介護職をもっと専門職化したいんだろうし、実際、スゴイ人もたくさんいるけど、だったら、この給料はないんじゃないか…(^^;とか。
ちなみに、アルバイト・パートの広告を見ていると介護職より、清掃やコンビニなんかのお仕事の方が時給いいですよね。中国人に、中国ではどうなのって聞いたら、清掃より介護の方が時給いいんじゃないのって言ってました…

初任者研修というのは、実習は学校の任意で強制ではないので、実習なしで資格取れるところも多いですが、私の通ったところは、特養と訪問介護の実習がありました(といっても、見てるだけ~話聞いてるだけ~ですが…)
すごいのは、施設見学で聞いた内容と、実習で実際にその中に行かれた方の話を聞いていると、やっぱり、ギャップあるんだよね。
利用者さんにとって感じのいい施設でも、職員の離職率が高かったり、利用者さんにとって感じの悪い施設で、職員同士も仲悪いのに、職員の離職率が低かったりする…(前者は、利用者さんのことを考えて無理して心身病んで若い子がつぶれて辞めていくんだろうし、後者は利用者さんを無視した介護で職員同士好き勝手やってるんで、サービスの質が悪くても、職員は辞めないということなんだろうか???)

初任者研修って、介護の初歩の初歩だから、(実際にちゃんとできるかどうかは別だけど)全然、難しくないのでもう、大学等の一般教養の必修科目として教えたらどうだろうか?
そしたら、必ず選挙に行こうって気になるんじゃなかろーか。
よく、小学生に車いすなどに乗ってもらったり、目隠しして歩いたりする体験講座みたいなのがあるんだから、初任者研修程度なら、ありじゃないかと思う。
自分が移乗してもらったり、ベットの上で髪洗ってもらったり、目隠ししされて、食べ物を食べさせてもらったり、おむつ交換してもらったら、本当にもどかしいと思う。
そして、介護職に心身の余裕がなかったら、他人のケアをプロフェッショナルに出来ないと思うんだよね。

人に優しくない人は介護職には向かないと思うけど、人に優しい人だと自分が無理して潰れちゃうから、介護職を辞めざるを得ない…ってなんか矛盾を感じました。
私は、お金も子供もいないので、ぽっくり死にご利益のある神社仏閣をめぐらないと…(^^;

大きい鼓と小さい鼓

daguxiaogu
これ、二つとも中国大三弦です。
おやおや、大きさ違いません?
太鼓の部分に注目!
上が俗に大鼓、下が小鼓と言います。
100年前の中国三弦なんて、演奏者によって微妙に色々違った規格の三弦が存在したんだろうと思います。
もともと中国は、民族楽器を国際舞台で通用するようにという方向で、あまり伝統を守ろうとかこだわらず、楽器の改良を続けたような気がします。
かつての三弦の棹が長すぎ、その割に太鼓が小さくバランスが悪い、音量がイマイチっていうことで、太鼓を大きくして音量出そうという方向で出現した大鼓が上の写真。
でも、この大鼓、大きいから音量出るかっていうと実はそうでもなく、音量は弾き方次第だし、音色が重いというか落ち着いた感じ。
こういう改良三弦の音色に納得いかず、もともとの小さい太鼓に戻し、棹の長さは大鼓と同じ高さを維持したものが下の写真。
音は、小鼓の方が昔の三弦の音色に近く、明るめの音が出ます。
あと、高音域になると、小鼓の棹の一番高い音は、大鼓では、すでに太鼓の端っこの木枠部分まで侵入しないと出せないってことになります。

三弦弾きさんが、どちらの三弦を使っているか、ぶっちゃけ、誰に師事したかで違います。
また、途中で師事する先生を変えた場合(こういうケースはその大学の系列を抜けても別の大学の系列で不都合なく大学や大学院まで進学できるか分からないので稀ですが、いないわけではありません…)、両方を所持している人もいます。

違いは音色でしょうね。
私は個人的には民族オーケストラで低音域の撥弦楽器が欲しいなら大鼓、三弦の独奏で、民間伝統曲を弾くのなら小鼓、現代曲が弾きたいなら、あんたの好みでいいんじゃない?と思っています。

私は、ここ2年ほど、大鼓は日本、小鼓は中国においてありましたので、二つ並べて写真撮るのは初です。
だって、二胡弾きさんには想像つかないと思うけど、大三弦抱えて、飛行機に乗るの大変よ〜(古筝弾きさんには分かってもらえると思う)

今週の日曜日(2015年7月5日)、新大阪でお友達の発表会に友情出演してきますが、小鼓を使うつもりです。
日本で小鼓を使って、人前で弾くのも初です。
これに出てきます↓

momohara

中国大陸で三味線の話ができるなんて最高でした

もう、二週間ほど前のことになりますが、日本三味線入門と題して、中国の中央音学学院の一室でお話をさせていただく機会がありました。
中央音大といえば、日本でいえば東京芸大みたいなところなので、この大学のホールで演奏した三味線奏者は少なくないでしょうが、講義室で通訳なしの中国語で、お話しできたのは、私みたいな素人では珍しいかもしれません(^_^;)
たまたま、私の中国三弦の先生がここの先生だったこと、私が一応、芸術系学問の博士課程の大学院生という都合上、このような奇跡が起こったわけです。
それと、あたしだって素人なりに、中国三弦と津軽三味線弾けますし、地唄三味線、義太夫三味線は入門体験レッスンしていただいたことありますから、三弦演奏の腕前はイマイチでも、中国人と日本人の奏者が何考えてるのか、理解しやすいため適任だったと思います。

結論から言えば、めっちゃ楽しかったわ〜
だって、聴いてくれた人が全員、先生の教え子、つまり皆さん、中国三弦が上手に弾ける少数の人たちなので、興味津々で聴いてくれるわけですよ。
私は演奏はあがるけど、講義はあんまりあがらないのね。
で、20年近く大学生と大学院生をしてきた私が経験上言えるのは、ゼミ形式ではないほとんどの授業や講義っていうのは、みんな単位のためにしぶしぶ聴いてるだけだから、目がワクワクしてないのがよく分かる(笑)
もっとも、凄い才能ある先生は講義に興味のない学生を自分の話に引っ張り込むのだろうけど、そういう先生は多くはないし、学術的才能と講義をする才能はまた別モノ。

でも、身内ばかりの中で、皆んなも興味のあることを話すって最高。
しかも、皆さん、ちょっと、教えてあげれば、簡単なフレーズをすぐ弾けちゃうの。
もちろん、ちゃんと津軽三味線になってるかどうかというレベルでは、もちろん、なってないわけだけど(それは私のような大多数の素人日本人だって同じ)、コツみたいなものを掴むのがとっても早い。
久しぶりに「せんせい、質問ですが…」とカワイイ音大付属中学生に言われて、なんか嬉しかったなぁ〜(^_^;)

日本では三味線という楽器は比較的世間に知られた楽器だし、素人でも簡単な曲がすぐ弾けるようになるのは、文化譜とかが音高ではなく指の位置を示したものだというのも普及に有利な要素なんだろうなぁと、皆さん、考え込んでおられました。

もっとも、三味線の右手は、五本の指を全て使う必要がないということ、撥を使って弾くので、微妙に的を外しても弦には当たってとりあえず音は出るということ、左手は基本的に人差し指と薬指を使うことで、規則的にポジション移動していくので中指や小指も使って複雑なポジション移動しなくてもいいということ、棹が(中国三弦より)短いということ、難しくない入門用の曲もあるということが、歳をとってから始めても、そこそこ弾けるようになる要因だと私は個人的に思ってます。

さて、一週間後、新大阪でお友達が教えている中国撥弦楽器の発表会に友情出演してきます。
弾く前にちょっと話してと言われているので、5分ほど、中国伝統音楽を弾く上で知ってると役に立つかもという話をしたいと思っています。
中国三弦は、大人から始めた素人が人様に聴かせられる名曲がほとんどないっていうのが苦しいですね(^_^;)
大好きな中国曲を弾くつもりですが、本来なら3分半ぐらいで弾くべき速い曲ですが、私はそんなに速く弾けないし、速く弾こうと焦れば、ロクでもない音色にしかならないので、4分半も使って、せめて、三弦本来の音色が出るように落ち着いて弾こうと思ってます。
でも、「おそっ、ヘッタクソめ」と私の友達でもなんでもない普通の聴衆は思うかもしれないので、もう、割り切るしかないですよね。

hebisyami
写真は、私の中国三弦の先生がご友人から譲られた戦後間もない頃、上海の骨董屋で売られていた細三味線。
えーなんでヘビカワ〜(^◇^;)
多分、中国の職人さんに猫皮をはる技術がなかったので、ヘビカワで代用したのでしょう。
最初、「これ、沖縄のサンシンってやつ?」と先生に聞かれましたが、この棹の長さでそれはないと思うし、胴の形が三味線そのものだし。
これで、音大生さんが指で弥三郎節を弾いてくれましたが、中華風の弥三郎でした(^_^;)
撥で叩いたら、どんな音だったんだろう…
はり替えたばかりで皮破ったら申し訳ないから、さすがに撥で思いっきり皮を打てませんでした。
講義案を作成するにあたり、お稽古中に話を聞いてくださった津軽三味線小山会の家元先生、本当にありがとうございました。